フォローアップ研修を密着取材!

あらゆる視点でFPの将来像を模索する フォローアップ研修

フォローアップ研修

FP(ファイナンシャル・プランナー)の提案は相談者の人生を大きく左右するもの。知識・スキルの向上はどのFPにも常に求められています。山中塾では全国のFPが集結し、最新の情報を共有し議論するフォローアップ研修が隔月で行われています。
2019年8月に行われた研修では、金融庁のレポートからこれからのFPに求められる姿勢について読み解きました。

金融庁が重要視する「信頼できるアドバイザー」とは

今回の研修で活用されたのは、老後2000万円問題として話題になった2019年6月のレポート(※1)です。老後の資産形成について国民に周知されるきっかけとなったレポートでもありますが、その中には今後求められるFPの姿が示されているといいます。

まずはレポート内容の共通理解から。大きく3つに分かれた内容のうち、現状整理に多くページが割かれており、専門家たちが発言しているもととなったデータがしっかり書かれていたことを確認しました。
実際にお客さまとレポートの読み合せを行った塚越さんはお客さまの反応について語ります。

塚越 菜々子
塚越さん
私の顧客層は30〜40代で、失われた20年を生きてきた人たちです。それ以前の世代と老後について大きく違う点を細かく説明しました。
例えば人生100年時代といいますが、100歳まで生きるのは8.8%もいるとか、健康寿命と寿命には乖離があって、死ぬギリギリまで働いてなんとかなる時代じゃないとか。現在の80代は持ち家比率が9割で住宅ローンがないが、賃貸の場合どうなるのかとか。レポートの数字を見ながらお伝えしました。親世代のいうことにきちんと乖離を感じていることは、お客さまの反応から改めてわかりましたね。説得力のあるレポートだったと思います。

さらに、多くの人が直面する認知症の問題について、米国のプルーデント・インベスタールールを参考に検討していくという金融庁の姿勢に疑問を持つFPも。祖母の認知症で遺留分となった自身の体験をもとに、家族信託や成年後見制度の活用について触れ、今後の資産の預け方について課題になるとみたFPもいました。
データが多く納得を得られやすいレポートではありましたが、レポートの中で問題定義されていることについて、解決策がないことも読み取れるレポートだという意見も。今後FPとして考えていかなくてはならない新たな課題が見えてきました。
特にレポートに何度も記されている「信頼できるアドバイザー」という表現に注目が集まります。

注目を集めるIFAとFPのあり方

続いて、信頼できるアドバイザーの一つのして金融庁が注目しているIFA(独立系フィナンシャルアドバイザー )についてのレポート(※2)を活用し、ライフプランニングとその先について意見が交わされました。

レポートではアメリカとイギリスの現状も記されており、日本と海外のIFAのスタンスの違いなどについて確認しました。すでにIFAとして活動している、認定FPの向藤原さんが実際に取り扱っている商品やフィーについて具体的な数字を共有し、ビジネスモデルとしての形を提案しました。
ほかのFPからは「日本のIFAはFPと違いアドバイスフィーは受け取れないが、FPとIFAの両輪でビジネスをするにはどのようにしているのか」という質問も。

向藤原 寛
向藤原さん
私は相談と商品提案を別に受けています。FPとして、資産運用全般の相談をするためのフィーをいただき、その相談の際には、個別金融商品の提案はしません。保険の代理店をやっている方もそういったやり方をできる部分があると思います。IFAは兼業が認められているので、FPがIFAとして活動しても問題ありません。

見えにくいビジネスの運用についても、経験と事例を交えた情報に納得する声が聞かれました。一方で「顧客の中にはIFAの存在を知っている人もいるが、IFAの運用実績が見えづらいように思う。知る手立てはあるのか」という質問も上がりました。

向藤原 寛
向藤原さん
いまのところはありません。ブラックボックスです。イギリスにはIFAの紹介サイトなどがありますが、日本はまだそこまで整備できていない状態です。わかりやすくするために私が考えているのは、FPとして運用のサポートができるという風に打ち出し、必要があればIFAとして具体的な商品販売もできますよという形態です。

「信頼できるアドバイザー」として、FPの相談を入り口に、IFAとして商品提案をする。そういったサポートの仕方もあることを参考にしていただけたら、と向藤原さんは語りました。

FP業界の価値観を向上していくために

2つのレポートを通して、金融業界のジレンマが見えてくると山中塾代表の山中伸枝さんはいいます。
レポートの中では繰り返し「信頼できるアドバイザー」が必要だと記されていますが、どんな人が信頼できるアドバイザーなのか、残念ながらレポートでは言及されていません。
この点について、山中さんは「ゴールセッティングしたうえで、ソリューションを提供しながらメンテナンスしていく人たちが足りない」と現状を指摘します。

山中 伸枝
山中さん
商品販売をしたらそこで完結してしまって、誰も後の面倒をみない。ダメだとわかっているが、適任者がいないのが業界のストレスです。 こういった点で、金融庁はIFAに非常に注目しています。ただ、すべてが過渡期です。業界団体の立ち上げなど今後制度も変わっていくでしょう。
もう1つ注目されているのは、金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)。山中塾としては、スタンダードな金融アクセスがすべての人に届くように、自分のやるべきことを果たしていただきたいと思います。
そのためにも、FPとして価値観・知識・スキルを上げていかなくてはいけません。自分たちを律して活動してほしいと思います。

保険代理業、IFA、金融商品を売らないFPなど、さまざまな形態で活動する山中塾のFP。
「信頼できるアドバイザー」の確立に向けて、金融庁が改革をしている過渡期だからこそ、レポートの中にあるFPの将来像についてしっかりと読み解き考えてほしいと山中さんはいいます。FPとしてどこを目指すのか、誰に対してサービス提供をするのか、課題を示し研修を締めくくりました。

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FPたちが感じるメリット

山中塾で開催される研修や勉強会の魅力について、研修に参加したFPはどのように感じているのでしょうか。

「私は保険や証券などIFAとして商品販売もしています。山中塾には販売をしないFPの方も多くいるので、そういった人たちの視点や意見はとても新鮮です。今回の研修でも私がさらっと見ていた部分を深掘りしていたり、そこから派生する課題や実例を聞くことができたり、とても参考になりました。」(田中栄二さん)

「私は青森で活動していますが、地方と都心部には情報格差があると感じています。地方はブルーオーシャンで、山中塾で学んだことを伝えるだけでも各所からお声がかかるほどです。研修や勉強会では全国のFPと経験や情報を共有できるので、常に最新の知識をアップデートでき、活動の幅が広がりました。以前からIFAについては興味がありましたが、今回の研修を受けて今後トータルでサポートできるFPについて考えていきたいと思います。」(寺田紀代子さん)

「今回の研修でもテーマとなりましたが、お客さまが求めていること、金融庁が求めていること、FPとしてのビジネス、この乖離をどう埋めていくのか。それは誰かにやってもらうのではなく、僕たちがやらなくてはならないと思います。研修で疑問を出し合うことで、解決したりより議論を深めていくことができます。FPの集団だからこそ、こういった議論が大きな力となって、何かを変えていけると思いますね。」(末次祐治さん)

全国のFPと業界の垣根なくネットワークができるのが山中塾の良いところ。経歴の違うFPたちが問題に向き合うことで、活発な議論、理解、FPとしての方向性が生まれていきます。
次回のフォローアップ研修ではペルソナを想定し、ゲストスピーカーを招いて保険、IFA、FPでのプランニングを行うといいます。
垣根なく、豊富な人脈のある山中塾でしかできないスキルアップがありました。

(編集後記)
いま顧客が直面している問題だけでなく、この先に起こる問題について、FPはどう対応していくべきなのか、FPの在り方について個人よりも大きな観点で捉えているFPが多く、専門外の知識もより多く吸収しようとしているのが印象的でした。
先を見据えたうえで、士業・保険・仲介業など自分の事業とどう絡めていくべきか、ビジネスとして早くから方向性を捉えることができる研修です。常にこういった場があるからこそ個々が深く考え、ともに活動するFP同士の全体的なレベルアップ、ひいては業界全体の向上が見込めるのだと感じました。

※1 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 『高齢社会における資産形成・管理」(2019年6月)
※2 独立系フィナンシャルアドバイザー (IFA)に関する調査研究 ― 幅広い世代の金融リテラシー向上への寄与が期待される担い手として - 報告書 みずほ総合研究所株式会社(2019年7月)

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ライター紹介

田邉 優(たなべ・ゆう)

田邉 優(たなべ・ゆう)

ライター。
証券会社のWebディレクターとしてサイト運営や企画を担当。より楽しい体験を求めて、取材も担当するwebメディアのディレクターとなり現場経験を積む。現在はフリーのライターとして取材・撮影・執筆をトータルで行っている。見た目とは裏腹に、日本酒には目がないアラサー女子。

2019年12月11日