こんにちは。神奈川の湘南でFPと社会保険労務士の二刀流で活動しています三藤です。
人生100年時代、少子高齢化が進んでいる日本では、労働力人口の減少が問題視されています。働き方改革関連法が2019年4月より順次施行されています。働き方改革は女性や高齢者にも働く側に参加してしてもらうことで労働力人口を増加させようという考えがあります。
かつては出産を機に退職し、育児に専念する女性の多い時期がありました。そのため20歳代後半から30歳代前半の女性の就業が一時的に落ち込む現象があり、グラフ化したときの形が「M」に似ているため、M字カーブといわれていました。(下記の図参照)近年、M字カーブが解消されてきているということは、出産しても退職せずに復職し、働き続けようと考える女性が増えてきていると考えられます。
【内閣府男女共同参画局平成29年版より】
出産しても働き続けるには育児休業が終了したときに子どもを預かってもらえるところが必要です。行政では待機児童ゼロを目指す取り組みも進んでいますが、万が一保育所などが見つからなかった場合、復職できないという問題が起こります。保育所に入所できずに退職を余儀なくされる事態にならないように、育児休業・介護休業法が改正されました。
育児休業は何歳まで?
育児休業は「育児休業・介護休業法」に、一定の要件を満たす労働者は、原則その養育する子が1歳に達するまで(父母ともに育児休業を取得する場合、子が1歳2か月に達するまでの間の1年間「パパ・ママ育休プラス」)、申出により育児休業をすることができます。
一定の要件とは、事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である、子が1歳6ヵ月に達する日までに労働契約が満了しないという要件を満たす人が事業主に申出することができます。
共働き夫婦の場合、子が1歳になるまで、すなわち育児休業が終了するまでに、保育所が見つからなかったらどうなるのでしょうか?
延長することができる
育児休業をしている同一の子について育児休業を延長することができます。労働者は養育する子が1歳6か月まで(再延長で2歳まで)延長することを可能としています。育児休業の延長は例外的な措置として、次の要件を満たす場合、事業主に申出することにより認められています。
・1歳になる時点で保育所などに入所できない
・雇用の継続のために特に必要と認められる場合
労働時間を短縮できる(時短勤務)
2009年6月から3歳に満たない子を養育する労働者に、1日の所定労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度もあります。復職する女性の体力面など、不安を緩和するために整備されました。
短時間勤務制度の対象となる労働者とは、次のすべてに該当することが必要です。
・3歳に満たない子を養育している
・1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
・日々雇用される者でないこと
・同じ期間に育児休業をしていないこと
・労使協定により適用除外とされた労働者でないこと
また業務の性質上、短時間勤務制度を講ずることが困難な労働者については、次のいずれかの措置を講じなければならないとされています。
・育児休業に関する制度に準ずる措置
・フレックスタイム制度
・始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ(時差出勤制度)
・事業所内保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与
保育所が見つかり復職したとしても、不安や悩みを抱えている女性は多いと思います。時短勤務をはじめ、働く女性を後押しする制度の確立は、多様な働き方を推進するに必要なことであると考えます。
まとめ
女性が結婚、出産を経て、長く働き続けるには、行政、企業、そして家族の協力が必要です。育児休業は延長することもできます。そして保育所に入所できたとしても、病気になった場合、子どもの行事参加など、特に子どもが小さい時には休みを必要とする場合が多いことでしょう。時短勤務の他に次のような制度もあります。
●3歳に満たない子を養育する労働者には
・所定外労働の制限(残業の免除)
●小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者には
・子の看護休暇(1年に5日、子が2人以上の場合は10日)
・時間外労働の制限(1ヵ月24時間、1年150時間まで)
・深夜業の制限
いずれも労働者が事業主に申出することが必要となります。子育てをしながら仕事をする女性の後押しするに、事業主は労働者が申出しやすい職場環境の整備を進めることが求められています。