三角 桂子

【夫婦×お金 研究会No.18】離婚は夫婦の問題、だけど子どもの生活は守ってあげて

こんにちは。身近に相談できるママFPとしてFPと社会保険労務士の二刀流で活動している三藤桂子です。

この度、夫婦×お金研究会に初コラムを載せさせていただきました。皆さんのお役に立つきっかけになれば幸いです。

新年を迎えたばかりですがもうすぐ2月。節分が過ぎると立春で暦のうえでは春を迎え、あっという間に卒業シーズン、新年度と季節が足早に過ぎていきそうですね。今年は特に平成から新年号へのバトンタッチの年度でもあります。新年度を迎えるにあたっては心機一転、新たなスタートを迎える方も多いことと思います。一般的な進学や就職をはじめとして、なかには離婚されてひとり親になって新生活をスタートするにあたっても新年度からと考える方もいらっしゃいます。実は親権を行わなければならない子どもがいる離婚(20歳未満の未婚の子どもがいる離婚)は3月が一番多いのです。夫婦間の問題は話し合いを重ねてたり、第三者に入ってもらい離婚という結論にいたったとしても、子どもには精神的にも経済的にも大きな負担となることがあります。新たなスタートを考えるなら将来を見据えて、特に経済的なことは夫婦の感情とは切り離して考えてあげることを願うばかりです。

子どもがいる離婚は3月が多い

平成28年の婚姻件数は620,531組、一方で離婚件数は216,798組、前年より減少しているものの夫婦の約3組に1組が離婚していることになります。(平成28年厚生労働省「人口動態統計」(確定数)の概況より)また離婚した夫婦のうち親権を行わなければならない子(20歳未満で未婚の子)のいるケースが半数以上となっています。

親権を行わなければならない子どもがいる夫婦が離婚を考えるとき、子どもの環境や精神的負担を考えるて離婚する時期を決めることもあるようです。下記の表は月別に離婚の届出を子どもがいる場合とそうでない場合に分けてみました。どちらも3月が多いことが分かりますが、特に子どもありが1割を超えているのは、離婚することで、引っ越しや氏名の変更などを考慮してでの数字かもしれません。

親権を行わなければならない子の有無

届出月 総数 組(割合%) 子どもあり 組(割合%) 子どもなし 組(割合%)
総数 251,136(100) 143,834(100) 107,302(100)
1月 20,217(8.1) 11,710(8.1) 8,507(7.9)
2月 20,600(8.2) 11,991(8.3) 8,609(8.0)
3月 25,888(10.3) 15,706(10.9) 10,182(9.5)
4月 22,413(8.9) 13,010(9.0) 9,403(8.8)
5月 20,212(8.0) 11,416(7.9) 8,796(8.2)
6月 20,457(8.1) 11,533(8.0) 8,924(8.3)
7月 20,857(8.3) 11,889(8.3) 8,968(8.4)
8月 19,218(7.7) 10,698(7.4) 8,520(7.9)
9月 20,698(8.2) 11,794(8.2) 8,904(8.3)
10月 21,583(8.6) 12,136(8.4) 9,447(8.8)
11月 17,567(7.0) 9,981(6.9) 7,586(7.1)
12月 21,426(8.5) 11,970(8.3)

9,456(8.8)

※厚生労働省 平成21年度離婚に関する統計の概況より

養育費を取り決める重要性

夫婦が離婚を決断したときに親権を行わなければならない子どもがいるなら、子どもの将来のためにも、そして健やかな成長のためにも養育費の取り決めはきちんと決めましょう。現在、離婚した相手からの養育費の取り決め状況は母子世帯で約43%、父子世帯で21%となっています。また協議離婚である場合、その他のケースと比べて取り決めしている割合が低くなっています。取り決めをしていない理由として、母子世帯では「相手と関わりたくない」が最も多く、「相手に支払う能力がないと思った」、「相手に支払う意思がないと思った」となっており、一方父子世帯では「相手に支払う能力がないと思った」が最も多く、「相手と関わりたくない」となっています(厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査より)

確かに離婚という人生で大きな決断をするわけですから、なかには「そっとしておいてほしい」という気持ちになるのかと思います。それならばなおさら将来にまで大きなわだかまりを残さないよう養育費について取り決めをしておきましょう。お子さんとお互いのこれからの人生を前向きに過ごすためにも必要なことと思います。

相手からの養育費の受給率が母子世帯で24%、父子世帯で3%という現実

前段において養育費の取り決めの状況は母子世帯で約43%、父子世帯で21%という調査結果でした。しかし実際、離婚した相手から現在も受け取っている、養育費の受給率は母子世帯で約24%、父子世帯で約3%というのが現実なのです。もし養育費のことで悩んでいる方がいらっしゃるのであれば、専門機関に相談してみてはいかがでしょうか。厚生労働省の委託機関に養育費相談支援センターがあります。各地方自治体のひとり親家庭支援窓口に養育費等に関する相談員が配置されているそうです。

厚生労働省委託事業 「養育費相談支援センター」(公益社団法人 家庭問題情報センター)

まとめ

身近に相談できるママFPとして、自身の経験もふまえて、ひとり親家庭で育つ子どもの健やかな成長と親と子の絆を考え今回は養育費についてお伝えさせていただきました。

離婚して新しい生活をスタートしたものの、子育てと仕事との両立、再就職等安定的な生活基盤の確保等、新たな生活の支障が出てくるものです。そのためにも行政の支援策の一つにひとり親家庭の支援には所得に応じて受給できる「児童扶養手当」があります。ご自身の収入や養育費、お子さんの人数によってですが、セイフティーネットとして経済的においてとても助かります。

夫婦の問題は多様で一度ボタンを掛け違えるだけで、修復できなくなることもあります。もしも夫婦で離婚という決断をされたとしても、お子さんの将来と健やかな成長のためにはお金の問題は切っても切れないことの一つです。新たなスタートが後に新たな問題に発展しないためにも、できる限り口約束ではなく公正証書等、きちんと取り決めをされておくことをお勧めします。