大地 恒一郎

【新型コロナウィルスに関連して】「生活を支えるための支援のご案内」(厚生労働省)のご紹介

4月20日、厚生労働省は「生活を支えるための支援のご案内」というリーフレットをホームページにアップしました。トップページから「新型コロナウィルス感染症について」のサイトに行くと閲覧でき、印刷することもできます。今後随時更新されるそうですが、ここでは概要をご紹介します。

全部で15ページあり、1ページ目にケース別の目次が載っています。
ケースは大きく3つに分かれていて、ケース別にいろいろな制度が紹介されています。そして、このリーフレットでは、従前から整備されている制度についても、新型コロナウィルス感染症への感染に関連付けて解説されています

新型コロナウィルスへの感染等で仕事を休むとき

1つ目は、「新型コロナウィルスへの感染等により仕事を休むとき」です。
ここでは、「傷病手当金」、「休業手当」、「雇用調整助成金」の3つの制度が紹介されています。

「傷病手当金」は、健康保険等の被保険者が業務災害以外で仕事を休んだ場合の所得保障を行う制度ですが、この新型コロナウィルス感染症等の場合も、利用可能です。

「休業手当」は、会社の責任で従業員を休業させた場合に支払わなければならない手当のことです。
ここでは、支払いが必要となる主な例と必要とならない主な例が紹介されています。また支払いの対象とならない場合でも、労使の話し合いで手当の支払いや特別休暇を設けることなどを、望ましいこととして紹介しています。

「雇用調整助成金」に関しては、令和2年4月1日から適用されている「特例措置」について解説しています。助成内容や対象の大幅な拡充、受給要件のさらなる緩和、活用しやすさが説明されています。中小企業の多くの事業主の皆様にとっては、新型コロナウィルス感染症の影響が非常に大きなものとなっていることと思います。ぜひ、ご検討されてみてはと思います。

子どもの世話を行うために仕事を休むとき

2つ目は、「小学校等の臨時休業等に伴い子どもの世話を行うために仕事を休むとき」として、「小学校休業等対応助成金(労働者を雇用する事業主の方向け)」と「小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)」が紹介されています。

前者は、新型コロナウィルス感染症の影響で、小学校等が臨時休業等した場合に、子どもの世話を保護者として行う必要のある従業員に有給の休暇(年次有給休暇を除く)を取得させた事業主の方向けの助成金です。

また後者は、同じく小学校等が臨時休業等した場合等に、子どもの世話を行うために、契約した仕事ができなくなった個人で仕事をする保護者の方向けの支援金です。

お金に困っているとき

3つ目は、「お金(生活費や事業資金)に困っているとき」として、6つの制度が紹介されています。6つの制度とは、「緊急小口資金・総合支援資金(生活費)」、「無利子・無担保融資(事業資金)」、「社会保険料等の猶予」、「住居確保給付金(家賃)」、「生活困窮者自立相談支援事業」、「生活保護」になります。

「緊急小口資金・総合支援資金(生活費)」は各都道府県の社会福祉協議会が実施している特例貸付です。「緊急小口資金」は、主に休業された方向けで、一時的な資金が必要な方向けの貸付です。一方、「総合支援資金」は、主に失業された方等向けで、生活の立て直しが必要な方向けの貸付になっています。

「無利子・無担保融資(事業資金)」は、「新型コロナウィルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」を併用することで、実質的な無利子化を実現し、事業資金の資金繰り支援を行うものです。
前者は日本政策金融公庫等が実施するもので、事業性のあるフリーランスを含む個人事業主等に対する融資です。後者は前者の貸付に対する利子補給を行うものです。

「社会保険料等の猶予」は、「厚生年金保険料等の猶予制度」、「国民健康保険。後期高齢者医療制度及び介護保険の保険料(税)の減免等」、「国税の納付の猶予制度」、「地方税の猶予制度」、「電気・ガス料金の支払猶予等について」に分かれています。
「電気・ガス料金の支払い猶予」に関しては、民間の事業者に対し、国から柔軟な対応を行うように要請していて、水道・下水道、NHK、固定電話・携帯電話の使用料などについても事業者に柔軟な対応を要請しているとのことです。

「住居確保給付金(家賃)」は、従来からある制度ですが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大等の状況を踏まえ、支給対象の要件が拡大されました。個人の都合ではない休業等に伴う収入減少により、家賃が払えず住居を失うおそれがある方々にも、一定期間家賃相当額を支給できるようになったものです。

「生活困窮者自立相談支援事業」、「生活保護」も従来からある制度ですが、改めてこのリーフレットで紹介されています。

相談窓口

そして各項目の解説の最後には、それぞれ問い合わせ先や相談窓口が記載されています。
また最後のページには、相談窓口一覧が記載されています。ここは、「仕事について相談したいとき」、「労働問題(解雇・雇止め等)について相談したいとき」、「心の健康について相談したいとき」、「DVや子育ての悩みについて相談したいとき」、「生きづらさを感じるなどの様々な悩みについて相談したいとき」と5項目に分かれていて、それぞれ丁寧に紹介されています。

この新型コロナウィルス感染症については、各国の研究で徐々にその特徴などが明らかになってきているようですが、私が当初考えていたものより、かなり厄介なウィルスと感じています。もしかすると、この状況は長引くことになるかもしれません。

しかし、このリーフレットに紹介されているように、いろいろな支援の仕組みが用意されています。こういう仕組みを最大限活用しながら、国民一丸となってこの難局を乗り越えたいものです。