大地 恒一郎

範囲の狭すぎるFP3級過去問解説 投資信託(その2)

こんにちは。FP相談ねっと認定FPの大地恒一郎です。

前回も触れましたが、FP3級の学科試験は60問で、合格基準は60%の36点以上とされています。
そのうち第1問は正誤問題で、30問出題されます。また第2問は三肢択一問題で、同じく30問出題されます。
そうすると、正誤問題つまり二肢択一の第1問で、できれば20問以上正解して、第2問につなげたいところです。

今回は2017年9月の第1問の正誤問題から、2問抜粋しています。
順序は前後しますが、1問目は前回に続き収益分配金に関連する問題です。

2017年9月10日実施 第1問(14)

追加型の国内公募株式投資信託の収益分配金のうち元本払戻金(特別分配金)は、配当所得として所得税の課税対象となる。

(1) 〇
(2) ✕

第1問(14)解説

投資信託の収益分配金には、普通分配金と元本払戻金(特別分配金)があります。

普通分配金とは、各投資家(受益者)の個別元本を上回る部分の分配金です。普通分配金は源泉徴収の対象とされ、一定の税率が課税されます。分配落ち後基準価額が個別元本よりも高い場合は、分配金全額が普通分配金になります。

元本払戻金(特別分配金)とは、個別元本の払戻しに相当する部分の分配金です。元本払戻金(特別分配金)は自分が支払った元本の一部なので、非課税扱いとなります。

第1問(14)解答

追加型の国内公募株式投資信託の収益分配金のうち元本払戻金(特別分配金)は、配当所得として所得税の課税対象となる。

(1) 〇
(2) ✕

類似した過去問

これに類似した問題が最近も連続して出題されていますので、解答と併せ掲載しておきます。

2018年5月27日実施 第1問(11)

追加型の株式投資信託において、収益分配金支払後の基準価額が受益者の個別元本を上回る場合、当該受益者に対する分配金は元本払戻金(特別分配金)として非課税となる。

(1) 〇
(2) ✕

2018年9月9日実施 第1問(15)

追加型の国内公募株式投資信託の収益分配金のうち、元本払戻金(特別分配金)は非課税となる。

(1) 〇
(2) ✕

収益分配金に関連する問題

収益分配金の三肢択一問題としては、収益分配金の金額を普通分配金と元本払戻金(特別分配金)に分けて、それぞれの金額の組合せを選ばせる問題が多く出題されています。

正誤問題としては、元本払戻金(特別分配金)や分配落ち後の基準価額に関連して、課税の扱いについて問われる問題の出題が多くなっています。

特に三肢択一問題は簡単な計算(引き算足し算)が必要な場合もあり、どちらが普通でどちらが特別か混乱しそうになるかもしれません。しかし、落ち着いて解けば容易に導けるので、慌てないで取りこぼさないようにしましょう。

それでは、次の問題に移ります。

2017年9月10日実施 第1問(12)

上場不動産投資信託(J-REIT)は、上場株式と同様に、成行注文や指値注文によって取引することができる。

(1) 〇
(2) ✕

第1問(12)解説

上場不動産投資信託(J-REIT) は、2001年9月に第1号が上場されました。
以下は、主に投資信託協会ホームページの「J-REIT」の解説から引用しています。

J-REITは、多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品です。不動産に投資を行いますが、法律上、投資信託の仲間です。             

もともとは、REITという仕組みはアメリカで生まれ、「Real Estate(不動産) Investment Trust(投資信託)」の略でREITと呼ばれています。これにならい、日本では頭にJAPANの「J」をつけて「J-REIT」と呼ばれています。                   

J-REITは投資信託の仲間ですが、「投資証券」という一般企業の株式に相当する証券を証券取引所に上場しています。この投資証券の価格は、投資家の需要と供給によって決まっています。
証券取引所の立会時間中は市場でJ-REITの取引が行われ、価格も刻々と変動していきます。価格の決まり方や取引の仕方は、上場株式と同じです。

そして、J-REITの特徴は、実物不動産に比べ、取引所に上場されていることで、流動性(換金性)が確保されていて、少額から投資が可能である、という点にあります。

第1問(12)解答

上場不動産投資信託(J-REIT)は、上場株式と同様に、成行注文や指値注文によって取引することができる。

(1) 〇
(2) ✕ 

J-REITに関連する問題

過去の出題を見てみると、この2017年9月の問題と同様に、取引の方法に関する問題が多いようです。上場株式と同じで、成行注文や指値注文、信用取引が可能である、という点は押さえておきましょう。

一方で、投資信託の仲間ではあるものの、購入時手数料や換金時の信託財産留保額はかからない、という点も押さえておきたいところです。

J-REITについては、2017年以来出題がないので、そろそろかもしれません。
気を付けておきたいところです。

次回は投資信託のコストに関連する問題を中心に見ていきたいと思います。