こんにちは。FP相談ねっと認定FPの大地恒一郎です。
前回は、「ライフプランニング」の過去問から、6つの係数に関する問題をピックアップしお伝えしました。(前回の問題の出題年が間違っていたので訂正いたしました。)
今回も再度、この「6つの係数」に関連する問題を解いていきましょう。
今回は、資料として提示されている表の中から、正しい係数を選び、その係数を使って( )内にあてはまる数値を3つの選択肢から求める問題です。
こういう問題の場合は、実際に計算してみる必要があるわけですが、過去の傾向を見ると、毎年の積立金額を求める問題(減債基金係数)と毎年の受取金額を求める問題(資本回収係数)の出題が多いようです。
他には、毎年一定額を受取る場合の元の金額(元金(原資))を求める問題(年金現価係数)も見られます。
それでは、まず2017年9月に実施された試験問題を見ていきます。
2017年9月10日実施 第2問(31)
現在40歳のAさんが、60歳の定年時に、老後資金として2,000万円を準備するために、現在から20年間、毎年一定額を積み立てる場合、必要となる毎年の積立金額は( )である。なお、毎年の積立金は、利率(年率)1%で複利運用されるものとし、計算にあたっては下記の〈資料〉を利用するものとする。
〈資料〉利率(年率)1%・期間20年の各種係数
現価係数 資本回収係数 減債基金係数
(0.8195) (0.0554 ) (0.0454)
1) 819,500円
2) 908,000円
3) 1,000,000円
2017年9月 第2問(31)解説
この問題は、「毎年一定額を積立てる場合」とあります。
このように、「毎年一定額を積立てる場合」と書かれているケースは、その積立額、もしくは、積立後の目標額を求める訳ですが、積立の場合は、減債基金係数(積立額)か、年金終価係数(目標額)を使うことになります。
この問題では、「必要となる毎年の積立金額」を求める必要がありますので、減債基金係数を使います。
減債基金係数の値は0.0454ですので、これを目標額の2,000万円に乗じることで答えが導かれます。
2,000万円 ✕ 0.0454 = 908,000円 が、毎年の積立額となります。
2017年9月 第2問(31)解答
現在40歳のAさんが、60歳の定年時に、老後資金として2,000万円を準備するために、現在から20年間、毎年一定額を積み立てる場合、必要となる毎年の積立金額は( )である。なお、毎年の積立金は、利率(年率)1%で複利運用されるものとし、計算にあたっては下記の〈資料〉を利用するものとする。
〈資料〉利率(年率)1%・期間20年の各種係数
現価係数 資本回収係数 減債基金係数
(0.8195) (0.0554 ) (0.0454)
1) 819,500円 ✕
2) 908,000円 〇3) 1,000,000円 ✕
ではもう1問、2018年5月に出題された問題を見てみましょう。
2018年5月27日実施 第2問(31)
元金2,000万円を、利率(年率)1%で複利運用しながら10年にわたって毎年均等に取り崩して受け取る場合、毎年の受取金額は、下記〈資料〉の係数を使用して算出すると( )となる。
〈資料〉利率(年率)1%・期間10年の各種係数
終価係数 減債基金係数 資本回収係数
(1.1046) (0.0956 ) (0.1056)
1) 2,000,000円
2) 2,112,000円
3) 2,209,200円
2018年5月 第2問(31)解説
この問題は、「毎年均等に取り崩して受け取る場合」とあります。
このように、「毎年均等に取り崩して受け取る場合」と書かれているケースは、その取り崩し額、もしくは、取り崩し前の元金(原資)を求めることになりますが、取り崩しの場合は、資本回収係数(取り崩し額)か、年金現価係数(元金(原資))を使うことになります。
この問題では、「毎年の受取金額」を求める必要がありますので、資本回収係数を使います。
資本回収係数の値は0.1056ですので、これを元金2,000万円に乗じることで答えが導かれます。
2,000万円 ✕ 0.1056 =2,112,000円 が、毎年の取り崩し額となります。
2018年5月 第2問(31)解答
元金2,000万円を、利率(年率)1%で複利運用しながら10年にわたって毎年均等に取り崩して受け取る場合、毎年の受取金額は、下記〈資料〉の係数を使用して算出すると( )となる。
〈資料〉利率(年率)1%・期間10年の各種係数
終価係数 減債基金係数 資本回収係数
(1.1046) (0.0956 ) (0.1056)1) 2,000,000円 ✕
2) 2,112,000円 〇3) 2,209,200円 ✕
この問題は、資本回収係数を使い、取り崩し額を求める問題でしたが、年金現価係数を使うケースでは、元金(原資)を求める問題となることは、解説で説明しました。
実は、この年金現価係数を使うケースの「元金(原資)」は、「借入可能額」に置き換えることも可能なのです。
つまり、ローンの毎年の返済額が提示されていて、資料として金利と返済年数が表で示されている場合に、借入可能額はいくらか、という問題にして出題することが可能となるので、留意しておきましょう。
6つの係数に関する過去問は以上となります。
次回は、再度「金融資産運用」の問題に戻る予定です。