こんにちは、FP相談ねっとの大地恒一郎です。
9月8日付で、今月も「MINKABU(みんかぶ)」の「投資信託」サイトに、『「つみたてNISA」のタテヨコナナメ(5)』をリリースしていただきました。
前回から、「つみたてNISA」対象ファンドのうち、もっとも数の多い「指定インデックス投資信託」の指定要件、要は「つみたてNISA」の対象ファンドになるための基準、について説明しています。
7月の金融庁の発表によると、「つみたてNISA」の口座数は、今年3月末には約361万口座となっています。「一般NISA」の口座数 1,224万口座には及びませんが、目を引くのは、昨年3月からの増加率で、全体では+64%ですが、年代別では20代が+93%、30代が+77%となっています。
また、2021年3月末の「つみたてNISA」における商品別買付残高は、「指定インデックス投資信託」が約7,201.7億円、「指定インデックス投資信託以外の投資信託」が約1,212.6億円、「ETF」が約1.6億円となっています。「指定インデックス投資信託」の残高が突出していますが、昨年3月末からの伸びも際立っています。「指定インデックス投資信託」は、約4,385.7億円増となっていて、1年間で2.5倍以上に増加していました。
まとまった資金が手元にない世代にとって、長期・積立・分散が実践できる「つみたてNISA」はまさに資産形成の王道ではないでしょうか。
今回のコラムは、「つみたてNISA」の要件で特に重要な信託報酬を始めとした投資信託のコストについて書いています。
余談になりますが、自分が運用会社に在籍した際、一番印象に残っていることの一つは、金融ビッグバンに関連した制度改革です。そして、その制度改革にも関連しているのですが、信託報酬や監査費用など投資信託のコストに関する業務は、特に記憶に残っています。
私はちょうど、新商品の企画、それに関する信託報酬の決定、目論見書制度導入による信託報酬の改訂、ファンド監査導入による監査費用の決定、成功報酬制度の採用、などに関わっていました。
通常、信託報酬の増額改訂はあり得ないことなのですが、目論見書制度導入という投資信託という金融商品にとって歴史的な制度変更に伴うもの、という理由から、野村、大和、日興の各運用会社は、信託報酬のうちの委託者報酬部分について、0.02ポイントの引き上げを当局に申請し認められました。
1999年以前設定のファンドの信託報酬が、例えば、税抜1.50%ではなく1.52%などとなっているのは、そういう事情からです。
「つみたてNISA」を始められる方には、投資初心者の方も多いと思われます。また、投資信託が取っ付きづらい金融商品である理由の一つに、専門用語が多過ぎてよく分からない、というものがあると言われています。ですので、販売手数料や信託報酬などについて、できるだけ分かりやすく書いたつもりです。
しかし、私自身が業界にどっぷり浸かっていた当事者ゆえ、どうしても難解になってしまいがちなのも事実です。その点はなにとぞご容赦ください。
来月も、「つみたてNISA」のファンドを選ぶうえで注意すべき、投資信託のコストについてお伝えしていく予定です。今月、来月ともにご覧いただけると幸いです。