塚越 菜々子

【注意!】iDeCo+(イデコプラス)金融機関を指定するのはルール違反

共働き家計にゆとりを増やす専門家
保険を売らないFPの塚越菜々子です。

iDeCo+(イデコプラス)って聞いたことありますか?

iDeCoは知っているけどプラス? 何がプラス? と言う感じかもしれませんね。
まだ新しい制度で、広く普及しているわけではありませんので耳なじみがないかもしれません。

そんなiDeCoプラスで、聞き捨てならないルール違反を見つけてしまいました。

これからだんだんと制度が普及してくると、もしかしたら関係してくる可能性がありますので、よかったらちょっと頭の隅に置いておいてください。

iDeCo+(イデコプラス)とは?

イデコプラスは、正式名称を『中小企業掛金納付制度』といいます。
簡単に言うと『それぞれの個人のiDeCoに会社が掛け金を追加で拠出(プラス)する制度』です。

詳細を知りたい場合は国民年金基金連合会のウェブサイトで確認してみてください。
www.ideco-koushiki.jp/owner/ideco_plus.html

個人型・確定拠出年金(iDeCo)は完全に個人でやるもの。
企業型・確定拠出年金(DC・401K)は完全に会社でやるもの。
iDeCoプラスはその個人型と企業型の間にあるイメージですね。

個人が開いているiDeCo口座に会社がお金を追加で入れてくれるもので、福利厚生や退職金制度の補助のように利用されます。

会社がいくらお金を入れてくれるかは、会社の制度次第です。
例えば、勤続年数などで

  • 1年~3年までは月に2000円
  • 4年~10年までは月に3000円
  • 10年~は月に4000円

このような感じで会社が決めています。(あくまで一例です)

あくまで「iDeCoの口座に」なので、掛金の上限は会社と自分で合わせて、もともとの自分のiDeCoの上限額です。
23000円が上限で、会社が3000円出してくれるとすると、自分が出すのは最低2000円~最高20000円ということになりますね。

自分の分の掛け金は給与天引きで会社に預け、会社が会社の補助分をまとめてiDeCoの口座に入れてくれることになります。

iDeCoプラスができるのは誰?

会社の制度ですので、会社が制度を導入しないと始まらないのは当然です。

また、雇われている人全員ではなく、基本的に「厚生年金被保険者」(=社会保険に入っている従業員:パート正社員問わず)などと定められます。

そこに該当すれば、『原則として全員同じ金額が助成』されるのがルールです。(加入を強制することはできません)
例外的に職種や勤続年数などでその助成の額を分けることは可能です。

先ほどの例でいうと勤続年数で変えていく方法ですね。
ただし、そう決めた場合は勤続年数が同じなのに、あっちの人はいくら・こっちの人はいくらと差をつけることはできません。

そもそもiDeCoをやっていないとしたら会社がお金を入れるところがないためiDeCoの口座は自己責任で開設をする必要があります。
会社はそこをサポートする義務はありません。
(まあ、せっかくの制度だから、個人的には説明会ぐらいしてくれたらいいのにと思いますが・・・・)

金融機関を指定するのはルール違反

社会保険に加入している・決められた期間以上勤務している、という条件を満たしてiDeCoに加入していたら、その他の条件で差別をすることはできません

例えば、「〇〇銀行でiDeCoをやっている人だけ」「これからiDeCoを始める人は〇〇証券で」「それ以外は会社からお金を出さない」「〇〇銀行の人は2000円、それ以外は1000円」のように会社が要求したり差別したりするのはルール違反です。

iDeCoはそもそも従業員が金融機関と個別に契約をするものなので、どこでしようと会社には関係がないことです。
金融機関によってiDeCoの手数料も、商品のラインナップも全く違うので、わざわざ自分が選んだところから金融機関を変更しないと助成してもらえないようでは大問題。

上記の国民年金基金連合会のウェブサイトにもしっかりと書かれています。

 

実際、私のところにご相談に来たお客様の会社で「ゆくゆくはほかの金融機関でも助成するが、今は〇〇銀行だけ」という事例がありました。

お客様はそれがルール違反かどうかよくわからないので、指定の金融機関で始めなければいけないのかと思ってしまったそうですが、それは不当な定めです。
iDeCoの手数料は従業員自信が負担し、商品選びも運用の責任も自分でとるものですから、なおさらなんとなく会社の言いなりの金融機関でiDeCoを始めるのは危険です。

もし「iDeCoプラスで金融機関を指定」する、「他の金融機関でiDeCoをしている人と差をつける」
そんな話があった場合は十分に注意してくださいね。