塚越 菜々子

絶対減らないと思って決めたのに!?iDeCoは「元本保証」じゃなくて「元本確保」です。

減るのとか絶対ムリムリ!私は元本保証しか選ばない!節税だけできればいいから!
・・・・なんて思っていたら、もしかしたら落とし穴があるかもしれませんよ。

 

\家計簿にサヨナラしよう!/
共働き家計専門!「貯まる・増える仕組みづくり」
確定拠出年金ねっと認定CFPの塚越菜々子(つかごしななこ)です。

 

“iDeCoはNISAと違って「元本保証」の商品もあるよ~”

なんて聞いたことはありませんか?
元本保証に預け入れてもその掛金は所得控除できるから節税になってお得。
↑運用したくないと言うと、こんな説明を受けることもよくありますね。

でも実は、iDeCoの中では元本保証ではなく「元本確保型」と書かれています。
元本保証と元本確保は違うのです。

今回は、iDeCoの「元本確保」とその注意事項をお知らせします。

 

元本確保型商品は定期預金と保険

確定拠出年金の元本確保型の商品は「定期預金」と「保険」です。

定期預金は1年だったり3年だったりがありますね。
金融機関(運営管理機関)によっては元本確保型商品は1年ものの定期預金一つしか用意していないところも多いです。

 

また、保険は「年金保険」や「積立傷害保険」の商品などがラインナップされています。

保険で元本確保?
と思いませんでしたか?私は定期預金と並べて元本確保商品に保険が並んでいるのって、私は違和感アリアリです。

ただ、iDeCoの場合の保険は普通に万が一のことだったりを考えて加入する保険と違って「保障」の役割はないので、その点を気にする必要はありません。

元本保証と元本確保の違いとは

  • 元本保証
    ・・・全ての運用期間にわたって元本の額が減らない(元本割れしない)ことが約束されています。
  • 元本確保
    ・・・あらかじめ決めた日(満期日など)になったら元本を払い戻すことになっています。
    ちゃんと決めた日までお金は「確保」しておきます。でもその日になっていないなら「保証」はしませんよ。ということですね。

定期預金と保険の注意点とは

その、元本保証と元本確保の違いを踏まえて、定期預金と保険のそれぞれの注意点を挙げてみます。

定期預金の注意点

iDeCoの定期預金の特徴は、

1:毎月新規に定期預金を買っていくしくみ
2:一番初めに買った利息が次の月買う定期にも適用されるのではない
  (たまたま変わっていないという場合はある)
3:書かれている利息は「満期」まで保有した場合の約束

ということです。

図を見てください。

月に1万円買っていくとして、翌月また1万円積み立てたら、一つの定期預金の残高が2万円になるわけではありません。1万円の定期預金が2本ある、という考え方になっています。

1年間買い続けると1万円の定期預金が12本あることになります。
そのため、合計は12万円だとしても全部に同じ利率が適用されるとは限らないのです。

初めて(1本目)の定期預金(1年もの)を買った時の金利がずっと続くわけではありません。
図に書いた利息はあくまでイメージです(今はこんなにつきませんね!)

 

1年もの定期預金の満期は1年後。
満期まで持っていて初めて買った時の利息が約束されます。
それを途中で商品変更のためなどに解約すると、途中解約利率が適用されるため、購入時に確認した利息が付かなくなります。

例えば、図の例で行くと、1月から毎月10,000円分の定期を買っていくとすると、1月買ったものは1年後に満期になります。

1年後には定期預金の合計残高は12万円。

“まとまったお金になったから全部スイッチング(預け替え)しよう。
1%の利息で始めたから、12万円の1%の1200円の利息が付くだろう”

と思ったら違います。

図のように、満期までもって1%の利息がもらえるのは一番初めに買った1万円だけ。
残りは途中解約利息が適応されてしまうので、
黄色の部分にかかっているものは「利息の半分(0.5%)」
赤色の部分にかかっているものは「普通預金と同じ利息」
しかもらえません。

ただし、もらえる利息は当初予定より減りますが、元本割れはしません。
そういう意味では、定期預金は「元本保証」と言えますね。

 

保険の注意点

保険の場合も、毎月新しい(別契約の)保険を買っていくという仕組みは定期預金と同じです。

保険の場合注意したいのは「解約控除」があることです。


途中解約した場合、定期預金はもらえる利息が減るだけでしたが、保険商品の場合は「解約控除」と言われて、預けたお金から手数料のように差し引かれるものがあります。

満期まで保有している場合は「元本を確保」しておきますが、途中で解約した場合は解約控除のぶんだけ元本割れの可能性があるのです。

注意していただきたいのは、図の通り、毎月違う保険契約をしていくので、解約控除の金額がわかりにくいということです。

 

ただし、解約控除はすべての保険に適用されるわけではなく、解約控除がない商品もあります。
また、離職したり退職したりして一度iDeCoのなかの商品を現金化する場合は「解約」とはみなされず、解約控除が適用されない場合もあります。

毎月別のものを買っているというiDeCoの特徴ゆえにわかりにくい部分があるので、保険商品を買っている・検討しようと思っている場合は必ず、その「商品概要」「運用情報」を確認するようにしましょう。

 

そもそも口座管理費で元本割れしている可能性大

上記のような商品そのものの仕組みとしては、満期まで持てばどちらも元本を割れることはありません。

が、それは手数料を度外視しての場合です。

 

iDeCoは口座を管理するために、初回と毎月一定の手数料がかかります(金融機関によって違います)
毎月掛け金を出す場合は、最低でも月に167円の手数料がかかります。

この金額を定期預金や保険の利率で得ることはできるでしょうか?

 

差し引かれる167円の手数料以上に増えていない場合は、実質預けたお金は目減りしていきます。
節税分があることが多いでしょうから、実際のところトータルでは損をしているとは限りませんが、そもそも節税分を使ってしまっていたら本末転倒。

 

決して元本確保型が悪いわけではありませんが、せっかくiDeCoを始めたならもう一歩。
せめて手数料に負けないぐらいは運用できるといいですね。

 

ものすごい高度な勉強をしないと運用商品選びができないわけではありません。
定期預金以外わからない、という方でも大丈夫(^^)
基本の基本からお伝えしているので、自分でiDeCoを始められる方がどんどん増えていますよ。

保険も金融商品も販売せず、自分で選択する「チカラ」と「情報」お届けしています。