こんにちは!岡山のFP相談ねっと認定FPの黒木留美です!
では、残り7金融機関の調査報告を続けます。
6:その他銀行 70点 ★★★★
先行して調査した相談ねっとFPメンバーより高評価があり、期待大です!
カウンター内の行員に「iDeCoの話が聞きたい」と伝えるとすぐにカウンターの席を勧められました。担当者は別のお客様の接客中のため、しばらく待ちます。カウンターの衝立にはiDeCoのチラシが貼ってあり、パンフレットもきれいに並べられています。
ベテランな雰囲気を醸し出している担当者が「お待たせしました」と来てから、流れるように一般的な加入資格の説明、私に就業状態を確認して、掛金上限の案内がありました。
「自営業の方には注意点があります。もし国民年金基金に加入していたら、基金と合算して68,000円になります」という説明があったのは、12金融機関の中で唯一ここだけです!担当者はiDeCoの制度を熟知していることが伺えます。
また、今までの金融機関と比べて、掛金の節税の話をしなかったことも印象的。
「税金の計算は私たちはできない」と一言断り、「知りたければ、税理士にきいてください」と説明があります。
確かに、個別具体的な税額計算をすることは税理士法に抵触します。
行員として説明してもいい範囲を熟知していて、信頼感アップ。
商品ラインナップについて、商品選びに関しては定期よりも投資信託での運用を勧めており、分散によるリスク低減の説明がありました。
担当者は「私たちは個別の商品については説明できないことに法律でなっている」と一言断り、次のような案内があります。
・「当行iDeCo」運用商品一覧に商品に関するくわしい情報を書いているが、それ以上知りたい時には対応できるコールセンターがある
・SMART FOLIO〈DC〉スマートフォリオ活用ガイドというみずほ銀行が提供しているサービスがある
加入時と毎月の手数料はもちろん、12金融機関の中で唯一ここだけ年払い・半年払の説明。
手数料が節約できるメリットと併せて話があります。
たが、パンフレットには「事務委託金融機関月66円拠出しない場合もかかる」と明記されているにもかかわらず、拠出しない月には手数料がかからないという説明があります。拠出しない月0円じゃないですよ!
とても細かい点ですが、年払いになって節約できる手数料は国民年金連合会にかかる手数料月105円です。例えば、年1回まとめて拠出すれば、残りの11ヵ月には手数料がかからないため、年1,155円(=105円×11ヶ月)を節約できます。
事務委託手数料として手数料月66円(66円×11ヶ月=726円)は掛金を拠出しない月もかかります。
つまり、運営管理機関の手数料が0円であれば、年払いだと171+726=897円だけです!
年間の手数料ですよ!安い!
「引落口座は当行でも他行でもどちらでもいいです。」と言いつつも、こちらの銀行で口座振替をするメリットも説明してくれました。
実際他行とくらべて、こちらの銀行に口座作ったり、口座振替をするきっかけになると実感!
ネットで申し込みを完結できるし、窓口でサポートもできるとどちらでもできることをアピール!窓口が複数あることは嬉しいですね。
申込時に持参するものをメモで渡すというきめ細やかな対応にも感激しました!
7:その他銀行 70点 ★★★★
ドキドキ!我が家のメインバンクです。
カウンター内の行員がすぐに気がつき、「iDeCoの話が聞きたい」というと少し待たされて、ローカウンターに案内されました。行内はポスターは2、3箇所に貼ってあるが、パンフレットやチラシは置いてありませんでした。
名前も口座の有無を聞く金融機関がほとんどですが、ここはどちらも聞かれません。「引き落とし口座はどの金融機関でもいいですよ」という良心的な説明があります。こんな調子で最後までほぼ営業らしい話はありませんでした。
就業状態の確認があり、「フリーランスです」と答えると1号の掛金上限が案内されます。
iDeCoの3つの節税について、パンフレットに沿って、全て説明があります。3つ揃った説明は初めてです。今までは受取時の税金がない金融機関ばかりでした。
商品ラインナップはシンプル。節税だけ目的、投資未経験者は定期、少し進んで定期と投信の組み合わせなど、窓口で案内して入った人の例で説明があります。商品選びに迷ったら、「手数料が安い方がいいですよ」アドバイスがあります。
手数料に関しても、パンフレットに沿って、加入時・毎月の手数料と信託報酬の説明がありました。
商品選びは特にツールなどないが、「個別商品の推奨はできないんです」と断りながらも、「可能な範囲で案内します」と言われて、親切な印象が残ります。
申込書類に関しては、「必要書類を持ってきていただければ、簡単にできますよ」と窓口でもサポートがある様子です。
一つだけ、細かい点で驚きの回答がありました。本当に驚いたので、このお話はびっくり回答編でお伝えします。
8:都市銀行 80点 ★★★★
ロビー係員に「iDeCoについて聞きたい」と伝えると、口座の有無を聞かれ、番号札を渡されました。しばらくしてローカウンターから、行員に番号を呼ばれました。
待っている間、行内を見ていると、3種類のiDeCoに関する資料が整然と置いてありました。資料が充実していますね。銀行として力を入れている感じがします。中でもわかりやすいと思ったのは「まんがでわかるiDeCo」というマンガで説明している資料です。
パンフレットに沿って、税制優遇の話や受取時の非課税額シュミレーションなどわかりやすい説明が続きます。
就業状態は掛金の説明時に確認がありました。「専業主婦です」とだけ答えるとなかなか行員が夫の仕事を確認してくれません。(なぜ確認しないの?と思いつつ)私から「夫は自営業」と伝えました。でも「掛金の上限は23000円」と3号の案内をされました。やっぱり!専業主婦=3号と判断したようです。公的年金の基本的な知識がないことがわかります。
夫が自営業の場合、妻は3号ではなく、1号になります。掛金の上限は23000円ではなく、68000円です。
来月から消費税が上がるというのに(9月に調査)、増税後手数料も上がることに気がついていない!増税後の手数料について質問すると、最初は「手数料は変わりません」と回答。(マジか?と思いつつ、パンフレットに)「税込みと書いてある」と指摘したら、慌てて訂正。ですが、「元の手数料がいくらかわからないので、増税後の手数料はわからない」と答える始末。(割り戻す計算しないの?と思いつつ)「少し上がる?」と聞くと、「はい」と回答。チーン・・・といった心境。
条件を満たせば、運管手数料が0円という案内があり、力が入っていました。「iDeCo残高50万円以上」「掛金月1万円以上・メルアド登録・ロボアドに目標額を登録」というどちらかを満たせば、運管手数料255円が0円になるそうです。また投信の信託報酬も業界最低水準とコストの安さをアピール。
9:証券会社 5点 ★
大手証券会社の一つです!
受付で「iDeCoの話が聞きたい」と伝えると、すぐにローカウンターに案内されます。
奥から現れた方から、「支店には担当者はいない」「コールセンターには専任の者がいるからコールセンターにかけてもらいたい」と最初からコールセンターを案内します。
「簡単に説明しましょうか?」と言うので、お願いしたが、加入資格確認もせず、手数料や節税の説明も全くなし。要領を得ない説明で何が説明したいのか、わからない!だったら、説明しないほうがましです。
10:その他銀行 5点 ★
11:証券会社 55点 ★★★
12:地方銀行 20点 ★
カウンター内の行員に「iDeCoの話が聞きたい」と伝えると、しばらく待たされて、別の行員にローカウンターへ呼ばれました。「保険担当」というネームバッジを付けていました。
まず口座の有無を聞かれました。「無い」と伝えても、それ以上は聞かれず、パンフレットに沿って、説明がありました。
加入資格の確認のため、職業を聞かれた時に「専業主婦です」と伝えました。夫の仕事を聞かないので、自分から「夫は自営業」と伝えました。最初は3号の説明をしようとしましたが、パンフレットに書いてある説明書きを読んで、そこからは1号の説明がありました。
ギリギリセーフ?やはり金融機関に勤務するからには公的年金の概要は知っておいてもらいたいですね。
iDeCoの制度に関する説明はさらっとありましたが、細部に抜けがあります。
もう一つは非常に危ない勧め方だと危機感を感じたことがあります。
つみたてNISAの説明もありましたが、外貨建て個人年金を強く推してきたことです。
外貨建て個人年金を「円建て個人年金は増えないけど、外貨建ては運用もするし、増える」という説明で勧めることです。私が「iDeCoもつみたてNISAも運用ですよね?何が違うの?」と聞くと「シュミレーションができます」と回答。為替変動リスクについて一切説明ない。
外貨建ての提案時に
為替変動リスクの説明がないなんて、ありえなーーーーーーい!!!!!
生命保険料控除が使えることも強調していましたが、iDeCoの控除と生命保険料控除の違いなんて、一般の方はわからないだろうに、そこの違いは一切説明せず、ただ控除があることだけを強調する。
「シュミレーションできる=安心」ではありません。
一般の方であれば「iDeCoより個人年金の方が増えるし、安心」と誤認する可能性が高い説明と思いました!
こんな勧め方で外貨建て個人年金の契約をしたら、銀行にクレームきませんか?
まだまだこれから改善の余地あり
今回私たちFP相談ねっとFPのチームによる調査は全国で25金融機関55窓口で行いました。
100点がついた窓口はたった1箇所です。
様々な問題点が浮き彫りになり、正直いって「・・・・・」といった感想です。
確定拠出年金のプロの目から見て、
「iDeCoをはじめたい」といった方に適切な説明ができているかどうか?
この窓口でiDeCo加入までスムーズに行われるか?
が調査項目でした。
現在の状況ではiDeCoに関する知識のないお客様に金融機関窓口でiDeCo加入することはお勧めできません。
私が考えるお勧めできない理由を2つお伝えします。
そもそものiDeCoの目的は?
iDeCoの目的は老後資金を貯めることです。それも定期ではなく、投資信託で運用するとより価値がある制度です。
金融庁の報告書でも「将来に向けて少額からでも長期・分散・積立による資産形成を行う」ことと書かれています。
なのに、「選ぶ商品に困ったら、定期でも節税になりますから」という節税推しがあまりにも多い!
運用に慣れていない方にとっては、折角の資産形成への第一歩となる制度なのに、その芽を摘んでいるようにしか思えません。
iDeCoの説明は制度説明と資産形成とセットでした方がいいのではないでしょうか?
窓口担当者はiDeCoの制度を熟知している?
残念ながら、大変レベルに差があると言わざるを得ません。
当たり外れが多い、これが現状です。
びっくりするような回答もありました。
制度に熟知してるように思う方でも、細部となると間違った認識がチラホラみえます。
商品の研修しか受けていないということはありませんか?
最低限これだけは説明しなくてはいけない項目を把握していますか?
iDeCoは国の制度なので、商品のことだけ分かっていればいいという訳にはいきません。
商品だけではなく、iDeCoの制度概要、資産形成の基礎知識も併せて学んでください。
金融機関の方は自分でiDeCoをすることが一番の近道かもしれません。
実際窓口の行員の方に「あなたはiDeCoをしていますか?」と聞くと「しています」といった行員の方のほうが自信をもって、説明していました。
専門のFPのところに行くという選択肢もあります
金融機関の窓口でiDeCoの説明は聞けます。
でも残念ながら、当たり外れが多いことが今回の調査から判明しました。
資産形成は正しい知識ではじめないと損することもあります。
長い人生の中で一時ご自身の将来のためにiDeCoのこと、資産形成のこと、学んでみませんか?
iDeCoスタートセミナーなど開催しております。しっかりと学んでから初めたいという方、ぜひご参加ください。
まだ前編を読んでいない方はこちらからどうぞ。