毎日毎日頑張っている看護師さん、お疲れ様です。
FP相談ねっと認定ファイナンシャルプランナー、看護師、キャリアコンサルタントの中林友美です。
前回のコラムでは
- イデコのキャッチフレーズ「老後のためにいま、できる、こと」を、看護師は「自分の看護師人生の退職金のためにいま、できる、こと」と読み替える
- 今の自分が、将来の自分に仕送りする気持ちで毎月積み立てをしていく仕組みが心の安定につながる
- イデコを知った後にはじめるかどうかは「自分ごととして考えられるか」どうかにかかっている
について説明しました。
今回はまず、なぜイデコが看護師にとって最強の仕組みなのかについて説明したいと思います。
まず、前回にも説明しましたが、転職経験が複数回ある看護師は、ずっと看護師として切れ目なく仕事をしていても、残念ながらまとまった退職金が望めません。
退職金制度は法律で定められているものではなく、すべての企業や病院等にあるというものではありません。
医療現場で言えば、小規模の介護事業所や訪問看護ステーション、クリニックなどは明確な退職金制度がない、もしくはあっても寸志程度ところもあります。
一般企業であれば、大企業だけでなく、中小企業でも企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入しているところも増えてきており(2021年1月現在、750.7万人)、退職金制度への対策が取られています。
しかし、医療業界にはまだまだ浸透していない現状があるようです。
一生懸命がんばっている看護師にとって、「自分で育てる自分の年金」というキャッチフレーズの通り、「今の自分が将来の自分へ仕送りする制度」としてのイデコをぜひ活用してほしいです。
イデコには3つも税制優遇があるんです!
イデコには、3つもの特別な税制優遇があるんです!
ここでは、その3つの税制優遇について一つ一つ見ていきましょう。
税制優遇の一つめ、イデコには掛け金が全額所得控除という大きな特徴があります。
所得税も住民税も対象なんです!
支払った税金が戻ってくる仕組みといえば、年末調整の時の「医療費控除」や「生命保険料控除」などでおなじみですね。
所得控除の種類は次のとおりです(国税局のホームページにリンクしています)。
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除
このコラムで解説しているイデコは、この中の「小規模企業共済等掛金控除」に当てはまります。
この「小規模企業共済等掛金控除」は、その年に支払った掛け金の全額が控除されるという大きな特徴があります。
例えば、皆さんの多くが加入している生命保険では、支払っている掛け金が多かったとしても、生命保険料控除として認められる金額の上限が決められています。
しかし、このイデコの「小規模企業共済等掛金控除」は掛け金の全額が控除されますので、控除額も大きくなります。
控除額が大きくなるということは、税金が安くなるということになります。
イデコは自分のために積み立てるお金でありながら、その金額に応じて税金が安くなるんです!
税制優遇の二つめは、投資で得られた利益である運用益も非課税ということです。
通常は運用益の2割を税金として支払うのですが、イデコの運用益は非課税ですので、利益はすべて再投資され、自分の資産になるということになります。
税制優遇の三つめは、いよいよお金を受け取るという時にも控除があります。
受け取る時には年金形式か一時金で、受取方法を選択することができます(金融機関によっては、年金と一時金を併用することもできます)。
年金形式で受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象となります。
まとめると、国が公認している最強の節税の仕組みであるということができますね。
あなたのイデコの掛け金、月額の上限はいくら?
次に、それぞれの立場によって異なるイデコの掛金の月額の上限について説明します。
- 会社員(国民年金第2号被保険者)
企業年金なし:2万3,000円
企業型確定拠出年金のみあり:2万円
確定給付型企業年金あり:1万2,000円
- 公務員(国民年金第2号被保険者):1万2,000円
- 自営業者・フリーランス・学生(国民年金第1号被保険者):6万8,000円
- 専業主婦(主夫)(国民年金第3号被保険者) :2万3,000円
ここでは便宜上、会社員と書きましたが、国民年金第2号被保険者すなわち厚生年金の被保険者であれば、看護師もこの会社員と同じと考えてください。
このように、看護師として働いている国民年金第2号被保険者の方の場合、月額の上限は1万2,000円から2万3,000円までありますが、事業所が企業型確定拠出型年金の制度を導入する場合、就業規則でルールを定めなければなりません。
ですから、就職した時にそのような話は全く聞いた事がない、という方でしたら23,000円の企業年金がない職場となると思います。
また給料明細を確認したり、勤務先の年末調整の担当者に問い合わせてみるのも良いでしょう。
イデコの掛け金の最低金額は月額5,000円からとなっていますので、 まずは無理がない金額からスタートさせるというのもよいですね。
ナースのためのイデコ、はじめの一歩
では、具体的に何をすれば良いのか、一つ一つ行動を見ていきましょう。
窓口となる運用管理機関の資料を複数取り寄せる
金融機関の種類は、銀行、証券会社、保険会社、信用金庫、労働金庫など、さまざまありますが、すべての金融機関でイデコを取り扱っているわけではないので、まずは取り扱いのある金融機関を探す必要があります。
そうはいっても、いろいろな金融機関がありますので迷ってしまう方も多いのではと思います。
イデコは個人型確定拠出年金ですから、以前もコラムで書きましたが、「確定拠出年金法」という法律に基づいている仕組みです(「(勝手に!)iDeCo親善大使 for Nurse」誕生しました!」)。
法律に基づいた制度であるということは、どこの金融機関でイデコに加入しても同じ仕組みを利用できるということになります。
金融機関が入口となり、確定拠出年金法に基づいた仕組みを利用するという、そんなイメージです。
しかし、イデコを扱っている金融機関であればどこでも良いというわけではなく、慎重に選んだ方がよいです。
その理由は、金融機関によって扱っている商品や、サービス内容が異なっているからです!
では、何から比べていくか、順番に見ていきましょう。
1.手数料の安さを比べましょう
手数料は何に対してどのくらい支払うことになっているのでしょうか。
①国民年金基金連合会(イデコの実施者)に支払う事務費用(加入者全員が支払うもの)
加入・移換時手数料(初回1回のみ):2,829円
加入者手数料(掛け金納付の都度):105円
(その他、国民年金の未納月が判明した場合等に還付手数料:1,048円(その都度)もあります)
②事務委託先金融機関(信託銀行)の管理手数料(加入者全員が支払うもの)
月額 66円
③運営管理機関(金融機関)の手数料
月額 0円(実質0円も含む)~440円までさまざまです。
月額で表示されると大したことのない金額に思えるかもしれませんが、月額440円を年額にすると5,380円となり、加入期間が10年、20年となると…まとまった金額になることがわかります。
①②の事務費用は必ず支払うものですが、③は0円に設定している金融機関がありますので、なるべく費用を抑えることを念頭に慎重に考えましょう。
手数料の比較に関しては、下記の2つのサイトが参考になります。
- NPO法人 確定拠出年金教育協会 が運営している iDeCoナビ(個人型確定拠出年金ナビ)
- モーニングスターが運営している iDeCo個人型確定拠出年金ガイド
2.運用商品の品ぞろえを比べましょう
運用商品の数や種類は金融機関ごとに千差万別です。
①自分の運用方針に合うかどうか
②信託報酬率(投資信託を持っている間、負担し続ける運用手数料のこと)の比較
の二つの視点で比べてみましょう。
運用商品の比較も下記の2つのサイトを参考にしましょう。
- NPO法人 確定拠出年金教育協会 iDeCoナビ(個人型確定拠出年金ナビ)
- モーニングスター iDeCo個人型確定拠出年金ガイド
運用商品が多いからよい、信託報酬率が低い方がよい、とは一概に言えないところが難しいところです。
上記のサイトで調べてみた後、書籍や雑誌などはもちろん、インターネットやユーチューブなどでもいろいろな人が発信している情報も集めましょう。さまざまな意見を参考にして自分に合った金融機関を探してみましょう。
3.サービス内容
金融機関ごとにサービス内容が異なり、それぞれの特徴があります。
①直接窓口で相談できる(店頭に出向く場合は事前に電話で確認した方がスムーズ)
②コールセンターは平日遅い時間まで受け付けている、土日や祝祭日も受付している
③問い合わせは複数の方法(電話、Web、メール等)で行える
④よくある質問が充実している
⑤Webでの手続きがわかりやすい
⑥ポイントが貯まる
などの付加価値に注目して比較して、自分のライフスタイルに合わせて比較してみることも大切です。
サービス内容の比較も下記の2つのサイトを参考にしましょう。
- NPO法人 確定拠出年金教育協会 iDeCoナビ(個人型確定拠出年金ナビ)
- モーニングスター iDeCo個人型確定拠出年金ガイド
3つのポイントから2~3つの金融機関を選び、資料を取り寄せよう!
以上の手数料・商品の品ぞろえ・サービス内容の3つのポイントから、2~3つの金融機関を選び、インターネット経由、もしくは電話で問い合わせ、気軽に資料・申込書を取り寄せてみましょう!
以上で、ナースのためのイデコ、はじめの一歩①は終わりです。
次回のコラムでは、取り寄せた資料を比較検討するところからお伝えしますね。
もし、「興味はあるけどちょっと心配…」「一つ一つ一緒に確認しながら進めたい」と思ったら↓↓お問い合わせフォーム↓↓からお気軽にお尋ねください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!