中林 友美

「お父さん、お母さんが認知症かも?って思ったらどうする?」 大事な家族の万が一に備えるシリーズ 介護編 その1

こんにちは!

FP相談ねっと認定FPの中林友美です。

私は看護師として豊富な臨床経験をもつ、ファイナンシャルプランナーでありキャリアコンサルタントです。さまざまな方の有形・無形の資産形成のためのアドバイザーとして活動しています。

今回は、2022年3月20日のclubhouseと連動して

大事な家族の万が一に備えるシリーズ 介護編 その1

「お父さん、お母さんが認知症かも?って思ったらどうする?」

についてお話しします。

久しぶりに実家に帰ってみると…

離れて暮らす実家の高齢の両親… 

近年ではコロナの影響で、以前のようには頻繁に会えていないという方も多いのではないでしょうか。

電話やオンラインで繋いで話している時には気がつかなかったけれど、久しぶりに実家に帰ってみると…

  • 以前に比べて部屋が片付いていない
  • 料理をするのをおっくうがる
  • (以前は言わなかった)友人やかかりつけ医の悪口をいう
  • 変なところにこだわり、自説を曲げない
  • 探し物が多く、なんでこんなところに?というような場所から出てくる

などなど…

「あれ? いつものお父さん、お母さんと違う気がする…」

気のせいかな?…

え、まさか、認知症?!

親が認知症かもしれない?って考えたくないですよね。

私もそうだったのですごくよくわかります。

私の実母が認知症と診断されて丸2年が経とうとしています。

母が認知症と診断される前の状態を上記のリストに挙げてみました。

その時はまさか、認知症の初期症状だとは思わなかったのですが、あとから思い返してみると確かにいつもの母とは違っていたのです。

長寿と認知症

高齢の親世代にとって認知症は決して他人事ではありません。

長寿と認知症は切っても切れない関係なのです。

これは年齢階級別の認知症有病率のグラフです。

首相官邸ホームページ 
認知症施策推進関係閣僚会議 認知症施策推進のための有識者会議(第2回)資料より


80歳代の後半であれば男性の35%、女性の44%、95歳を過ぎると男性の51%、女性の84%が認知症であることがわかります。

特に、80代後半からの女性の増加が著しく、男性は90代になると横ばいとなっています。これは、女性の方が長生きであることも影響していると思います。

もう一つのグラフも見てみましょう。

これは、65歳以上の認知症患者の推定者と推定有病率のグラフです。

認知症高齢者数の推計 
出典:内閣府 平成29年度版 高齢社会白書 

これは、認知症の有病率(ある一時点においてその病気になっている人の割合)が一定であると仮定した場合と認知症との関連性が指摘されている糖尿病の有病率が増加して認知症の有病率が増加した場合の2パターンで推定しています。

2012年時点では、65歳以上の高齢者の15%(約7人に一人の割合)だったのが、2025年には約20%(5人に一人)に増加すると予想されています。

私たちのような現在の子世代が高齢者になる2050~2060年には3~4人に一人になっていると予想されています。

このような統計が出ていると、まるで年齢を重ねたら認知症になるのが必然のように感じてしまうかもしれません。

でも、私たち子世代が高齢者になるまではまだ時間がありますから、認知症にならないような生活習慣を心がけることができます。

いろいろな研究成果が出てきていますから、私たちは悲観せずに生活に取り入れて前向きに生活していきたいですね。

一人暮らしを楽しんでいた母でしたが…

父が8年前に他界し、母は東京の一軒家で一人暮らしをしていました。

父が存命のころからも大好きな韓国ドラマを見てよく夜更かしをしていましたが、一人暮らしになってからは誰にも気兼ねすることなくますます韓国ドラマに夢中になっていました。

もしかしたら不規則な睡眠時間とか、いつも寝不足のような環境が認知症の発症に関係しているかもしれませんが、母にとっては幸せな時間であったことは間違いありません。

韓国ドラマは認知症になった今でももちろん楽しんでいますが、この写真にあるような複雑なリモコンの操作は難しいので、再生機能しかないDVDプレイヤーを愛用しています。

かかりつけ医に自分から相談

母は、自分で物忘れがひどくなってきたことを自覚し、かかりつけ医に自ら相談しました。いくつかの検査を経て、認知症と診断され、認知症進行予防のための薬を処方されました。

その後、数か月は特に問題なく過ぎました。でも、ある時からいろいろなことに対して文句ばかりを言うようになってきました。「あそこは嫌だ」「○○されたから気に入らない」「もう行かない」「絶交だ」などのエピソードが同時多発的に発生し始めました。

それは、7~8年通院していたかかりつけ医だったり、ケアマネージャーさんだったり、3年以上通っていたデイサービスだったり、以前から親しくしていた友人だったり、です。

その時の母はずっととげとげしていて、許容範囲も狭くなり、いろいろな方との関係を断絶してしまいました。

今から振り返ると母は「大事にされていない」「自分のことが尊重されていない」と感じ取り、関係を断っていったのではないかと思います。

それを機に、処方されていた薬も飲まなくなってしまいました。認知症の薬だけでなく血圧の薬や血液サラサラの薬など6錠以上あった内服薬もすべて自己中断してしまいました。

そんな時どうする?

その時は、母の意見を尊重するしかなく、結局かかりつけのクリニックにもいかなくなり、ケアマネも契約解除し、デイサービスもやめてしまいました。

母は「清々した」と言っていました。いろいろなことに縛られているように感じ煩わしかったのかもしれません。

そんな中、高齢者の長寿健診のお知らせがきたので健診を受けるために地元の小規模の総合病院(入院施設あり)を受診しました。その後、結果を聞きにいくことを口実に受診、医療機関への通院を再開することができました。

血圧などは落ち着いているとのことで、認知症の薬だけ再開することになりました。

このような状態のときは、認知症の診断はあってもまだまだ判断能力はあり、本人の意見を尊重するしかありません。本人の意見を否定するとますます意固地になるので、いったん時間を置くことも大切です。

ありがたかったのは、地元の地域包括支援センターからハガキがきたことです。何か困っていることはありませんか?と記入するハガキが届き、母はそれに返事を書いて投函したようなのです。

実は、母自身もちょっとした困りごとを自覚していたようで、地域包括支援センターから連絡をいただき介護サービスと再度つながることができたのでした。

つづく…

「70代の親をもつFP研究会」 とclubhouseの連動企画

毎月第1・第3日曜日の21時から30分間、かしましFPの3名でお送りしているclubhouseの番組「かしましFPのチアアップ♪ルーム」では、「70代の親をもつFP研究会」と連動して「親が将来困らないためにこれだけは聞いておきたい質問」や「親に切り出すタイミングや上手な切り出し方」とその質問をする理由など、子世代の目線でお伝えしています。

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