小川 洋平

○○をケチると社長の資産が失われる?

こんにちは(^^)

経営者の理想を実現する資産形成のプロ、ファイナンシャルプランナーの小川です。

「今はそれなりに仕事も忙しいけど、将来どうなるか不安・・・」

「年を取ったら誰かに会社買い取ってもらってゆとりのある生活をしたい・・・」

このようにお考えの経営者さんも多いのではないでしょうか?

経営をしていれば少なからずお金の不安を抱えておられるでしょうし、歳を取ったらゆっくり過ごしたいという方も多いでしょう。

しかし、○○をケチってしまうと、実はそんなお金の不安を拡大し、社長の資産を減らしてしまうことになるのです。

その○○の正体とは・・・

「税金」

です。

①節税の罠

「税金が高い・・・」

と思って節税のために保険に入ったり、利益が出ないように必要以上に経費を使ったりしてしまう方も多いものです。

でも、税金が高いからと言って利益を減らせば、当然会社に残るお金も少なくなりますね。

税金を減らすことはできても、会社にお金が残らなくなっては本末転倒です。

それに、もしあなたが株式投資を考えたら、利益が出ていない企業って、どう思いますか?

「せっかく株買っても全然成長しない・・・」

と、こんな風に思うのではないでしょうか?決算情報が公開されているわけではなく、株式が売買されているわけではなく気にする必要が無いと思うかもしれませんが、銀行からお金を借り入れていれば銀行には決算書を提出したり、現在の業績の要因や今後の展望について話す必要があります。

これは株主に業績を報告するのと同様です。

利益が出ていない、会社が成長していないということは銀行にとってもマイナス評価になるわけです。

その結果、融資の上限が制限されたり、高い金利を払わなければならなくなったり、融資の条件が不利になります。

場合によっては経営者の個人保証無しでも融資を受けることができるのに、税金を払いたくないがためにこのようなことになってしまうこともあります。

②節税は社長の資産を減らす?

そして、節税すると実は社長の資産をも減らしてしまうことをご存じでしたか?

株式を売却できるのは何も上場企業だけではありません。

非上場企業であっても、会社は「株式」(持ち分)という形で、第三者に譲渡することができます。

つまり、M&Aのことです。

会社が利益が出て成長して、規模を大きくしていけばあなたの会社の株価もどんどん上がっていくのです。

将来自社を売却しようと思ったら、その評価額というものが売買の基準になってきます。

No.4638 取引相場のない株式の評価|国税庁 (nta.go.jp)

税金の計算上は、会社の純資産額、または経常利益、配当金額などで決まります。

また、実際の売買価格は直近の利益の3倍、5倍など、その時の業績や資産の状況によって変わります。

いずれにしても、しっかり税金を払って会社にお金を残す、そしてそれを事業に再投資していくことで更に利益が増えて資産が増える・・・

これを繰り返していくことで自社株の評価が高くなっていきます。

いずれにしても、しっかり税金を払って利益を残し、会社を大きくしていくことで会社の売値も高くなるわけです。

仮にしっかり利益を出して、毎年毎年資産として積み上げ、純資産が5,000万円程度になれば、それ以上の金額で売却できることも期待できるでしょう。

場合によっては年間の利益の5倍程度などの価格がついて売却できることもあります。

このようにして、税金を払って利益を出すことで会社の価値を高めることができます。

しっかり利益を出して再投資したり、融資を受け、出資を受け、そうやって規模を拡大していきます。

一時的に利益が大きくなった場合など、利益を調整したい場面も当然にあるでしょうが、節税したいと利益を減らしていては会社は大きくなれないのです。

「税金を払いたくない」という代償は、自社株という経営者さんの資産も大きくならないということを意味するのです。

③やってもいい節税

と、ここまで会社を成長させたいなら節税はすべきではないとお伝えしてきましたが、節税した方が結果的にお金を上手に残せるということは別です。

例えば、よく遠方に仕事や研修で出かける経営者にとっては「出張旅費規程」を作り、一日あたりの日当を非課税で経営者にも渡すことができます。

仕事や研修で遠方に行った際(大体目安は60キロ以上の場所や県外)、外食が必要だったり身の回りのものを買うお金など、普段生活している中では不要なお金が必要になりますね。

そういったお金に充てる手当として、会社は役員や社員に対し日当を払う規定を予め定めておきます。

それによって会社側では全額損金にでき、受け取った個人では非課税の収入となるのです。

その代わりに役員報酬を引き下げることで会社に利益を残すことができ、個人に掛かる税金が安くなり、社会保険料の低減に繋がることもあります。

また、企業型確定拠出年金や、iDeCoプラスといった、会社の損金で役員や社員個人の将来の資金を創る仕組みを活用するのも有効でしょう。

役員報酬でお金を受け取り、その中から貯蓄を行うよりも、貯蓄したい金額の分役員報酬を引下げ、その分のお金をこれらの制度で資産形成を行うことで員報酬を引き下げた分の税金は安くなり、社会保険料が下がることもあります。

※社会保険料の低減は社会保障の給付も減らすデメリットつきなので注意

また、従業員さんに決算賞与を払うのもモチベーションアップのために良いでしょうし、利益が出ているうちに更なる成長に向けけての研究開発費、設備投資、増員、宣伝広告費などに投資するのも良いでしょう。

「税金を払うのは勿体ない」

と思うこともあるでしょうし、実際私も喜んで払っているとは言えません。

しかし、本来の目的を見失わず、「税金を払いたくない」ではなく「上手にお金を残す」という意味での節税を心掛けていただけると、ご自身の資産も増え、会社も成長することで将来的に大きな資産を手にすることに繋がります。

会社の株式も自社株という資産であり、成長すればするほどその価値も大きくなることを理解いただき、賢くお金を残す仕組みを作っていただければと思います。