小川 洋平

お金のプロが伝える、経営者に最も大事なこと

明けましておめでとうございます。

経営者の理想を実現する資産形成のプロ、ファイナンシャルプランナーの小川です。

本年もどうぞよろしくお願い致します。

うさぎ年の今年、皆様にとって飛躍の一年になりますよう情報発信して参ります。

さて、新年一発目のコラムですので、それにふさわしいものにしていきたいと思います。

経営者にとって一番大切なものは何??

と、このように聴かれたら、私は「経営理念」と迷わず即答します。

お金のプロですから、決算書が読めることとか、数字を読めることとか言うべきなんでしょうけど、それ以上にやはり大切なのは会社としてどのような姿を目指し、何をしていくか、どのような価値基準を持ち事業を運営していくのかというものです。

これは事業の大小に関わらずに大切なことなのですが、大きな企業になればなるほど超重要なものになってきます。

かの有名な経営の神様、稲盛和夫氏が大切にしていたことは有名な話ですね。

以前に執筆させていただいた記事をご参考に↓

現代ビジネス 「経営の神様」稲盛和夫が創業した「京セラ」の株価、この30年間で「意外な金額」に

「経営の神様」稲盛和夫が創業した「京セラ」の株価、この30年間で「意外な金額」に(小川 洋平) | マネー現代 | 講談社 (gendai.media)

社員さんがいらっしゃる会社は当然にこれが大事になりますし、ただのお飾りにしないで社員に浸透させることが大事です。

勿論、社長や幹部が自分からこの経営理念に反するような経営判断や行動をしたりしてたらアウトです(笑)

なぜこの経営理念が大切なのか、今回はそんな内容をお伝えします。

経営者ではない会社員の方も、経営理念は上場企業ならば必ずホームページに書いてあることで、株式投資においてはご自分がその会社の理念に賛同できるかどうかも一つの基準として考えると良いでしょう。

1.あらゆる経営戦略がこの経営理念を元に構成される

経営理念で語られることは、企業としてどのような姿を目指し、そのためにどのような行動規範を持ち何をしていくか?です。

マーケティングや販売手法はそれらを構成する一つの要素ですので、経営理念が定まらないとそもそもどんな見込み客を対象にして、どのような商品を販売するかが決まらないのです。

それが決まらないと宣伝広告の手段も見込み客が違うから決まりませんし、見込み客のニーズがわからなければどのようなキャッシュポイントがありどの程度の客単価が想定できるか・・・etc

全部経営理念が元なんですよね。

それが定まらないと全てが曖昧。誰か特定の属性の顧客層に刺さる高付加価値な商品、サービスが作れませんので、全体受けするそれなりな商品、サービスで、他社との価格競争に晒されて、低価格競争に強い大企業に押されていく・・・

と、今はひょっとしたら良いかもしれませんが、ここが曖昧だとこのような未来が待っています。

そして、経営理念をしっかり考えたことで窮地を脱した企業が有名なメガネ店のJINSです。

「誰もが良く知るメガネの会社」の株を「50万円」買って、10年持っていたら「億り人」になれていた…!(小川 洋平) | マネー現代 | 講談社 (gendai.media)

2.注力すべき時間とお金が分散してしまう

経営理念がブレブレなときにやってしまいがちなこととして、目の前のお金になりそうな話に飛びついてしまうことです。

簡単に人の役に立ってお金になることならばまぁ良いのでしょうけど、収益化するまでにはそれなりに試行錯誤が必要になります。

一つの事業がしっかり一つのビジネスモデルとして形ができているのであれば良いのですが、そうじゃないのに他の事業に手を出したって上手くいくことは稀です。

一つの重たい岩を転がすのも大変なのに、二つの重たい岩を同時に転がそうとしているようなものですからね(^^;)

でも、ここで経営理念がしっかりあって、自分の中で「やるべき仕事」と「やらない仕事」をしっかり分けておくことでちゃんと分別できるんです。

たまにネットワークビジネスのセミナーなどで「これをやらないヤツはバカだ」という経営者の話が紹介されたりしますけど、そのビジネスが自分の経営理念に基づくものであり、自分の事業の見込み客へのキャシュポイントの一つになったりすればやれば良いですし、そうでなければやらないというのが結論です。

自分のやるべきことを明確にしましょう。

3.採用基準も経営理念が重要

従業員を採用する際にその人の性格、適性を検査するテストがあったりしますが、それをやっても離職率って高いですよね。

これ、大企業の人事担当者さんも忘れてる考え方なんですけど、「自分の会社が目指す方針や価値基準に賛同できなきゃ長続きする訳ない」ということです。

目的地も望む行き方も違いますので、合うはずは無いのです。

学校の成績や学歴、職歴なども大事でしょうけど、根本的なところが合ってなければすぐに辞めてしまうのは目に見えてますよね。

特に、最近の20代は自分が社会にどう役に立つのか、自分の仕事が何になるのか、そういったことを気にする人も多くなっていると聞きます。

SDGsを学校教育で当たり前のように教えている今、会社が事業を通じてどのように社会の役に立っているのかも見られているようです。

社員は自分の実現したい未来に向かい協力してくれる仲間・・・。

こんな意識を持てると、より良好な関係を築くこともできるでしょう。

4.何のために事業を行っていくのか?

そして、何より経営者自身が「何のためにその仕事を行っていくのか?」が重要です。

よく「会社員だったときくらいの収入になればいいから」「生活に困らないくらい収入があれば」と思って独立される方も多くいらっしゃいます。

フリーランスの立場で、下請け仕事でとりあえず自分がお金に困らずに生活していきたいという方はそれも一つの道だと思います。

しかし、それって内向きな仕事になってることがあるんですよね。

以前の私もそうだったと言えます。

「FPの仕事で生活に困らない程度に稼げればいい・・・」

勿論、お客さんのための仕事をしたいからFPとして独立したのは間違いありません。しかし、「多くの人の役に立ちたい」「世の中に貢献したい」という想いではなく、先に「自分がとりあえず生活していければ・・・」と、自分中心になっていたのではないかと今になっては思います。

その結果、お客さんからお金をいただくのを悪いと思ってしまう、お客さんに自信を持って提案、価格の提示ができないといったことに繋がってしまうのです。

そして、それはお客さんに伝わり、成約率は各段に落ちます。(私自身が経験済み)

自分がサービスを提供することは目の前のお客様のためであり、それを喜んでくれるお客様を増やすことが社会のためになることになるという大義名分が自分の中に定着してくると、高い単価でも堂々と提示できるようになってきますし、自身のサービスの価格を自信を持って提示することができるようになります。

特に、人間は95%が潜在意識で行動していると言われ、自分で意識して行動しているのは5%の顕在意識と言われています。

自分で意識して動くことができるのはそのたった5%の顕在意識なのです。

ですので、95%の潜在意識を動かさないと5%の顕在意識では理解していても本気で行動に移すことが難しいという方も多いのです。

しかし、経営理念をしっかり掲げ、それをデスクの前に張り出したり、目につくところに貼り毎日目にしているうちに、95%の潜在意識を段々動かすことができるようになってきます。

そうすることで自分がお客様に商品、サービスを提供することはお客様のためであり、社会のためであるという自信を少しずつ持ててきます。

これは社員に浸透させることでも効果を発揮しますが、経営者さん自身が自分の商品やサービスに自信を持ち、プレゼン、クロージングするにも大切なことです。

経営者にとって、私達FPが持つようなお金の知識を持ち経営判断を行うことも確かに大切です。

しかし、その前にまず自分がどこに行きたいのか、事業の目的地を掲げ、そこに向かい行動を開始することができることが経営者にとって大事なことなのです。

弊社clientsbenefitの経営理念は・・・

さて、今回はお金の知識というよりも、新年ですので今年の目標ではなく、会社にとって最も大事な経営理念についてお伝えしてきました。

実際いざ「経営理念をつくりましょう」と言っても、おそらく多くの方が途中で石化してしまうことでしょう(笑)

自分の理想とする姿ややるべきことを言語化して短くまとめること、そして自分のこれまでの経験則から勝手に自分で自分の限界を定めてしまい、なりたい姿を制限してしまうことがあります。

確かに、物理的に無理な目標を掲げても達成することはできませんし、自分の現状を正しく把握することは大切です。

しかし、物理的に不可能なことではないのに、勝手に自分で「無理」、「自分はそんな器ではない」と考えてしまうと、本当は実現できることも自分で限界を決めてしまうことで実現できなくなってしまいます。

私も自分自身と向き合い、この壁を超えてしっかり自分の目指す姿を言語化するのにとても時間が掛かりました。

そして、やっとナントカ形になり始めてきた経営理念がこちらです。

まだまだ粗削りな部分はあるかと思いますが、今後も言葉の使い方など時々見直しして、もっとシンプルでわかりやすいものに仕上げていきたいと思います。

そして、これを掲げるということは社会に対する約束で、ただの美辞麗句のお飾りになっては意味がありません。

ということで、個人のFPではなく、FP会社としてビジョンを実現できるよう、全力でビジョン実現に向かいミッションを達成していく所存です。

と、宣言したからにはもう逃げられません(笑)

「経営理念・・・。考えてないな・・・。」という方や「とりあえずあるけど、お飾りになっている・・・」という方、事業が永続的に発展するためにはとても大切なことです。今一度しっかり自社の目指す姿、自分のやるべきことを考えてみてはいかがでしょうか。

「志のない会社は、継続的に成長できない」

株式会社ファーストリテイリング 代表取締役会長兼社長 柳井正氏