小川 洋平

ひとり親の手当てを減らされずに収入を増やすテクニック

こんにちは(^^)

経営者のキャッシュを増やし、資産を増やす資産形成のプロ、ファイナンシャルプランナーの小川です。

先日、シニアも住めるシェアハウス運営と燕三条エリアの企業を取材し移住へ繋げる活動、一人親世帯の支援活動をしているサンクチュアリ株式会社代表松岡様のご依頼でセミナーを開催いたしました。

新NISAを活用した方法や、iDeCoで保育料が下がる裏ワザ、そして児童扶養手当を減らさずに手取りの収入を増やす方法をお伝え致しました。

参加された方の中には

「収入を増やしてももっと余裕を持った生活をしたいけど、児童扶養手当が減らされてしまう、無くなってしまううのは嫌・・・」

「一人親控除が無くなり税金の負担が増えてしまうのは嫌・・・」

といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃいました。

今回はそんなシングルマザー、シングルファザーの方に向けて、手当や控除を減らされずに、手取り収入を増やす方法をお伝えします。

1.児童扶養手当(母子家庭、父子家庭手当)とは?

児童扶養手当とは、母子家庭や父子家庭など、離婚や死別、そもそも結婚せずに母親になった場合などが原因で一人親になった家庭に支払われる手当のことです。

支給額や所得要件、対象者については各自治体によって異なる場合がありますのでお住まいの自治体のHPなどでチェックしていただきたいのですが、今回の会場となった燕市ではこのようになっています。

支給額や所得要件については各自治体によって異なる場合がありますのでお住まいの自治体のHPなどでチェックしていただきたいのですが、今回の会場となった燕市ではこのようになっています。

単に離婚や死別だけでなく、その他にも給付を受けられる場合もありますのでどのような場合が該当するのかチェックしておきましょう。

こちらが給付額の表ですが、全額支給の場合にお子さん一人だと44,140円、お二人の場合は10,420が加算され、54,560円、3人の場合には更に6,250円が加算され、60,810円を受け取ることができます。

全額支給、一部支給、支給停止は所得によって判断され、所得が上がるに連れて給付額が下がり、支給停止になることがあります。

では、どの程度になると支給停止になるかというと、下記のような場合です。

こちらはお子さんの人数、その人の扶養人数に応じた「所得」がいくらで全部支給、一部支給か、もしくは支給停止なのか、どれに該当するかを記した表です。

この「所得」の計算式が少し複雑ですが、このようになります。

計算式:①所得額=地方税法上の所得額(※1)+②養育費(注2)ー80,000円ー③【別表】諸控除額

(注 1)・給与所得者の場合:源泉徴収票中「給与所得控除後の金額」
・自営業など確定申告をしている場合:確定申告書控中「所得金額の合計」
(注 2)その児童について扶養義務を履行するための費用として受け取る金額の 8 割

2.所得の計算

まず、所得の意味についておさらいしておきましょう。

よく勘違いされがちなところですが、「所得=収入」ではありません。

所得には事業所得、給与所得、雑所得などがあり、これらを合計した値で計算されます。

事業を営んでいる方

計算式:売上ー経費=所得 

となり、青色申告の届け出をされている方であれば「青色申告特別控除」を差し引いた金額が所得にあたります。

No.2070 青色申告制度|国税庁 (nta.go.jp)

会社員の方の場合

計算式:①給与収入ー②給与所得控除=給与所得

として計算します。

給与所得控除とは、会社員にとっての経費のようなものとして、給与から差し引いて税金を計算いしても良いとされている項目のことです。

参照:国税庁ホームページ    No.1410 給与所得控除|国税庁 (nta.go.jp)

例えば、年間の総支給額が200万円の方の場合であれば下記のように計算されます。

給与所得:①給与収入300万円 - ②給与所得控除98万円(給与収入300万円×30%+80,000円)=③給与所得218万円

他に、事業の所得などがある場合にはこれらを加えて所得が計算され、↓の確定申告書の④の欄の所得額が計算されます。

児童扶養手当の所得は各自治体によって異なり、新潟県燕市の場合には④の所得の合計額をそのまま用いて計算されます。

ですので、生命保険の解約返戻金や、株式の配当、売却益がある場合などは注意が必要です。

3.児童扶養手当に該当するか、チェック

では、仮に勤務先での年収が300万円、お子さん2人を養育し、養育費を毎月6万円受け取っているシングルマザーのケースで考えてみましょう。

計算式:①所得額=地方税法上の所得額(※1)+②養育費(注2)ー80,000円ー③【別表】諸控除額

まず、年収が300万円だとすると、上記の計算の通り給与所得は①218万円となります。

次に、養育費を月額6万円受け取ってますので、年間合計で72万円となりますが、その8割なので②57.6万円となり、そこから8万円を差し引いて計算します。

そして、最後に諸控除額ですが、新潟県燕市の場合には、これらの控除が対象になります。

このケースの場合はいずれも該当しなそうですのでスルーします。

となると

計算式:①218万円+②49.6万円ー③0円=267.4万円

となり、下記の表に当て嵌めるとギリギリで268万円を下回っていますので、一部支給の対象になると考えられます。

と、HPから読み取れる情報で計算してみましたが、実際の計算方法や控除項目の認定については各自治体の担当課に確認してみましょう。

4.児童扶養手当を受け取りながら収入を増やすテクニック

さて、ご覧になっていただいた通り、児童扶養手当を受け取りたいと考えると、お子さんが2人いても年収300万円で養育費を受け取っているとギリギリです。

児童扶養手当を受け取りたいと思っても、年収300万円でお子さん2人を養育していくには決して楽ではありませんよね。

「もっと収入を得たい・・・。けど、児童扶養手当が無くなってしまう、減らされてしまう・・・。」

こういうお悩みを持つ方も多いでしょう。

さほど大きな金額ではありませんので、もしそれ以上にもっと収入を得られるのであれば気にせずに稼いでもらった方が良いのですが、どうせならもらえるものはもらいたい、できるだけ多くもらいたいと思う方も多いことでしょう。

そんな方にプラスαの収入を得ながら児童扶養手当を受けとることができるテクニックをご紹介します。

それが、事業所得を得ることです。

「もっと稼ぎたい」

と思って収入を増やそうとお給料たくさんもらえるように頑張ることは良いことですが、児童扶養手当が無くなってしまったり、税金や社会保険料の負担も増え、「せっかくがんばって働いたのにあんまり手取りが増えない・・・」ということも考えられます。

しかし、事業所得の計算(青色申告の場合)は、下記のような方法で行われます。

①売上ー②経費ー③65万円(青色申告の控除)=④所得

まず、青色申告の控除を受けることで、所得から65万円が控除されます。

なので、仮に毎月5万円の利益があったとしても、年間で60万円で65万円の控除の範囲ですので所得は0円です。

また、②の経費の中にはプライベートでも使うけど仕事で必要な費用も対象になります。

スマートフォンやインターネット料金、車のガソリン代、自動車税、自動車保険料、ガソリン代、家賃の一部など、事業で使う割合とプライベートで使う割合を按分し、事業で使う割合の分を経費にすることができます。

また、所得が0円ですので税金も高くなりません。

こうして収入を増やすことができるるので、自分ができることで個人事業主として副収入を得ることで手取りの輸入を増やしてみると良いでしょう。

5.自営業者のひとり親にオススメなマイクロ法人設立+個人事業主との二刀流

さて、会社員の方のケースで解説してきましたが、自営業者の方の場合は「マイクロ法人」を設立し、更に個人事業主との二刀流がオススメです。詳細は下記の執筆記事をご参考に。

参考:MONEYPLUS  年間40万円以上の節約になる場合も。個人事業とマイクロ法人の二刀流によるメリットと留意点 – MONEY PLUS (moneyforward.com)

例えば、事務代行の仕事をされていて、同時にヨガインストラクターの仕事もできるママさんのケースでご紹介します。

事務代行の売上が年間300万円、ヨガインストラクターが100万円の売り上げがあったとします。

この場合、個人事業だけで営業してると年間400万円の売り上げがあり、青色申告の特別控除を差し引いたり、諸々経費として差し引いても所得が大きくなってしまいますので、児童扶養手当の所得制限を超えてしまいます。

しかし、法人を設立し、事務代行の仕事のみを法人として行い、役員報酬を月額10万円で設定した場合にはどうでしょうか?

給与収入:10万円×12ヵ月=120万円

①給与収入120万円 ー ②給与所得控除55万円 = ③給与所得 65万円

となります。法人からは出張旅費規程や社宅の活用、iDeCoプラス、倒産防止共済等の活用で非課税で個人にお金を渡したり、全額経費で将来の資金を作る戦略を取り利益はほぼ0円を見込んでいます。

(話が更に複雑になるので割愛します)

そして、個人事業主の売り上げが100万円で、経費で20万円程度使った場合で考えると・・・

①売上100万円 ー ②経費30万円 ー③青色申告控除65万円 = ④事業所得 5万円

となります。

そして、給与所得65万円と事業所得5万円を合計すると70万円となり、そこに養育費分の加算額が約50万円加わるとした場合、全額支給の所得制限が120万円となりますので、全額支給の対象となってきます。

といったように、マイクロ法人を設立し、個人事業と二刀流で行うことで児童扶養手当を全額受け取り、役員報酬をや個人事業の売上をコントロールすることで児童扶養手当を減額されずに受け取りつつ、それなりな収入を得ることも可能です。

児童扶養手当がもらえなくなるからと収入を抑えることは本末転倒ではありますが、どうせなら児童扶養手当をもらいつつ収入を増やせれば一番良いですよね?

もっと稼げるようになればそれは気にせずに収入を増やしていただければと思いますが、その前段階としてこのような方法もありますので、ご自身やお子さんのために活用していいただければ幸いです。

『制度を知り、その範囲の中で使い倒す』

ややこしい計算やルールで混乱することもあるでしょうが、一つ一つ関係機関にルールを確認しつつ、仕組みを創っていくことで手取りのお金を増やし、ご自身のため、お子さんのために最大限お金を使うことができるようになります。

また、こちらの試算はあくまでWEBページ上で読み取れる情報と、モデルケースで計算してみた事例になりますので、実際の認定の要件については各自治体に確認いただき、経費にできるものや、家事使用分との按分は税務署や税理士さんにご確認下さい。

「自分はどうなの?」

「文章だと難しくてよくわからない・・・」

と思われた方、状況をお聞かせいただき、どんなことが可能かを無料でお伝えしますのでまずは下記のお申込みフォームよりご連絡ください。