小川 洋平

サイゼリヤって儲かってるの??分析してみた

こんにちは(^^)

経営者のキャッシュを増やし資産を増やす仕組みを創る、ファイナンシャルプランナーの小川です。

あなたはサイゼリヤには行きますか?

私は打ち合わせで使わせてもらったり、平日や空いてる時間帯に昼飲みしに行ったり、たまにお邪魔しています。

つい先日も、新潟市内で予定がありましたので、電車で行って少し早めに到着したのでお昼からワインとたらこパスタをいただいてました。

これ、値段はなんと税込み600円!!

凄まじく安いですよね・・・

しかもこの物価高の中で・・・

この金額を見ると

「サイゼリヤってちゃんと儲かってるの?」

「どんな材料使ってるかわからん・・・」

などなどの声が挙がってきます。

ということで、サイゼリヤはちゃんと儲けられているのか、なぜこの価格を実現できているのか、分析してみたいと思います。

※個別の銘柄を推奨する内容ではありません

1.サイゼリヤはどんな会社?

株式会社サイゼリヤは株式は1967年に創業者である正垣泰彦氏が千葉県に個人のお店「レストラン サイゼリヤ」をオープンしたことが始まりです。1973年に多店舗化を視野に入れて法人化、洋食店からイタリアンレストランに転身していきました。

創業当初は当時珍しかったイタリア料理の敷居は高く、なかなかお客様が集まらない日々が続いていたと言います。

そこで創業者である正垣氏は『お客様が「びっくりするぐらい」、喜んでもらえる価格に』をコンセプトに、品質はそのままで元の価格の3割にまで価格を下げたところ長蛇の列を作ったと言います。

驚くほど安い価格設定は当時から引き継がれてきたものでした。

1999年に東証二部に株式が上場され、現在ではプライム市場(旧東証一部に相当)に上場されています。

2000年代には日本国内のみでなく中国やシンガポールにも店舗を展開しています。

サイゼリヤの哲学:www.saizeriya.co.jp/corporate/philosophy

2.サイゼリヤって、儲かってるの??

では、そんなサイゼリヤはちゃんと儲けることができているのか、決算内容をチェックしてみましょう。

上場企業は必ず自社のHPに決算短信を掲載し、四半期毎に業績を報告しています。

まず、こちらの損益計算書を確認してみましょう。

まず、決算書の見方を解説します。

一番上の①売上高から②原価を差し引いて、③売上総利益を算出します。これがいわゆる「粗利」です。

そして、③売上総利益から人件費や家賃などの④販管費を差し引いて、⑤営業利益を計算します。

この営業利益が「本業の儲け」と言われる部分になります。

営業利益の下の部分に、受け取り利息や支払い利息、助成金や補助金などの収入などが足し引きされて経常利益が計算されますが、しっかり本業で儲けを出せているかどうかは営業利益に着目します。

そして、原価を売上高で割ったものが「原価率」となります。

これだけ価格が安いサイゼリヤですが、原価率は約40%となっています。

原価率40%は飲食店としては高い方になりますが、これだけ安くしながら家族経営でやってる定食屋さんと同等の原価率程度に抑えることができています。

そして、売上高営業利益率は2期通算で5.42%、コロナ禍を少し引き摺っていた前期を合計してもしっかり利益を残せていますし、直近の数字では6.6%と、他のファミリーレストランと比較しても同程度の利益率を確保することができています。

これだけ低価格を実現しても「しっかり儲かっている」と言えますね。

そして、直近会計年度では保有する現預金だけで負債全て支払えてしまうくらいの経営基盤で、自己資本比率は65%程度にもなります。

3.サイゼリヤの安さの秘密は?

サイゼリヤのあの低価格でも原価率はお高めな飲食店と同程度に抑えて、しっかり利益を出すことができているのは徹底した効率化とコスト削減の努力にあります。

お値打ち品のための取り組み:www.saizeriya.co.jp/corporate/effort

サイゼリヤは自社の農場を所有するなど、商品開発~生産、加工、配送までを一貫して行う形態をとっています。こうすることで品質や価格を自社でコントロールすることができ、各工程で徹底したムダの削減をコストダウンを図っています。

サラダに使うレタスについても、大玉でムダが少ない品種に改良を行い、生産の手間も削減する努力を行っています。

ワインについてもイタリアの農場で生産されたブドウを使い、サイゼリヤ専用のタンクで発行・熟成しているサイゼリヤ専用のワインです。

短い期間の熟成で、本場イタリアのハウスワインのようにフレッシュな味わいのワインを提供することができています。

個人オーナーが営むような小さな飲食店ですと

①生産者 → ②卸 → ③小売り → ④飲食店

など、生産~調理されて提供されるまでの間には複数の事業者を介して流通され、それぞれの生産~流通過程においてはなかなか自社でどうにかできるものではありません。

しかし、サイゼリヤは生産から介入して効率化することで原価を下げ、徹底的にコスト削減を行うことができているのです。

調理もプロのシェフではなく、アルバイトのスタッフができるように仕組化されて提供できるようにしてあり、オペレーションも清掃も全て効率化され、徹底したムダの削減がなされているのです。

そして、味は本格的なイタリアンレストランには及ばずとも、イタリア人のお墨付きをもらえるほど。

4.メインの客層は?

サイゼリヤの主な客層は、家族連れが主な対象ではないかと予想されます。

オシャレなイタリアンレストランでは子供達が騒いだりするとゆっくりご飯が食べられませんし、値段もお高くなってしまいますよね。

しかし、サイゼリヤでしたら単品の値段が安いので、家族で食べても会計はお安く済ませることができます。

とはいえ、数人で来店して複数品頼めば価格もそれなりになりますので、一品あたりの価格は安くても客単価はそれなりに高くすることができます。

それを狙ってか、コップも割れないプラスチック製にして子供が落としても割れないようにしていたり、同じような家族連れが多くファミリーレストランのような感覚で多少ガヤガヤしても気にならないような環境になっています。

また、平日の午後は高校生も多く、価格帯も安いのでドリンクバーとスイーツで談笑してる学生さん達も多いように見受けられ、平日の14時頃に行っても待ち時間がある場合もあるくらいです。

町のイタリアンレストランはどちらかと言えば静かな店内でゆっくり会話を楽しんだりする目的で利用することが多く、ちょっとオシャレして出掛けるようなお店が多いでしょうから、そういった環境を求めた客層に合わせた店づくりがされています。

対して、サイゼリヤは家族連れが値段を気にせず、ファミレス感覚で気軽に外食に出掛けることができる店づくりをしているのです。

同じイタリアンを提供していても、どんな客層のどんなシーンで利用してもらいたいお店なのかが異なっているのです。

と、サイゼリヤではこんな経営努力を行い、圧倒的な効率化を行い競合他社が太刀打ちできない参入障壁を創り上げています。

こういった他社が真似できないような参入障壁のビジネスモデルを構築できることは我々中小事業者にとっても重要なことです。サイゼリヤは圧倒的な低価格を実現できるビジネスモデルを構築しましたが、他社がマネできない、ニッチな層に対して優位性を持つような商品、サービスですと価格競争に巻き込まれない、高単価なビジネスを実現することも可能です。

「単価を上げられない・・・」

こんな悩みを抱える中小企業の経営者さんも多いことでしょうが、自社がお客様に選ばれている理由を分析し、そういった客層に対しての優位性をさらにブラッシュアップしてみたり、顧客満足度を下げないように原価を下げられる工夫、業務のムダの排除を考えてみてはいかがでしょうか?

そんなとき、サイゼリヤの経営努力や、成長している企業がどういった工夫をしているのかを調べてみましょう。工夫次第でこんな超低価格でも利益を出せるビジネスモデルが可能なのですから、自社に落とし込んで考えてみるときっと色んな方法があるはずです。

もしも「一人で考えるの大変・・・」と思ったら、私にお声がけくださいね。

プロではありませんので相談料をいただいて具体的な解決策を打ち出すことは難しいかもしれませんが、壁打ち相手くらいにはなることはできるかと思いますし、課題解決のために適した専門家もご紹介できるかと思います。

それでは最後までご覧いただきありがとうございました。