小川 洋平

年収〇〇万円でも生活が大変?!会社員、経営権を持たない役員でもできる可処分所得UPの方法

こんにちは(^^)

経営者のキャッシュを増やし、資産を増やす経営者の社外CFO、ファイナンシャルプランナーの小川です。

最近、X(旧Twitter)で「年収1,200万円でも子供3人都内で育てるのが大変・・・」という投稿が話題になっていました。

それに対して「身の丈に合った生活をしろ」など、賛否様々な声がありましたが、こちらのコラムをご覧のあなたには気持ちが理解できるという方も多いことでしょう。

私も日頃からこんな世帯の相談を受けていますが、数字からそれを実感しています。

今回はそんな年収1,200万円の人の可処分所得(手取りの収入)と、経営者さんでも会社員でも使える可処分所得を増やす方法についてお伝えしていきます。

1.年収1,200万円の人の可処分所得はどの程度?

私達が得た収入には税金、社会保険料が発生します。そして、日本の税制、社会保険の制度は基本的に収入が上がれば負担も大きくなる仕組みになっています。

年収1,200万円の人の年収と、税金社会保険料について、下記の条件で試算してみましょう。

40歳男性 1,200万円   40歳妻 専業主婦(社会保険は夫の扶養) 第一子:10歳  第二子:8歳

税金の控除は生命保険料控除のみ利用しているとする。

このような条件の場合、下記のようになります。

年収1,200万円といっても随分引かれてしまうのがわかりますよね(^^;)

まぁ、一般的な生活を送る分には余裕でしょうけど、かと言って余裕がある生活を送れるかというとそこまででもありません。

年収500万円代の公務員夫婦と同等レベルでしょうか。

2.可処分所得=手取りの収入を増やすには?

経営者さんであれば自分の報酬をコントロールできますので、社会保険料や税金の負担を軽減することは可能です。

しかし、決定権を持たない役員や会社員の方はできることは限られています。

まず、こちらの図で税金の計算の概要を見てみましょう。

税金はこのような流れで計算されます。

これを踏まえ、税金を減らすためにはこのような方法があります。

①所得控除を増やす

②ふるさと納税の活用

③所得自体を減らす

3.所得控除を増やす

「課税される所得」に税率を乗じて税金が計算されますので、課税される所得を増やすことで負担を軽減することができます。

つまり、「所得控除」をコントロールすることで可能なのです。

所得控除を増やすための方法としてはこのような方法があります。

①生命保険料控除

⇒生命保険、医療介護、個人年金と3つの控除の分野があり、合計で年間最大12万円(住民税は7万円)の控除を受けることができます。

②小規模企業共済等控除

⇒会社員の場合はiDeCoの掛金を支払うことで全額が小規模企業共済等控除に該当します。つまり、毎月2万円iDeCoに加入していた場合には、年間24万円になりますから24万円がそのまま控除されます。

税率を33%とすると、年間7.92万円≒約8万円の税金が安くなることになります。24万円の積立額に対して8万円近く税金が返ってくるのですから、とっても効率は良いですよね。

③社会保険料控除

配偶者や家族が個人事業主の場合などで国民年金や国民健康保険に加入している場合、配偶者の保険料を代わりに払った場合には、社会保険料控除に入れることができます。また、学生納付特例でまだ支払っていない国民年金保険料などがある場合には、支払った年の社会保険料控除にすることが可能です。

④扶養控除

その他、16歳以上のお子さんや、年金生活を営む両親なども不要に入れることができる場合があります。

こういった所得控除の枠を活用することが一つの手段です。

4.ふるさと納税の活用

既に使われている人も多いかと思いますが、ふるさと納税も税負担の軽減には有効です。

ふるさと納税とは、自分が好きな自治体に納税することで、納税した金額に応じた返礼品を受け取ることができます。

計算が複雑ですので省略しますが、所得に応じて納税額の上限が定められており、上限額までであればいくら納税しても所得税、住民税が安くなるために実質負担が2,000円で様々な返礼品に変えられるというものです。

詳細はこちらNo.1155 ふるさと納税(寄附金控除)|国税庁

年収1,200万円の人ですとこのようになります。

以上のような条件ですと、25万6000円まで納税することで税金の還付の効果があるという意味です。

ふるさと納税はどのようなものがあるかというと、例えば、私の地元、新潟県長岡市にふるさと納税すると、寄付金額7万円でこんな返礼品を受け取ることができます。

このような返礼品を受け取ることができます。これらの返礼品は、概ね寄付金額の30%弱程度の価値になっています。

「どこに納税していいかわからな~い」

って人にはこんなものもあります

都内に行く機会があれば何かしら使い道はあるでしょう。

ふるさと納税も積極的に活用すべき制度と言えますね

5.選択制確定拠出年金を活用しよう

勤務先に「選択制確定拠出年金」が導入されている場合、こちらの制度を活用することで報酬自体を引き下げて将来の資産形成を行うことができます。

自分の給与の中から最大で年間66万円(月額5.5万円)までを掛け金として拠出することができる制度です。

SBIベネフィットシステムズ みらい年金プラン資料より引用

報酬が下がったと見なされるため、厚生年金保険料、健康保険料の引き下げ効果が期待できます。

SBIベネフィットシステムズ みらい年金プラン資料より引用

こうして給与の金額自体を減らすことも可能です。会社でこういった制度があれば活用を検討してみると税金、社会保険料を上手に抑えながら将来の資産をつくることができます。

経営者さんはこういった制度を会社に取り入れることで自身も税金をお得に資産を残すことができますし、社員さんがお得にお金を残せる仕組みを創り可処分所得を増やすことが可能です。

6.不動産活用で所得を減らせる??

そして、方法は限られてきますが、所得自体を減らすという方法もあります。

会社経営者さんならば役員報酬は自分でコントロールできますので、役員報酬を引き下げすることで個人にかかる所得税は減らすことができます。

しかし、経営権を持たず自分の報酬をコントロールできない人でも、不動産の活用などで圧縮することができます。

その年の所得は給与所得、事業所得や不動産所得などと合算して所得を決定します。そして、上記で解説したような所得控除を引いて課税される所得を計算しています。

よくワンルームマンション投資の営業トークでも「節税」というワードが登場しますが、これは不動産投資で赤字を出し、給与所得と合計すると所得が減るために税金が安くなるという仕組みです。

不動産は家賃収入がそのまま収入になるのではなく、固定資産税などの税金、建物の火災保険料、維持管理費、修繕費、そして借入金にかかる利息が差し引かれ、それらを差し引いたものが利益となります。

 ①家賃収入ー②経費ー③支払利息=④利益 

ですので、②の経費の部分が大きくなると④がマイナスになり、給与所得と差し引きできるのです。

ここで要注意なのが、よく広告で『表面利回り7%』などと記載されているのは、物件価格に対してこれらの経費を差し引く前の満室時の単純な家賃収入のことで、経費を加味すると実際には満室時に3%程度になることも多いものです。

また、実際に手元に入ってくるお金は、利益から返済元金を差し引き、「減価償却費」を加えたものになります。

④利益+⑤減価償却費ー⑥返済元金=キャッシュフロー(実際手元に入ってくるお金)

返済元金は経費にはあたらず、金利部分のみが経費として差し引かれますので、利益=キャッシュフローとはならないのです。

「減価償却費」という言葉が登場しましたが、これについて解説していきます。

建物を購入すると、構造により税法上の「耐用年数」というものが決まっています。

鉄筋コンクリートのマンションであれば耐用年数は47年ですので、仮に建物部分の価値が2,000万円のマンションを購入したとしたら47年で割ると1年あたり約42.6万円の価値が減ることになります。

実際にお金が出て行くわけではないのですが、毎年建物の価値がこの分だけ失われていくという意味で経費項目として考えられているのです。

ここで減価償却費が増えることと初期費用により、②経費を増やすことで節税できることがあるというのが不動産営業で使われるセールストークです。

不動産投資によりかかった費用が家賃収入を上回った場合には損失になるため、不動産の赤字と給与所得を通算して節税ができるというものです。

がしかし!

ここで考えていただきたいのは、そもそも所得がマイナスにならなければ損益通算もへったくれもないということです。初期費用が大きくなるのは当然なのですが、その後は利益を出してくれないと収益物件として保有する意味はそもそも無い、ムダでしかありません。

なので、不動産投資を考える場合には、必ず毎年の利益とキャッシュフローが満室時と、空室がある際での利益、キャッシュフローをシミュレーションした上で行う必要があります。

なので、不動産投資を活用した「節税」というのは本来でしたら「やめておけ」と言うべきものです。

大事なことは手取りの収入を増やすことであって、税金を減らすことではありません。ですので、もし不動産投資を考えるのであれば、「節税」といったワードに惑わされず、しっかり長期的に利益を生んでくれる物件を持つことが大事です。

メーカー側が工夫して初期投資価格を下げることでリターンをしっかり生んでくれる物件を買うこともできますので、しっかりシミュレーションした上で検討してみましょう。

しかし、例外的に空き家活用の場合や、中古リノベーションへの投資の場合にはその節税のメリットを受けることができる例があります。

それが空き家活用やリノベーション物件による不動産投資です。

そして、これは経営者さんは勿論、会社員でも活用できます。しかも、節税しながら利益を生み出すことができる良いビジネスモデルになります。

そんな事例を次回はお伝えしますのでお楽しみに。