小川 洋平

節税+収入 可処分所得を爆上げする空き家活用術

こんにちは(^^)

経営者のキャッシュを増やし、資産を増やす経営者の社外CFO、ファイナンシャルプランナーの小川です。

先回のメルマガで経営者さん以外の方でもできる可処分所得UPの方法をお伝えしました。

最後に空き家を活用し、所得を圧縮する方法をお伝えしました。

今回はその方法についてご紹介します。

1.「減価償却費」を活用した節税術

まず、税金の計算の流れを見てみましょう。

※税金の計算の流れの概略を示した図です。実際の税金の計算は国税庁HP、所轄の税務署、税理士にご確認ください。

不動産で発生した利益は不動産所得として給与所得と通算します。

このとき、不動産の収入よりも経費の方が大きくなると赤字が発生し、給与所得と通算することができます。

仮に年間の赤字を500万円出すことができると、給与所得から差し引くことができます。

例えば、年収1200万円の人だと、給与所得は1,050万円となりますが、ここで200万円の不動産所得の赤字が出ていた場合には、所得は850万円に減らすことができ、この場合の所得税、住民税は下記のように計算されます

Before           After

所得税:127万円      所得税:83万円      差額:44万円

住民税:83万円       住民税:63万円      差額:20万円     年間の節税額合計64万円

※ごく一例です。

このように、不動産所得を赤字にすることで税金の圧縮効果があります。

ただし、先回のコラムでもお伝えした通り、不動産投資はあくまで収入を得るための手段ですから、赤字では意味がありませんよね。

ですので、しっかり収入を得られることが重要です。

不動産所得を赤字にすることと収入を得ることは矛盾しているように思いますが、その方法が空き家活用なのです。

そして、木造住宅の場合、耐用年数は22年とされ、それを超えた建物は4年で減価償却されることになり、空き家を買ってリノベーションした場合には、リノベーション費用を4年で減価償却することができ、減価償却費が大きいために不動産所得を赤字にしながらも不動産収入を得ることができるのです。

どう所得を圧縮するのか、実際に空き家をリノベーションし、学生向けのシェアハウスをつくった方の事例を見てみましょう。

3.空き家シェアハウスの実例

物件:新潟県内の国立大まで片道2Kmほどの住宅地(近くにコンビニあり)

   築40年 外壁、風呂、トイレ、壁紙、フローリング一式リノベーション(総額1,000万円)

   坪数50坪弱

家賃:月額4万円 (水道、光熱費、駐車場無料、WiーFi無料)、部屋数5部屋

空き家購入費用:500万円

借入:1,300万円(年利2% 30年返済) 自己資金:200万円

さて、この空き家シェアハウスの損益、キャッシュフローシミュレーションの結果を見てみましょう。

(利回りは経常損益+減価償却費/投資額1500万円で計算)

最初の4年間は家賃収入に対し経費の部分が大きく赤字になっていることがわかりますね。この経費が大きくなっている理由が、リノベーションで1,000万円を掛けたため、年間250万円の減価償却費が発生していることです。

経常損益は減価償却費が発生しているために赤字であっても、その原因が減価償却費250万円が発生しているため、実際の収支はプラスになっていてこの場合では676,500円の収入を得ることができているのです。

更に、初年度は139万円の赤字を計上していますので、年収1,200万円の人のケースで計算すると1年あたり約45万円の節税効果があります。

つまり、不動産投資による収入と節税効果を合わせて、年間110万円以上お金を多く残すことができるということになります。

当初4年間は節税効果+不動産からの利益を得ることができ、その後もしっかり利益が出る家賃収入を得ることができます。

22年受けられる減価償却費を4年でまとめて受けているため、実際には「課税の繰り延べ」と言えることですが、現役の頃に所得が高く税率が低い時期に減価償却費を上手く使って所得を圧縮して、年を取って所得が低く税率が低いときに利益を繰り延べできれば実際に負担する税額も少なく済ませることができます。

空き家活用の場合、物件自体を安く買うことができます。減価償却費を当初数年で大きく使うことができるというメリットもありますので、しっかり収入を得られる物件を計画し、税制のメリットも活用し手取りの収入を増やしてみましょう。

4.売却時の税制は?

しっかり利益を生むことができる物件ですので、売却することもできます。

仮に減価償却が終わった5年後に売却した場合にどうなるかを考えてみましょう。

投資額のままの値段、1500万円(建物1,000万円、土地500万円)で売れた場合で想定してみます。

土地も建物も当初の価格と変わっていませんので、そのままで売れた場合には減価償却された分1,000万円が利益ということになります。

そして、この1,000万円に対して下記のように税金が計算されます。

20%の分離課税となりますから、この場合には200万円の税金が発生することになります。

ですので、税引き後の利益としては4年間で240万円ということになります。

仮に5年で手放した場合には、4年間の税負担軽減を上回る税負担が発生することもあります。ただし、売却価格がいかに高額になっても20%の分離課税ですので、所得が更に高い人にとっては売却時にも節税効果があるといえますね。

法人を設立し保有することで税制を有利に、長期的に利益を得る方法もあります。

このような方法で減価償却費を利用して課税を繰り延べしながら、キャッシュフローを生み出す不動産投資が可能です。

経営者さんにとっては、経営者さん個人が所有しながら、会社が社宅として借りて会社が家賃を払い、社員から賃料をもらう形にしてみると福利厚生の拡充にも使えます。

独り暮らしの高齢者専用、シングルマザー専用、学生専用など、入居者を絞ることで入居者の満足度の高い設備やサービスを用意したりすることもできます。

不動産投資は事業と同じ、顧客の満足度を最大化し、利益を最大化する方法を考えることができる投資です。ターゲットを決めて、ターゲットの満足度が高いビジネス設計を考えてみることで利益を最大化できます。

社会問題になっている空き家を活かし顧客の問題を解決し、有利な税制を活かしながら安定的な利益を生み出せる投資を考えてみてはいかがでしょうか。

「自分にはハードルが高い・・・」

こう思われる方も多いことでしょうから、もう少しわかりやすくリスクを抑えた仕組で似たスキームを組んでいる不動産投資のパッケージプランを提供している会社もありますので、またの機会にご紹介しますね。