こんにちは。小さな会社の社外CFO,ファイナンシャルプランナーの小川です。
ここ最近、アメリカ、イスラエルのイラン攻撃を受け、株式相場が急落しているニュースを見て不安になった方も多いのではないでしょうか。
NISA等で投資を始め、証券口座の残高を見て「大丈夫なのか…?」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、株式市場というものは、そもそも短期的には変動するものです。大切なのは、なぜ下がったのかを理解すること、そして長期投資家としてどう向き合うかです。
今回は、昨今の株価下落の背景と、投資家としてどのようなスタンスで見るべきかを整理してみたいと思います。
1.今回の株価下落の背景は?
今回の株価下落のきっかけとなったのはアメリカとイスラエルによるイランへの軍事攻撃であり、世界中の金融市場が大きく動きました。
日経平均株価は、2026年2月26日に59,332.43円の史上最高値を記録しましたが、
3月9日には51,407.66円まで下落しています。
つまり、短期間で一時的に約8,000円の下げです。

出典、引用:日経平均株価:チャート – Yahoo!ファイナンス
この背景には、既にご存知の通り、イランがホルムズ海峡を通過する船舶への攻撃を警告したことがあります。報道では、事実上「封鎖状態」とも言われました。
ホルムズ海峡は、世界でも最も重要なエネルギー輸送ルートの一つで、日本にとっても非常に重要な場所です。
日本の電力は、現在も約8割を
・石油
・石炭
・天然ガス
といった火力発電に依存しています。
そのうち約35%は石油です。

【1-2-03】 日本の一次エネルギー供給実績 | エネ百科|きみと未来と。
そして、日本の石油輸入の
約96%は中東からです。

出典、引用:【1-2-04】 日本が輸入する化石燃料の相手国別比率 | エネ百科|きみと未来と。
つまり、もしホルムズ海峡が完全に封鎖されれば、日本の電力の約35%を支える燃料供給に影響する可能性があります。
世界の原油や天然ガスも20%がホルムズ海峡を通って供給されており、こういった懸念から世界的に原油価格が急騰しました。
原油価格が上昇すると、
・発電コスト上昇
・輸送コスト増加
・石油化学製品のコスト上昇
など、企業の利益を圧迫することが考えられ、企業業績への懸念から株価が下落したというわけです。
よく耳にする報道の内容としてはこのようなものになりますが、ここで重要なのは、報道と実情には乖離があるという点です。
2.原油供給の実情と私達の生活への影響
ニュースを見ると「ホルムズ海峡封鎖」と聞こえますが、実際には完全封鎖ではありません。
イラン政府は、「米国やイスラエル関係以外の船舶の通航は認める」と発言しており、「封鎖していないし、するつもりもない」ともコメントしています。
つまり、報道の印象ほど極端な状況ではありません。
さらに、日本はホルムズ海峡のリスクに備えて、UAEのフジャイラ港にパイプラインを整備しています。

このルートを利用すれば、ホルムズ海峡を通らずに原油を輸送することも可能であり、政府の備蓄量と併せると現時点で日本のエネルギー供給が止まる可能性は極めて低いと考えられます。
ただし、原油価格自体は上昇しており、そのためにガソリン価格の上昇や石油製品の値上げ、輸送費の増加等といった形で、物価上昇の要因になる可能性はあります。
3.株価の急落・・・、このまま持ってて大丈夫?
ここで、多くの人が気になるのが
「株を持っていて大丈夫なの?」
という点でしょう。
まず理解しておきたいのは、今回の出来事によって日本の主力企業の企業価値、つまりは世の中で必要とされる商品やサービスを生み出す力を失ったわけではないということです。
株式相場というものはこういった出来事に敏感に反応し変動するものですが、長期的には企業価値に連動していくものです。
確かに、原油価格上昇によって一時的に利益が減る企業はあるでしょう。しかし、それはあくまで
一時的なコスト増に過ぎず、日本の主力企業の企業価値がこれにより失われたというわけではありません。
私がいつも口うるさく言っている「長期投資」とは、20年、30年というスパンで投資することであり、短期的な株価の上下に一喜一憂しないことです。
人間の体調だって同じで、調子の良い日もあれば悪い日もありますよね?株価も同じです。
証券口座の残高が減ると、「もっと下がったらどうしよう」と不安になることもあるかもしれませんが、感情的になってしまい売ってしまうのは失敗の元です。
むしろ長期投資家にとっては、優良企業を割安で買えるチャンスとも言えます。
4.トランプ政権の本当の狙いとは・・・?
今回の軍事行動について、表向きの理由はイランの核兵器開発阻止とされています。
しかし、それだけでは無いとも考えられます。
現在、中国には「シャドーフリート(ダークフリート)」を利用したと呼ばれる非公式ルートで、
イランの原油が流れています。
これらは制裁を回避するため、認可されていない船舶で運ばれ、産地を偽装して輸送されていると言われています。
CNNの記事では次のように指摘されています。
・イランとベネズエラは中国の重要な原油供給国
・両国の原油は中国輸入の約15%
・供給が止まれば中国経済に影響
【分析】トランプ氏によるイラン攻撃、大損するのは中国の可能性 – CNN.co.jp
つまり今回の軍事行動は、中国のエネルギー供給を断つ狙いもあったと考えられます。
原油価格の上昇は世界経済に影響しますが、最も影響を受けるのは中国とも言われており、米中の関係性を考えれば合点がいく話です。
ニュースというものは、必ずしも出来事の全体像を伝えるわけではありません。メディアの視点によって、一部分だけが強調され脚色されて報道されることもあります。
だからこそ、情報を鵜呑みにするのではなく、複数の視点から冷静に判断する姿勢が重要です。
5.終わりに
今回の株価下落は、
・中東情勢
・原油価格上昇
・地政学リスク
といった要因が重なった結果です。
そもそも投資は「長期」で行うものですので、本来の保有目的に回帰し、一喜一憂しないことが重要です。
重要なことは
・冷静に複数の視点からの情報を収集し状況を分析すること
・短期的な値動きに振り回されないこと
・長期目線で資産形成を続けること
です。
ただし、忘れてはならないのは、この戦争によって多くの尊い命が失われているという事実です。
また、ベネズエラの問題も含め、イランがどのような政治体制を取ってきたのかを知ることも重要です。
同時に、今回の軍事行動も国際法上の問題を指摘されています。
国際政治には、単純な善悪では語れない複雑な事情があります。
どの国にも正義があり、ダークな部分があります。
だからこそ私たちは、ただ戦争を悲しむだけではなく、
「なぜ起きたのか」
その背景にある複雑な事情と歴史を一つずつ紐解いて理解し、このような悲劇を繰り返さないために何が必要なのかを考えることも大事なことです。
投資をすることで株価の変動の背景で起きていることに興味を持ち、一人一人が興味を持ち考えていただけるれば幸いに思います。