こんにちは、確定拠出年金相談ねっと代表の山中伸枝です。
金融庁は2018年をめどに積立NISAを始めるようです。関連記事:積立型NISA、20年非課税に 18年新設
これはいいことですね。既存のNISAの120万円枠と比べると40万円と少々額は少ないですが、非課税期間が20年と長いですから、非課税の恩恵を得られる可能性が高くなります。この積立NISAの選択肢が増えたことで、iDeCoはちょっとな~と思われた次の方々にとっては積立NISAを優先した資産形成も考えられます。
例えば、収入のない専業主婦。正直今は収入がないけれど、いずれ働くつもりとか、今はパートだけどもう少し収入も増やしていきたいというような方は、やはりiDeCoが優先です。しかし、今後も働く予定のない主婦の方であれば、iDeCoの「掛金全額所得控除」という恩恵がないわけですから、それなら積立NISAも選択肢なのです。
積立NISAの税制優遇は、運用益が非課税という点です。これはiDeCoも同じです。非課税期間は積立NISAは20年、iDeCoは60歳までです。仮に40歳の方であれば、非課税期間は同じですね。
iDeCoの受け取り時のメリットである退職所得控除や公的年金控除ですが、これは60歳まで引き出し不可というルールのもとで設けられる恩恵です。一方積立NISAについては、引き出しに制限は一切ありませんから、どのような形でいつ受け取っても可というメリットがあります。
iDeCoについては運用商品の中に定期預金という選択肢があって運用が苦手という方も使いやすいというメリットがありますが、そもそも所得控除が受けられない専業主婦の場合iDeCoで定期預金を選んでしまうと手数料の負担分マイナスになってしまいます。
一方積立NISAは、現状のNISA同様手数料などを負担する必要はないでしょうから、コストの分面倒はありません。まあ、運用商品を選ばなければならないという点はiDeCoにはない選択肢の狭さではありますが、そもそも資産形成という目的であれば「運用」はいずれは乗り越えなければならない「壁」ですから、ここは考え方次第でしょう。
これらを考えると、これからも働かないことを前提とした主婦であれば、積立NISAの方が良いのではないかと思います。掛金は月3万円程度までいけますから、iDeCoよりも枠は大きいです。
※なぜ積立NISAなのに年間の積立枠が40万円と12で割り切れないんですかね?当初の60万円で良かったのに・・・
あと考えられるのは、50代後半の公務員。
掛金の上限12,000円であと数年しか掛金拠出ができない、さらに引き出しは60歳まで10年に加入期間が満たないために最長65歳まで据え置かれてしまう人です。
例えば、58歳からiDeCoに加入しても2年間で積めるお金は288,000円。それに対し仮に所得税率20%、住民税率10%であったとしても節税効果は86,400円。30万円ほどのお金を65歳まで運用して、非課税で受け取ることにそれほどメリットを感じないという方であれば、期間の長い積立NISAの方が納得感もあるかもしれません。
もちろんiDeCoも十分メリットはありますけど、この辺りは個人の感覚的なところにも起因するので、どうするか検討してみると良いと思います。ちなみにベストな回答は「iDeCoも積立NISAもどちらもやる」です。
いずれにしても、国は日本人に「自立して資産形成する術」を持つようにと大きな流れを作っています。この流れはこれからますます強くなるでしょう。まずは乗る事です。