ご相談者様(Bさん) DATA
【年齢】50代後半
【職業】会社員
【性別】男性
【家族構成】配偶者、子供2名
相談しようと思ったきっかけ
早期退職制度に応募した際、会社が投資教育の業務を委託しているファイナンシャル・プランナーにライフプラン等を相談できると聞いていた。
退職時書類に確定拠出年金の資料があったが、具体的にどうすれば良いか?不明だったので相談を申し込んだ。
ご相談内容
早期退職という人生の大きな節目で、これからいろいろな生活の見直し等もしなければならない中、複雑な書類を手にしたBさん。お子さんの大学資金などの負担もある中、まずは時間的に制限のある確定拠出年金から着手し、ライフプラン全体のご相談となりました。
ご相談でお話しした内容
Bさんは企業型の確定拠出年金制度を導入している会社を退職する予定で、再就職先には確定拠出年金の制度はないとのことでした。今まで会社で積み立てしてきた確定拠出年金の年金資産は60歳まで引き出すことができませんので、「移換」手続が必要となります。
企業型の加入者であるBさんが退職する場合、会社が資格喪失の手続をしてくれます。
再就職先には企業型確定拠出年金の制度がないため、個人型確定拠出年金に移換手続をすることになります。
【個人型への移換手続】
個人型への移換手続はすべて自分で行います。
① 金融機関はどこでもいいか?
金融機関に口座を開設して「年金資産」を移換します。確定拠出年金の口座は一人一口座しか持つ事ができませんので、複数の金融機関を選ぶことはできません。
確定拠出年金では取扱金融機関のことを「運営管理機関」と呼んでいます。
運営管理機関によって、口座管理手数料や運用商品の手数料(信託報酬)が異なりますから、できるだけ安い運営管理機関を選ぶことがポイントとなります。
確定拠出年金の手数料は掛金や年金資産から差し引かれますので、手数料の高い運営管理機関を選んだ場合、手数料負担分だけ自分の年金資産が減ることになります。
Bさんは、会社が使っていた運営管理機関以外も比較してみたいとの要望がありましたので、手数料や運用商品などが比較できる2つのサイトをご紹介しました。
利用者目線で使いやすいサイトです。
NPO法人確定拠出年金教育協会
「個人型確定拠出年金ナビ」
モーニングスター
「iDeCo(個人型確定拠出年金)ポータルサイト」
なお、加入資格を喪失してから6ヶ月以内に個人型への移換手続をしないと、国民年金基金連合会へ「自動移換」されてしまいます。「自動移換」は運用ができず、手数料だけ取られてしまいますから、必ず6ヶ月以内に手続することが必要です。
※2018年5月 一定の条件を満たす方については自動移換された資産は、ご本人の手続きなく企業型あるいはiDeCoに移換されるようになりました。詳細こちら
② 口座開設し移換手続を行う
運営管理機関が決まったら、口座開設の手続をして年金資産の移換手続を行います。
個人型の口座で毎月積立てをするか?
年金資産を運用だけするか?
を決めます。
Bさんは 毎月積立てを希望されました。
〇口座開設・移換手続手数料
国民年金基金連合会2777円(税込)と運営管理機関ごとの手数料が掛かります。
国民年金基金連合会は個人型確定拠出年金の取りまとめをする公的な機関です。
〇毎月積立てする場合の口座管理手数料
国民年金基金連合会へ支払う手数料 103円、事務委託先金融機関(資産を管理する信託銀行)へ支払う手数料が64円の合計167円が毎月掛金から差し引かれます。
この2つの手数料はどこの運営管理機関でも共通です。
これ以外に運営管理機関ごとに手数料が掛かります。
年金資産残高によっては(50万以上など)、手数料が掛からない運営管理機関があります。
Bさんの場合は、移換する年金資産が50万円以上でしたので、無料となる金融機関を一緒に調べてみました。
〇信託報酬に注目して運営管理機関を選ぶ
確定拠出年金口座では、定期預金や保険の「元本確保型商品」を選ぶことができます。こちらの商品は加入者が負担する手数料はありません。
元本が確保されていますが、予定されている運用利率が低率のため、現在は資産の増加はほとんど望めませんほとんど増えません。
運用して資産を増やしていきたい場合は「元本変動型商品」である投資信託を選ぶことになりますが、投資信託は商品毎に手数料がかかってきます。
この手数料がとても重要です。
投資信託の主な手数料は「信託報酬」といって、資産残高に対して所定のパーセンテージで毎日計算されて残高から差し引かれます。
資産残高が大きくなれば負担する信託報酬も大きくなるので、無視できない手数料です。
2017年1月のiDeCo加入者拡大にあわせて、信託報酬の低い投資信託を用意している運営管理機関が増えてきています。
日本株式、日本債券、世界株式、世界債券の4つの資産が代表的ですが、少なくともこの4つの資産で低報酬の運用商品が選べる運営管理機関を選ぶのが良いでしょう。
信託報酬も先ほどの2つのサイトで比較することができます。
Bさんと一緒に運用商品の違いと信託報酬を確認していきました。
ポイント
個人型確定拠出年金口座をどこの運営管理機関で開設するか?
比較するポイントは手数料です。
口座管理手数料と投資信託の信託報酬をチェックしましょう。
手数料の低い運営管理機関はネットで手続するところが多く、WEB上の資料を読み、コールセンターに問い合わせするなどしてご自身で調べる必要があります。
ネットが苦手な方や自分だけで調べるのは不安という方は、確定拠出年金に精通したファイナンシャル・プランナーに相談をしてみるのも良いと思います。
確定拠出年金は口座開設してからが大切
口座開設した後は、運用商品をどうやって選ぶか?ということも大切です。
確定拠出年金は自分で商品を選んで運用しますから運用の基本的な知識は最低限勉強する必要があります。
Bさんは
移換する年金資産(まとまったお金)と毎月掛金はどの資産に配分すれば良いのか?
移換する年金資産と毎月掛金は同じ運用商品としなければいけないのか?
などが気になっている様子でしたので、投資・運用の個別セミナーをご案内しご参加いただくことになりました。
また「再就職先はこれまでの会社の給料よりも少し少なくなる」などこれからの生活にも不安があるとのことでしで、次回家計の見直しをさせていただくことになりました。ちょうどお子さんもそろそろ独立の頃なので、まずは大きすぎる死亡保障から見直していきます。