50歳になり、年金のことをもっと知りたいと思っていますがねんきん定期便を見たら年金額が減っているようです。

ご相談者様 DATA

【年齢】 50歳 ウエダさん(仮名)

【職業】 地場の金融機関に勤務

【性別】 男性

【家族構成】妻、子供2人(どちらも就職)

相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)

 FPの田中さんには以前保険の相談の際に、ねんきん定期便から、将来もらえる年金額や遺族年金額などを計算する方法を教えてもらいました。

FBやメルマガでもたまにねんきん定期便の話題を取り上げていらっしゃるので、田中さんなら詳しいと思い相談させていただきました。

ご相談内容

今年50歳になりました。

毎年ねんきん定期便にはざっくり目を通しているのですが、もらえる年金額が減っているような気がします。

また、ねんきん定期便の形式も変わっていました。

何が変更になったのでしょうか?

それにいざ本気で見てみると、どうも分からないことも多いです。

新聞などでも年金額が減ると言っています。私の年金額も下がっているのではないでしょうか? 

少し心配なので教えてください。

ご相談でお話しした内容

50歳未満と50歳以上の表示の違い

49歳から50歳のねんきん定期便はフォームが変わる時期になります。まずはその違いについて説明しますね。

50歳以上と50歳未満のねんきん定期便(下記参照)では、「2」の表示が異なっています。

50歳未満は「これまでの加入実績に応じた年金額」

50歳以上は「老齢年金の種類と見込額(1年間の受取見込み額)」

となっています。

50歳未満

では50歳未満の人に届くねんきん定期便を詳しく見てみましょう

「2」に掲載されている数字はこれまでの加入実績を基に計算した老齢年金の額を表示しています。

今まで納めた保険料のみで計算されている年金額でこれから払っていくものは計算されていません。

なので、若い方など年金保険料の支払い期間が短い方はねんきん定期便を見ると「これだけしかないの?」とびっくりされる人が多いのです。

将来もらえる金額を計算するには、これからの分を足して計算します。

50歳以上

対して50歳以上の方は、現在加入している年金制度に、60歳まで同じ条件で加入し続けたものと仮定して計算した老齢年金の見込額を表示してあります。

同じ条件というのは、会社員であれば「今の給与」が60歳まで継続という意味です。

もらえる見込額がわかるので、50歳未満のねんきん定期便より現実的ですね。

同じ収入で計算してありますので、これから収入が上がる人は実際は記載された数字より多くの年金がもらえます。

逆に役職定年や再雇用などで給与が下がる人は表示の金額より実際は少なくなることがあります。

また、60歳までの収入の計算なので60歳以降も働いて厚生年金に加入される場合も年金額は増えます。

注意点

ウエダさんが「年金額が減っている?」と思われた部分についてみてみましょう。

ウエダさんは厚生年金基金に加入していますよね。

厚生年金基金とは厚生年金の加入者のための上乗せ年金で、会社が独自に作ってくれる企業年金、福利厚生制度です。

ウエダさんの年金額が減っていた理由はこの基金の「運用方法」に秘密があります。

厚生年金基金は国の厚生年金の一部を国に変わって「代行」して支給します。
厚生年金保険料の一部を国から「代行代」としてお金を預かり運用しているので、その分は国に年金を払っていないことになるので、年金額が減って見えるのです。

似た言葉なので混乱してしまいそうですが、厚生年金基金は「企業年金」、厚生年金は「国の年金」です。

実は50歳未満のねんきん定期便には厚生年金基金に加入していないとしてざっくり計算されているのですが、50歳以上のねんきん定期便はこの情報も含めもっと詳細の情報が掲載されているのです。

従って今年受け取ったねんきん定期便には、基金から支払われる「代行部分」は載っておらず、国から支給される老齢厚生年金と老齢基礎年金のみが記載されています。

50歳になるといきなり代行部分は載っていないから、「えっ、年金が減っている!」とびっくりするわけです。

ちょっとややこしいですよね。

もちろん「代行部分」は基金から支払われるので、安心してください。

この代行部分の金額を知るには、「ねんきんネット」のサイトで

年金見込額試算」という機能を使うと金額が分かります。

今の年金制度や収入などの条件が同じでよければ「かんたん試算」で出せます。

ねんきんネットの登録方法は、日本年金機構のサイト

「ねんきんネットに登録するには?」

に詳しく説明してあります。

厚生年金基金からは、この代行部分のほかにも、「付加部分」「加算部分」があります。

この金額を確認するには、加入している基金に問い合わせをする必要があります。

老後の大事な生活資金ですから、把握するためにも是非確認してみましょう。

もし基金の連絡先が分からない場合は会社に聞いてみましょう。

※昔厚生年金基金に入っていたけど連絡先が分からないという場合は、企業年金基金連合会に問い合わせてください。

まとめ

まず、年金が減っていないことに安心されました。

ウエダさんの場合はねんきんネットの表示の方が実際に近いので、その場でねんきんネットの申込をされました。

ねんきんネットだと、ねんきん定期便のように誕生月だけでなくいつでも確認できるのでその点は大きなメリットです。

またお子様はお二人とも社会人になっています。

これからは自分たちの夫婦の老後の為に貯蓄をしていきたい、と話されていました。

大まかな年金額を把握できていたので貯めたい金額も見えてきました。

65歳までは働くという意欲を持っておられたので、あと15年の期間をつみたてNISA、60歳までのiDeCoを利用しながらしっかり老後資金を作っていくことになりました。

私もウエダさんと似た年齢ですから、お互いに将来の夢を語りながらサポートさせていただきましたよ!(^^)!

ウエダさん、これからも人生楽しんでいきまっしょい!

この記事を書いた人
田中 栄二

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