ご相談者様 DATA
【年齢】29歳
【職業】元IT関係(無職)
【性別】男性
【家族構成】妻 27歳(今は専業主婦)
父59歳(会社員) 母56歳(パート)とは同じ敷地内
相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)
車いすなので、なかなか自由にでかけられません。家族とのこれからの生活について、だれかに相談したいと思っていたのですが、ほとんどが対面でその方のオフィスに出向かなければならないようでした。
家に来てくれる専門家の方もいらっしゃるようだったのですが、まだ自分の障害の状況についても心の整理がついていないというか、まずは一人でお話を聞きたいなと言う想いがあり、できればオンラインで相談できるところはないかと探したところFP相談ねっとのサイトを見つけました。
何人かオンライン相談が可能な方がいらっしゃったのですが、林さんは理系と書いてあったので、理系どうし、話が分かりやすいかなと思って最後は雰囲気で選びました(笑)
ご相談内容
2年前、休日にバイクで出かけた時に事故を起こしてしまい、現在は車いす生活を送っています。
会社に在籍のまま、傷病手当金を受け取りつつ回復を待ったものの回復せず。休日の事故が原因にもかかわらず、会社側もも出来る仕事を考えてはくれたのですが、回復の見込みがない為、1年半後解雇となりました。障害2級と認定され、障害厚生年金2級を受給しています。
先日、以前勤めていた会社から連絡があり、在宅で仕事をしてくれないかと頼まれました。
ここから先どうしようかと思っていたので、好きな仕事で働けるなら嬉しいのですが、仕事での収入があると障害年金を止められてしまうのでは・・と心配になりました。
以前のようにバリバリ働けるようになればいいのですが。
ご相談でお話しした内容
国民年金加入後の傷病が原因で障害を負った場合は、所得による支給停止はありません。
今、認定されている状態が軽くならない限り、障害年金が停止されることはありません。
障害年金には、国民年金加入者が受け取れる障害基礎年金と、厚生年金加入者が受け取れる障害厚生年金があります。
国民年金の加入者は、障害基礎年金を受給出来ます。
国民年金の保険料納付要件を満たすことが必要ですが、初診日において初診日の属する月の前々月までの加入期間の3分の2以上の期間について保険料を納付していること(免除期間含む)。但し、初診日が平成38年4月1日前にある場合で、初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないことが条件です。
そして、国民年金に加入している間に初診日が有り、障害認定日において障害等級1級または2級に該当すること。(20歳前で日本に居住中に初診日がある時を含む)
障害厚生年金の支給要件は、国民年金と同様、保険料納付期間を満たすことの他、認定日において障害等級1級、2級、3級に該当すること、初診日において厚生年金の被保険者であったことが受給要件です。
加入期間は、以下の赤い囲みで確認できます。
お誕生月前直近1年間の加入状況は、こちらで確認できます。
障害基礎年金の場合の受給金額は、障害に応じた年金額+子の加算であり、
平成30年度の年金額は 1級 974,125円 2級 779,300円
子の加算は 第1子・第2子まで 各224,300円 第3子以降各74,800円
となります。(障害基礎年金の金額は、毎年老齢基礎年金満額の変更に伴い、変更されます)
障害厚生年金は、1級 報酬比例の年金額×1.25、2級 報酬比例の年金額だけでなく、3級 報酬比例の年金額(最低補償額 584,500円)も受け取ることが出来ます。
配偶者加給年金額は、1級と2級のみで 224,500円です。(障害厚生年金の金額は、毎年老齢基礎年金満額の変更に伴い、変更されます)
しかも、加入期間が300月(25年)に満たないときは、加入期間が300月あるものとして計算されます。
初診日から5年以内に、障害年金を受けるよりも軽い障害が残ったら、
生涯手当金=報酬比例の年金額×2(最低補償額 1,169,000円)
が支給されます。
1級2級の人は、障害基礎年金も同時に受けられます。
相談者様は厚生年金加入時に初診日があるので、障害厚生年金と配偶者加入年金、障害基礎年金を受給されていらっしゃいます。
ねんきん定期便から年金額を確認する。
相談者様の場合は、障害厚生年金が(標準報酬月額30万)約50万、配偶者加給年年金約22万、障害基礎年金約78万、合計149万ほどの年金を受給されています。
3年前のご相談者様のねんきん定期便より、
※上記資料は個人情報に触れないよう筆者が作成しております。
厚生年金加入期間 60ヶ月(赤色の囲み)、老齢厚生年金(報酬比例の年金額)98,658円(黄色の囲み)より、最低300ヶ月保証で、
2級障害厚生年金は、98,658円÷60ヶ月×300ヶ月=493,290円。
さらに配偶者が65歳になるまでの間の加給加算 224,500円。
2級障害基礎年金は、 779,300円
20歳前傷病による障害年金受給には所得制限があります。
相談者様は障害厚生年金ですので、所得により支給停止にはなりませんが、20歳前に傷病を負ったことによる障害基礎年金には、保険料を納付してないことから所得制限があります。
例えば、二人世帯の場合、所得額が398万4千円を超える場合には年金額の1/2相当支給停止、500万1千円を超える場合は全額停止となります。
※日本年金機構より
一人一年金が原則
日本の年金制度は一人一年金が原則です。
もし、相談者様が他の要因で障害年金の受給要因を満たしたとしても、二つの症状を合わせ、一つの症状として扱い新たに障害年金の判定をします。
また、65歳からは老齢年金も選択できるようになりますが、65未満の場合、どれか一つの年金しか選べません。
65歳からは、障害基礎年金に老齢厚生年金の組み合わせも出来ます。
障害年金は、社会保険上は収入になりますが、税務上は非課税になります。
ところで、障害年金1級、2級の受給者は、国民年金が法定免除になります。年金保険料を納めなくても良いのですが、免除期間は老齢年金の受け取りが半分になってしまいます。
例えば、今後障害の状態が回復し、障害認定から外れることになると、当然ながら障害年金は受給できなくなります。
仮に30年後(59歳時点)でそのような状態になると、30年間の法定免除期間の老齢年金は保険料を納めて人が受給できる金額の半分、つまり30万円程度にしかなりません。(老齢基礎年金は、加入期間1年あたり約2万円です。)回復されることはもちろん喜ばしいことではありますが、生活に必要なお金の面では悩ましいことも起こり得ます。
再就職をすると老齢年金はどうなる?
例えば再就職後、平均給与40万円で今後60歳まで働いた場合、
基礎年金は、概算で2万円x31年=62万円
老齢厚生年金は40万円x5.481÷1,000x31年x12ヶ月=815,573円
合計 約143万円が年金に加算されます。
また、平均給与40万円は年収480万円となりますが、相談者様は年金加入後に障害を負われたので、所得により障害年金が減額されることはありません。
老齢年金を受給出来るようになる65歳以降、障害基礎年金と老齢厚生年金の併給も可能です。今後の働き方によって、受給額の多い方を選ぶことが出来ます。
相談を終えて
相談者様はまだお若いので、これからの生活に変化が生じるでしょう。今の状態でも出来る事はありますし、望む未来を描くことはとても大切です。また奥様も家族の在り方を大切にしつつ、今後お仕事を始められたりすることもあるでしょう。ここはお一人で考えず、家族として、一度奥様とご一緒に、これからの生活について考えることをご提案しました。
それに基づいてライフプランニングのお手伝いをさせていただくことになりました。幸いにもお仕事の再開目処もついていますから、つみたてNISAなど、何らかの形で老後資金作りをしていきたいとのお話もありました。次回は、より前向きなお話ができそうです。