教育費作りにこどもNISAを検討しています。デメリットはありますか?

ご相談者様データ

(年齢)37歳 高橋健一様(仮名) 東京都在住

(職業)会社員

(家族構成)妻 34歳 会社員

      

相談しようと思ったきっかけ

今年の春、子どもが生まれます。子どもにはできるだけ良い環境を与えて将来を応援したいと考えています。

教育資金は子ども一人につき1,000万円以上かかるとも言われているので、充分な資金を準備していくつもりです。

ニュースで、来年からこどもNISAが始まると聞きました。私自身NISAもやっているので、教育資金を運用で準備することにあまり抵抗はありませんが、なにかデメリットはありますか?

また以前こどもNISAと似たような制度があって廃止されたかと思うのですが、今回のこどもNISAにも制度上の問題点とかあるのでしょうか?

具体的にいくらくらいを積立てし、いくらくらい準備したら良いのかもご教示いただけると助かります。

ご相談の内容

高橋様、この度はFP相談にお申し込みいただきましてありがとうございました。

お子さんの出産待ち遠しいですね。おめでとうございます。

こどもNISAは2026年度の税制改正大綱に、少額投資非課税制度(NISA)の拡充として盛り込まれ注目が集まっていますが、詳細の発表はこれからなのであくまでも現時点での報道ベースでの回答とご理解下さい。

今回は、ご懸念のすでに廃止になった「ジュニアNISA」との違い、「こどもNISA」の特徴、教育資金としていくらくらい準備が必要なのかという3点につきお話を進めて参ります。

ジュニアNISAの問題点

気になっておられる以前あった似たような制度というのは、ジュニアNISAのことでしょう。おっしゃった通り2023年に廃止となった制度です。

こちらの制度は、大枠ではこどもNISAと同じです。0歳から18歳までの子ども名義のNISA口座で運用益非課税で資産形成ができる制度でした。

しかし、残念なことにこの制度には2つの矛盾点があり、使い勝手が悪い制度でした。

矛盾点とは、①18歳まで引き出しができない ②非課税期間は5年間 というところです。

例えば0歳のお子さん名義でジュニアNISAの口座を開設したとしましょう。月々3万円で投資信託を積立します。

0歳時点で購入した投資信託の非課税期間は5年です。購入した年を含めての5年ですから、4歳でその非課税期間が終了します。

非課税期間が終了したらどうなるのでしょうか?

原則、ジュニアNISAの口座内に設定されている「課税口座」に払出されてしまいます。つまりその後の利益については課税されてしまうのです。

ただし、金融機関に手続きをすることで、同じくジュニアNISAの口座内に設定されている「継続管理勘定」に移管することもでき、するとその後18歳になるまで非課税で運用が可能です。

このようなお話をすると、だったら継続管理勘定に最初から移せば良いとお考えになられるかと思いますが、この仕組みが一見分りずらく、またなにもしないと課税口座に払い出されるという設定であることを知らずにいる方も多く、結果利用者の不満につながったりもしたのです。

また18歳までの引き出しが認められないというのも難点でした。非課税期間が終わっても18歳になるまで資金が固定されるのでは、不満に繋がるのも無理はありません。また子どもさんの進路は、計画通りにいかないことも自然なことです。大学入学よりも前に、私立中学や高校の資金用途ができても、絶対に資金は引き出せないというところも、使い勝手の悪さとなりました。

そのため2023年には、新規の加入を不可とし制度が廃止となりました。

廃止の決定とともに、すでに加入している方については、非課税期間終了後手続きなしで継続管理勘定に投資商品が移管されることになりましたし、18歳にならずとも資金の引き出しが可能となりました。

こどもNISAの特徴

ジュニアNISAの反省があったのかは分りませんが、2027年をスタートと予定しているこどもNISAは非常に使い勝手が良い制度になりそうです。

まず口座開設は0歳から18歳までです。こども名義で親や祖父母が口座を開設し、管理をします。

実際未成年の口座は、成年NISAの「つみたて投資枠」を解放するようなイメージで進められるようです。従って、投資対象はつみたて投資枠の商品と同じでつみたてのみで運用が可能です。

年間の投資額は60万円、対象期間中の投資上限額は600万円となる様です。

非課税期間は18歳までとなる予定ですが、18歳になると成人NISAにそのまま移行できるようにするようなので、そうなると実質非課税期間は無期限となります。これは大きな改善点です。

非課税期間を気にすることなく運用ができますから、実際大学進学のための教育資金としても利用できますし、子ども時代から積立を始める超長期の資産形成の入り口とすることも可能です。

ご自身でもNISAをされているのでご承知かと思いますが、つみたて投資枠で購入できる運用商品は金融庁の基準をクリアした長期の資産形成に適した投資信託です。実は今回の税制改正大綱には、このつみたて投資枠で購入できる運用商品に債券中心の投資信託を含むようにするという変更案も盛り込まれているようです。

すると、教育資金用の積立だから少しリスクを抑えたいというご要望でしたら、債券を含むポートフォリオを組んだりと運用のバリエーションも増えそうです。

いずれにしろ、まだまだ情報不足ですから、実際の運用商品は制度の詳細が明確になってから決めた方が良いでしょう。

もうひとつ子どもNISAの特徴としては、12歳以降資金の引き出しが可能となる予定だという点です。

口座名義人が12歳になったら、本人の意向を確認した上で金融機関に申請して引き出しを可能とする点が検討されているようです。具体的にどのような条件があるのかまだ分りませんが、ジュニアNISAに比べると流動性も担保され一段と使いやすくなると期待されています。

仮に12歳で資金の引き出しができれば、0歳から一定の年齢まで積極運用をして、大学進学まで余裕を持った時期に解約しその後資金を定期預金などにうつし、市場の下落リスクを回避した運用もできそうです。

もちろん、中学受験などの資金用途にも柔軟に対応できる点も大きな進歩です。

以上を考えると、こどもNISAの制度自体には、不利益になりそうな部分、デメリットになりそうな部分はないと考えます。もちろん投資のリスクはありますが、制度としては非常にメリットの大きい優れた制度だと言えます。

まだ制度が正式にスタートする前ではありますが、大いに期待したいところかと思います。

教育資金はいくら必要なのか

こども一人あたり1000万円、と言った情報がいつの間にか「あたり前」のように言われるようになりました。計画的に資金準備をすることはとても重要ですが、こどもを育てる「コスト」に意識が集中してしまうのは、残念なことだと思っています。

確かに子どもにはお金がかかります。しかし教育費に関して言うと、今日本では教育の無償化が進んでいるのでまずはきちんと情報収集をして欲しいと思います。

例えば、3歳から就学前までの保育料は無償化され、小中学校は義務教育として無償、高校についても公立に続き私立での無償化が段階的に進められています。大学進学に対する支援も奨学金の拡充など様々な制度が整ってきています。

以下は大学進学に必要な費用の目安です。

こどもNISAを利用して準備する資金のひとつの目安として、大学の費用を予定されると良いと思います。

もちろんこれから生まれるお子さんの進路を決めることはできませんが、進路をとわず対応できる金額として、まずは500万円から600万円を目標とされると良いでしょう。

原資としては、まず児童手当を充てていきましょう。

所得制限も撤廃されましたので、児童手当に自己資金をプラスした金額を積立に回していきましょう。

仮に運用利回りを4%と仮定すると、積み当て金額によって18年後の残高が以下のように変ってきます。

なお、こどもNISAでは対象期間中の投資上限は600万円となる予定です。

授業料の無償化が進む一方で、学校外でかかる費用は上昇傾向にあります。学習塾の費用や、お稽古事などにかかる費用です。

スポーツ教室のお月謝やユニホーム代や遠征費用、備品代も非常に負担が大きいという声を良くききます。

また最近は、一般的な学校教育以外にお子さんの成長の場を持ちたいという方も増えてきているようです。海外への留学もそうですし、インターナショナルスクールの他、様々な体験教室へお子さんを送る方も少なくないように感じます。

そういう現状を見ますと、お子さんにかかる費用は「いくらかかるのか」を考えるより「いくらかけたいか」という視点で考える方がよさそうです。さらにお子さんの進路は親が予定した通りにならないのが自然ですから、その時その時のお子さんの成長に合わせて、柔軟に対応できることが理想であるとも言えるでしょう。

すると、大学の資金として500万円から600万円を用意するというのはひとつの目標として設定するとして、それ以外の費用は日々の家計の中からやりくりできるようにもしていけるとより柔軟に対応できるようになるということが分ります。

一言でいうと、ご夫婦の収入が安定かつ充分あることが、お子さんのこれからの選択肢を支えることに繋がるということです。

現在高橋様は共働きです。出産後はお二人で育休を取りながら子育てをしたいとのお考えなのはとても良いことだと思います。色々と困難はあるかと思いますが、どうぞ今までと同じ二馬力家計を維持しながら、いかれることをお勧めします。

お子さんにかかる費用は「貯める」資金と「やりくり」資金の二種類のお金が同時に必要になります。そのため、収入を維持しながら、貯めるお金を確保しつつ、お子さんにかかる支出を賄っていけるようにされると良いかと思います。

まとめますと、こどもNISAは大学資金の積立として利用されるには非常にメリットの大きい制度ですからぜひ活用をすること、しかしそれ以外にかかる費用についてはいつでも柔軟に対応できるように、日々の収支に余裕が維持できるようお二人の稼ぎ力を維持すること、が鍵となります。

ご相談を終えて

高橋様談

まだ子どもも生まれていないのに、こどもNISAの相談なんて先走っていると笑われるかなと少し心配でしたが、こちらの気持ちを受け入れてくれた上で、幅広い観点からアドバイスをいただき非常にありがたかったです。

世の中がどんどん変化する中、子どもに自分の価値観を押しつけず様々な選択肢を用意できるよう、資産作りに取り組もうと改めて考えることができました。

そのためにも、夫婦の稼ぎ力を維持し、親として自信をもって自分の人生を生きることが大切なのですね。相談に同席した妻も、今回お話を伺うことができて本当に良かったと言っています。

こどもNISAは始めたいと思いますが、それ以上に今後のライフプランをまずはしっかり考えたうえで、少しずつ「我が家」の家計を整え資産形成に取り組みたいと思います。

今後とも引き続きよろしくお願いします。

この記事を書いた人
山中 伸枝

山中伸枝(やまなかのぶえ)FP相談ねっと 代表

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