林 智慮

iDeCo+(イデコプラス)って何?

確定拠出年金相談ねっと認定FP林です。

 

今年5月から「中小事業主掛金納付制度」が開始されました。iDeCoに加入している従業員に対し、会社が掛け金の上乗せをしてあげられるものです。

そして、先日「中小事業主掛金納付制度」に愛称ができました。その名は、

iDeCo +」(イデコプラス)

 

 

どんなメリットがあるの?

従業員は、会社から掛け金を上乗せしてもらえることが最大のメリット。そして、その上乗せされる事業主掛金は給与として扱われないので、社会保険料や所得税・住民税の対象にならず、従業員に税負担はありません。従業員が自分で払っていた加入者掛金は、事業主掛金と一緒に会社が国民年金基金連合会に納付するため、原則、給与から天引きされます。天引きの場合、給与から社会保険料を引き、加入者掛金を引いた後に源泉処理されるため、控除証明書を添付する年末調整は不要になります。
会社側は、事業主掛金は損金にできます。そして、既に従業員が確定拠出年金の口座を開設済みのため、導入費用や毎月の手数料等の負担がないこともメリットになります。会社が負担するのは、従業員に上乗せしてあげる掛け金と制度の事務処理です。

従業員のため会社で退職金制度を導入したい。しかし、企業型を導入すると、導入費用や毎月の手数等が掛かります。全額損金にはなりますが、余計なお金はなるべく使いたくない。でも、従業員のために会社で年金を増やしてあげたい、でも、企業型に加入するには経費が・・と躊躇されていた会社にとって、とてもメリットがあるのです。

どんな会社がイデコプラスを利用できるの?

イデコプラスの制度を利用できる会社は、
・従業員が100人以下であること(事業主が複数の会社を経営している場合は、全事業所の従業員の合計が100人以下)
・企業年金制度(企業型確定拠出年金、厚生年金基金、確定給付企業年金)を実施していない。

そして、当然ながら、従業員がイデコに加入している場合です。

イデコに加入している従業員のうち、事業主掛け金を拠出されることに同意した者が拠出対象者になりますが、拠出対象者に一定の資格(職種や勤務年数等)を設定することも可能になります。
ただし、特定の人が不利になるような、差別的な設定にしてはなりません。

導入から掛け金拠出まで

中小事業主掛金制度を導入するには、まず、労使合意が必要です。労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の同意が必要です。
掛け金額の決定・変更をする場合、一定の資格を設定する場合、掛金を拠出しないこととする場合にも労使合意が必要になります。

事業主掛け金を望まない人には強制はできません。また、イデコ加入者のための制度ですから、未加入者には何も制度の恩恵はありません。
制度導入を望まない人やイデコ未加入者がいる場合に導入が決定された場合は、導入により差別がないよう、何らかの方法をとる必要が出てきます。

イデコの実施機関の国民年金基金連合会に諸々届け出をする必要があります。導入時以外にも、現況を毎年一回届け出が必要です。
諸費用の負担は無いのですが、手間は掛かります。

また、掛け金額は、

・加入者掛け金と事業主掛け金の合計が月5,000円以上23,000円(企業年金がない個人型の拠出限度額)以下、1,000円単位
・加入者掛け金をゼロにすることはできません
・事業主掛け金が加入者(従業員)掛け金を上回ることは可能です。

であり、納付は事業主払い込みにより掛け金を納付することになります。よって、個人個人で拠出していた金額は、一旦、会社が給与天引きして、それに事業主掛け金を加え、国民年金基金連合会に納付します。

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企業型確定拠出年金の場合は、従業員の負担は一切なく、掛け金上限も月55,000円になりますが、制度導入そのものも会社負担になり経費が掛かります。従業員に投資教育をする義務も生じます。
しかし、イデコプラスの場合は、すでに従業員がイデコ口座を開設しているところへ掛け金を上乗せしてあげるだけですから、手間は掛かりますが制度導入に会社負担はありません。しかし、掛け金上限は合計で月23,000円まで(イデコの上限)です。

それぞれ一長一短がありますが、それぞれの会社に会った企業年金の導入をご検討されてはいかがでしょうか。

中小企業事業主掛金納付制度

 

 

※業務再開致しました。ご迷惑をおかけ致しました。

 

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