FP相談ねっと林です。
ある「士業」の「個人事務所」に勤務されている方から、
「うちの事務所、選択制の企業型(確定拠出年金)に入ったんですよ。」
と言う話を聞きました。
企業型の確定拠出年金に加入出来るのは、公的年金が厚生年金出なければなりません。
厚生年金の強制適用事業所、つまり必ず厚生年金に入らなければならない事業所というのは、
・法人の事業所
・個人事業所で常時5人以上の従業員がいる
です。
法人の場合は、1人社長でも(他に社員がいなくても)強制加入です。
その一方で、個人事業所の場合、5人以上の従業員がいても適用除外になるところがあります。その一つにいわゆる「士業」があります。
厚生労働省は厚生年金の適用事業所の拡大するにあたり、法人化に制約条件がある、または、法人化が不可能な、弁護士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士・公認会計士・税理士・社会保険労務士・弁理士・公証人・海事代理士の「士業」の個人事情所も適用対象とすることを検討していますが、現在は適用除外です。
その事務所は適用除外にも関わらず、従業員のために任意適用で厚生年金に加入しているのです。
厚生年金に加入していると、年金や健康保険の保険料は労使折半です。従業員全員分の半分を事業者が負担しなければなりません。
個人事業者は従業員を使用する立場なので被保険者にはなれないのに。
企業型確定拠出年金は、企業型年金規約の承認を受けた企業に勤務する従業員、厚生年金法2条の5第1号、4号の被保険者が加入出来ます。国家公務員・地方公務員以外の厚生年金加入者です。
選択制の企業型確定拠出年金は、加入するしないを選択できます。そして掛金の金額を従業員が選べます。
現行給与の一部を掛金とします。(上限55,000円)
掛金分は給与とされないので、社会保険料の算定外であり所得税・住民税が掛かりません。
社会保険料は給与に対し約30%、本人負担分は15%の保険料がかかります。所得税・住民税合わせて最低でも15%の軽減があります。
10,000円掛金にするのならば約3,000円浮く感覚です。
しかも、運用益非課税です。
事業主側も、社会保険料は労使折半のため、負担する保険料の削減になります。
確定拠出年金をやらない場合、その分は手当金として給与と一緒に受け取りますが、給与と同じで社会保険料・所得税が掛かります。
企業型確定拠出年金は個人型(iDeCo)とは違い、口座開設も管理手数料も全て事業主が負担しますが、従業員は拠出したお金をまるっと運用に使えます。
毎月の給与から引かれて確定拠出年金の専用口座に積み立てられ、商品を選んで運用します。
しかし、その方から、どの商品にかけるか(配分指定)については話を聞いてないので、何も指定してないと聞きました。
元本確保の定期預金でも、加入するだけで税金のメリットがありますが、資産運用によって老後に使える資金が違ってきます。
社会保険削減ができたらおしまいなのではなく、従業員の老後の資産形成という本来の目的を忘れないでいただきたいと思います。
(引用、参照)