林 智慮

公的年金の受給開始上限 70歳超も

確定拠出年金相談ねっと認定FP林です。

 

 

1月17日にテレビ、新聞、webで報道されていますが、高齢社会に関する対策大綱の改定案で、公的年金の支給開始年齢を70歳を超えても選べる制度を盛り込んでいるとのことです。高齢者の就業を促すとともに、年金財政の安定につなげることが狙いだそうです。

 

今の公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、希望すれば60歳から70歳の間で受給開始を選択できます。そして受給を開始したときの金額が一生涯続きます。

65歳から受給出来る年金を繰り下げた場合、一ヶ月遅らすごとに0.7%の増額となりますが、70歳超えての請求は42%の増額率で止まっていました。70歳超の部分の増額率を増やす方針だそうです。

 

※繰下げ請求と増額率  増額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までに月数)×0.007 

請求時の年齢 増額率
66歳0ヵ月~66歳11ヵ月 8.4%~16.1%
67歳0ヵ月~67歳11ヵ月 16.8%~24.5%
68歳0ヵ月~68歳11ヵ月 25.2%~32.9%
69歳0ヵ月~69歳11ヵ月 33.6%~41.3%
70歳0ヵ月~ 42.0%

※日本年金機構HPより

 

反対に、希望すれば60歳から65歳になるまでの間でも繰り上げて受け取ることが出来ます。しかし、繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数に0.5%掛けた減額率で減額され、その金額が一生涯続きます。

 

※繰上げ減額率早見表  減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳になる月の前月までの月数

請求時の年齢 0カ月 1カ月 2カ月 3カ月 4カ月 5カ月 6カ月 7カ月 8カ月 9カ月 10カ月 11カ月
60歳 30.0 29.5 29.0 28.5 28.0 27.5 27.0 26.5 26.0 25.5 25.0 24.5
61歳 24.0 23.5 23.0 22.5 22.0 21.5 21.0 20.5 20.0 19.5 19.0 18.5
62歳 18.0 17.5 17.0 16.5 16.0 15.5 15.0 14.5 14.0 13.5 13.0 12.5
63歳 12.0 11.5 11.0 10.5 10.0 9.5 9.0 8.5 8.0 7.5 7.0 6.5
64歳 6.0 5.5 5.0 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5

※日本年金機構HPより

 

 

 

 

定年後から年金受給開始の間が無収入になることが問題ですが、高齢者の再就職、定年延長、働ける環境作りも進められるようです。収入が入れば、年金が必要では無くなってきます。そして受給開始年齢の上限が上がり、下限も上がってくるのでしょう。

iDeCoは60歳まで掛金全額所得控除で掛金を拠出し、その後も運用が非課税で出来ますが、70歳で全額引き上げなければなりません。

収入がそこそこあって運用が上手くいっている場合、非課税で長く運用したいですね。年金の受給金額の引き上げに伴い、iDeCoの期間も引き上げられるのでしょうか。

 

関連記事

【ロボアド研究会】資産運用も『おまかせ』の時代
「夕立」の後の涼しさはホットしますね。 確定拠出年金相談ねっと認定FP林です。 フィンテック(FinTech)と言う言葉、よく耳にするようになりました。 「金融(Finance)」と「技術(Technology)」を掛け合わせた造語です。 何やら難しそうですが、ガラケーで決済が出来る『お財布ケータイ』、ネットバンキングやネット証券も、その当時に「フィ……
【岐阜市】1月25日(木)19:00~iDeCoセミナー開催します
確定拠出年金相談ねっと認定FP林です。 セミナー開催のお知らせです。   2018年1月から始まる『つみたてNISA』   2014年にNISAがスタートして、iDeCo、そして つみたてNISAと、新しい制度が次々と。 どれも国民のために国が作った税制優遇の制度です。 一度制度を整理して、どう使ったらいいのか考えてみません……
【メディア実績】ファイナンシャルフィールド『転職・退職した場合のiDeCoの手続きって?忘れたらどうなる?』
制度や仕組みを、 知っていれば【貯められる】、知っていれば【殖やせる】、知っていれば【騙されない】 FP相談ねっと林です。 4月は年度の節目。入学・進級、就職、転職、新しい環境での生活が始まりました。手続きすることが盛りだくさんですね。 ところで、iDeCo口座をお持ちの方で転職された方、iDeCoの手続きはされましたか? ……
今年4月から、厚生年金保険・健康保険の加入対象がさらに広がっています
確定拠出年金相談ねっと認定FP林です。 前回のコラムでは、平成30年分以降配偶者特別控除が拡大し、扶養配偶者の所得が38万円から85万円(給与収入のみの場合103万円から150万円)以下に引き上げられますとお伝えしました。次に問題とされるのは、社会保険に加入となるのかどうか。社会保険の被扶養者である年収130万円の基準はそのままですが、平成28年1……