前田 菜緒

子どもの自転車事故、保障はどう考える?

こんにちは。

子育て世代の家計のパートナー、FP相談ねっと認定FPの前田です。

 

まずは、こちらのグラフをご覧ください。

これは、東京都の全事故件数に占める自転車事故の割合の推移です。

出典:警視庁「都内自転車の交通事故発生状況 自転車事故の推移 令和元年中」

 

なんと、全事故件数の約4割に自転車が関わっています。自転車は、子どもから高齢者まで幅広い年齢の人が乗る乗り物ですが、自転車で事故を起こしても、子どもだからといって、罪が軽くなるわけではありません。

事故を起こさないことが一番ですが、万一、自転車事故を起こしてしまった場合にそなえて、保障のこと、しっかり考えておきましょう。

 

過去の自転車事故

自転車での大きな事故と言えば、2008年に神戸で起きた小学5年生の男の子が加害者となった事故です。この事故は、男の子が坂道を自転車でくだっていたところ、歩いていた62歳の女性に気づかず、正面衝突。女性は頭蓋骨骨折、意識が戻らず、9500万円の賠償を命じられました。

 

自転車事故とはいえ、被害の大きさによっては数千万円の賠償金を支払わなくてはなりませんし、この事故以外にも、実際に数千万円の賠償金支払いを命じられた未成年者による自転車事故はあります。

 

未成年者が起こした事故であっても、本来、未成年者本人が損害賠償責任を負うことになっていますが、責任能力がなければ、監督義務者が責任を負うことになります。一般的に責任能力があるのは、12〜13歳と言われていますが、その人にもよるので、ケースバイケースと言えそうです。

 

そして、責任能力がない場合は、監督義務者が責任を負うわけですが、一般的には監督義務者は親になるでしょう。親が子の監督義務を果たせていないなら、親が賠償責任を負います。一方で、監督責任を果たしていれば、損害賠償責任を負わないことになります。

 

たとえば、自転車事故ではありませんが、親は監督責任を怠っていなかったとされた判決があります。

11 歳の小学生が校庭で蹴ったサッカーボールが道路に飛び出し、それを避けようとバイクに乗っていた高齢者が、転倒し、死亡した事件について、未成年者の親は、監督義務を怠っていなかったとして、免責されました。

 

しかし、一般的には、親が監督責任を怠っていなかったと証明するのは、非常に難しいと言えるでしょう。

 

自転車保険に入ればいいの?

ここ数年、自転車保険の加入を義務化する自治体が増えています。2020年4月には、東京都が自転車保険の加入を義務化しました。「自転車保険」と聞くと、相手に対する保障と自分に対する保障がセットされた保険とイメージするかもしれません。

 

しかし、東京都で義務化された内容は、必ずしもそうではありません。そして、東京に限らず、多くの自治体では、「相手の生命や身体の損害を補償できる保険」を自転車保険としています。つまり、自分自身のケガの保障までは、求めていないということです。

 

だってね、実際、数千万円の損害賠償を命じられたら?

とてもじゃないけど、簡単に支払える金額ではありませんよね。

 

義務化の目的は、被害者の救済と加害者の経済的負担軽減です。

この目的を果たす保険は、賠償責任保険です。個人賠償責任保険や日常生活賠償責任保険という名前で、販売されています。

 

この保険は、単独でも販売されていますが、自動車保険や火災保険、傷害保険に特約としてもつけられます。クレジットカードに付帯できることもあります。

また、共済にも、オプションとしてついていることもあります。

 

すでに保障をつけているなら、新しく保険に加入する必要はありません。

 

保険料は、月々100円〜200円のものが多いですから、家計的にも大きな負担ではありません。この機会に、自動車保険や火災保険にオプションとしてついていないか、確認してみてください。

 

ちなみに、東京都の場合、義務化されたとは言え、保険に加入していなくても罰則はありません。そして、保険金がいくら以上でないといけないという決まりもありません。

 

ただ、9500万円の判決が実際に出ている以上、”億”以上の補償はほしいですね。

 

個人賠償責任保険ってどんな保険?

ところで、そもそも、個人賠償責任保険ってどんな保険なのでしょう?

 

これは、他人にケガをさせてしまったり、他人の物を壊してしまい、賠償責任をおった時に備える保険です。たとえば、子どもがお店のものを壊してしまったり、自分の部屋で漏水させてしまい階下まで漏れてしまったり、誤って線路へ立入り、電車を運行不能にしてしまったりして、法律上の損害賠償責任を負った場合に、賠償金が支払われます。

 

でも、保険金が支払われないこともあります。

それは、

・同居の親族に対する賠償責任
→子どもが、パパのメガネを割っちゃった!といった場合など

・仕事中の賠償責任

・他人から預かった物・借りた物に対する賠償責任
→DVDを借りてきて、そのDVDをを壊してしまった場合など

・自動車等の所有・使用・管理に起因する賠償責任
→自動車保険でお願いします。

などなど・・・

 

保障対象となる人の範囲は、一般的には

・本人
・ 本人の配偶者
・ 本人または配偶者と生計を共にする同居の親族
・ 本人または配偶者と生計を共にする別居の未婚の子

となっていますが、商品によって異なります。

ひと家族に1つの保障があれば、良いですね。

 

ちなみに、自転車事故で一番多い割合は、交差点での出会い頭だそうです。

出典:警視庁「都内自転車の交通事故発生状況 自転車事故分析資料 令和元年中」

 

私自身、子ども2人を自転車の前と後ろに乗せて赤信号を待っていて、青に変わったから渡ろうとした時、スマホを触りながら自転車を運転している女子高生が信号無視で横切ってきて、倒れた経験があります。

 

自転車事故には、しっかりと備えておきましょうね。

 

 

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