前田 菜緒

私立大学理系の年間最大23万円の授業料補助制度とは

こんにちは。

FP相談ねっとの前田菜緒です。

今回は、私立大学理系の授業料補助制度について解説します。私立大学理系の授業料は高いですが、それを緩和させるための授業料補助制度があります。所得制限はありますが、比較的ゆるめなので、自分は該当するかどうか、チェックしてみてください。

私立大学理系の授業料補助制度とは

私立大学では文系と理系で授業料を比べると理系の方が高くなっています。そこで、子育て支援のために、文系と理系の授業料の差額、入学金の差額を支援する制度が2024年から導入されました。支援額の上限は下記の通りです。

出典:文部科学省「令和6年度からの奨学金制度の改正(授業料免除等の中間層への拡大)に係るFAQ」

上記金額が、支援額の上限額です。もし、自分が進学・在学する学科が、いくら支援されるのか知りたければ、大学のホームページを見ると、書いてあることもあります。たとえば、早稲田大学のホームページには、下記のように記載されています。授業料は国が上限額とする23万円と同額ですが、入学金は6.6万円となっています。

出典:早稲田大学「高等教育の修学支援新制度」

まずは、子どもが進学する大学のホームページを調べてみましょう。「大学名・学費・理工野系(あるいは第Ⅳ区分)」で検索すると良いですよ。

利用できる家庭(家計基準と学力基準)

利用できる家庭の主な要件として、家計基準と学力基準があります。

家計基準

家計基準の目安については、下記が目安となる年収です。

出典:文部科学省「令和6年度からの奨学金制度の改正(授業料免除等の中間層への拡大)に係るFAQ」

上記はサラリーマン(給与所得者)の場合の目安額です。個人事業主など事業所得がある場合は、この目安にはならないのでご注意ください。

目安ではなく、自分が対象になるかどうか知りたい!という場合は「進学資金シミュレーター」を使うと、もう少し詳しい情報を得ることができます。「進学資金シミュレーター」はJASSOのホームページにあります。「進学資金シミュレーター」は、奨学金を受けられるかどうかをシミュレーションする機能ですが、理工農系の支援を受けられるかどうかも調べることができます。

動画では進学資金シミュレーターの入力方法や採用されるコツもお伝えしていますから、詳しく知りたい人は見てみてください。

学力基準

次に学力基準を確認しましょう。

大学進学前の場合(いずれかに該当すればOK)

1、1年生から申込時までの全科目の成績平均値が、5段階評価で3.5以上

2、学修意欲がある(レポート、面接等実施)
 →どんな目的を持って自立することを志しているのか、自分の目的達成ためには、この学問を習いたい!!といった意欲をレポートや面接で問われます。

大学2年生以上の場合(いずれかに該当すればOK)

1、入学時から前学年までの累積平均成績が在学する学部の上位2分の1以内

2、取得単位数が標準単位数以上であり、学修する意欲がある(学修計画書提出)

ちなみに学習計画書とは、このような書類です。

出典:文部科学省「大学等への修学支援の措置に係る学修意欲等の確認の手引き」

なお、支援を受けられたとしても、その後単位取得率が良くない、出席率が良くないなど基準に満たなければ支援打ち切りとなります。

利用できる大学

私立大学理系在学者が利用できる制度ですが、「理系」と言っても、最近は理系のような文系のような、どっち?という学部もたくさんあります。対象の学部・学科のリストは文部科学省のページで公表され、随時更新されています。「理工農系 リスト」で検索すると最新のリストがヒットするので、確認してみてください。

たとえば、このブログを書いている2025年3月時点では、2024年11月のリストが最新バージョンで、一部抜粋したのが下記のリストです

出典:文部科学省「理工農系学部学科の対象機関リスト」

上記リストを見ると、中央大学では国際情報学部国際情報学科など一見文系?と思われるような名前の学部学科でも、理系としてリストに掲載されています。検討中の大学の学科や在籍中の学科が該当するかどうか一度確認をしてみると良いでしょう。
なお、国公立は文系理系で授業料に差はないので、対象外です。

手続き方法

申込のタイミングとしては、高校3年生時に高校等を通じて申し込む予約採用と、大学等入学後に在学する学校を通じて申し込む在学採用があります。

高校生は、春に学校から奨学金の案内があります。理工農系支援の制度は授業料と入学金の支援なので、奨学金を借りるわけではないですが、手続きは奨学金と同様のため、奨学金の案内があったら申込手続き書類をもらうようにしましょう。

大学生は、在学している大学で春と秋に募集が行われます。同じく奨学金の案内ですが、理工農系制度の支援も案内されますので、情報を収集して期限内に申し込みをしましょう。

注意点

理工農系の支援を受けるにあたり、1つだけ注意点があります。この制度の支援を受けると、無利子の第一種奨学金の借りられる金額に制限がつくようになります。下記のように支援を受ける場合と受けない場合で貸与可能な金額が変わりますから、注意しましょう。

関連記事

【メディア実績】2025年7月号サンキュ!さん取材協力させていただきました
こんにちは 子育て世代の家計のパートナー、FP相談ねっと認定FPの前田です。 2025年7月号(5月23日発売)のサンキュ!「NISAで教育費を貯める方法」監修させていただきました。 ……
【メディア実績】東京新聞・中日新聞2024年9月19日朝刊取材協力
こんにちは 子育て世代の家計のパートナー、FP相談ねっと認定FPの前田です。 2024年9月19日の東京新聞・中日新聞さんの朝刊で夫婦で育休取得する場合のポイントや家計について取材協力させていただきました。 ……
転職で企業型確定拠出年金からSBIのiDeCoへ。書類の手続きについて。
(2019年8月20日編集) こんにちは。 確定拠出年金相談ねっと認定FPの前田菜緒です。   私は、今、企業型確定拠出年金に加入しているのですが、この度、SBIの個人型(iDeCo)に移換することになりました。手続書類や内容について、お伝えします。   SBIのiDeCo申込み手続き書類 早速、申し込み資料を取り寄せま……
【オンライン講座】5月20日(水)「iDeCo(イデコ)のはじめ方と資産運用の基礎知識」参加者募集のお知らせ
こんにちは。   子どもが寝てからでも相談可能!子育て世代の家計のパートナー   FP相談ねっと認定FPの前田です。   iDeCoをはじめたい人のためのマネーオンラインスクール(全5回)   次回は、 第3回「iDeCo(イデコ)のはじめ方と資産形成の基礎知識」 5月20日(水) 朝の部:1……