こんにちは。FP相談ねっと認定FP・0円投資マスターの野原です。
目次
まさかの「K字回復」
5ヶ月以上前が嘘だったかのように株価が戻っていますが、「K字回復」といわれるように個別の株価をみると、勝ち組・負け組の優劣がハッキリしている展開となっています。
積立投資では、最も活用されている投資信託(投信)の基準価額(値段)もひとくくりにインデックス・ファンドといっても、パフォーマンスに大きな差がありますし、アクティブ・ファンドも同様です。
現在のところ、コロナショックによる大幅な株価調整は瞬間風速であったかのように、短いものになっています。
短期間でここまで急速に株価が戻ることを想定していたかたはほとんどいなかったでしょう。
そもそも、積立投資家が基本としている「長期・分散・積立」においては、株価予測やこまめに利益を出していく必要はありませんが、なかにはそろそろ2016年に買付けしたNISAをロールオーバーするのか、いったん利益確定しておくのか、考え始めているかたもいるかもしれません。
アフターコロナの日米株価(日経225・NYダウ)
インデックスとしてはあまり良いパフォーマンスではなかった日経平均株価やNYダウであっても、2016年と比べるとはるかに高い位置にあります。
日経平均株価
NYダウ
これからの投資行動が吉とでるか凶とでるかは、すべて結果論になってしまうため正解はありませんが、自分で納得感あるやり方を継続していただきたいと思います。
そこで、その判断の参考としていただければと、積立資産が含み益(いま売れば利益の状態)の時に、出口に向けて考えていただきたい点をご紹介していきましょう。
どっちがよりマシですか?
投資行動に正解はないかもしれませんが、あなたにとって最適な方法はあるかもしれません。
NISAは少額投資非課税制度ということで、0円投資のように少額積立てにとっては、とても強い味方なのですが、非課税期間が恒久化されておらず、つみたてNISAと比べて、どうしても出口(非課税期間終了時)を意識せざるを得ません。
私がNISAの出口問題で最も考えていただきたいと思っているのが、下記についてあなたならどちらがマシですか?ということです。
1、売ってから上がって後悔
2、売らずに下がって後悔
さぁ、どうでしょうか?
「売ってから上がって後悔」タイプ
このタイプを選んだかたは、特になにもすることはありませんが、もし心配な場合は、セオリー通りリバランス(リスクの再調整)をしておくと良いでしょう。
どのくらいの割合を売却するかは個人差がありますのでご相談していただきたいですが、完全にほったらかし状態から、ログインして現状を確認することをオススメします。
「売らずに下がって後悔」タイプ
つみたてNISAへの移管という選択肢を考慮しない前提で考えると、このタイプの方の場合は「クロス取引」という方法があります。
ここでいうクロス取引とは、NISAで保有していた投信を売って、同日に同程度の金額で同様の運用方針の投信を、特定口座などの課税口座内で買付けることです。
証券会社の決済口座や、ネット証券の決済銀行内に残高があり、投信の新規買付余力のある状態で実行することが前提になります。
私の場合、仕事上の理由で、常時30本程度の投信を保有しています。
直近でも、似たようなインデックス・ファンドを取捨選択してきましたが、この相場を利用して集約したものもあります。
この際、その売却代金でNISAの非課税枠を使用してしまうのがもったいないのと、保有しないと決めた投信の含み益(いま売ったら利益の状態)を利益確定させておきたかったので、一部の投信についてクロス取引を実行しました。
また、外国株式でも同様のクロス取引を実行しましたが、株式の場合はちょっと事情が異なりますので別途ご相談ください。
クロス取引のメリット
この方法のメリットは、積立投資家が長期投資を継続しながら、いったん利益を確定させ、NISAの出口を気にしなくて良くなる点です。
デメリットとしては、さらに大きく基準価額が上昇した時に、非課税メリットがなくなってしまっていることです。
「売らずに下がって後悔」タイプや、私のようにNISAの新規枠を消費せずに、保有投信を集約したい場合にはとても有効なのです。
例えば、NISA内の保有投信が下記のように推移したとします。※手数料除く
NISA : 買付時10万円 → 50%上昇 → 15万円 → 5万円の利益 → 精算金額15万円(非課税)
特定口座 : 買付時15万円 → 50%上昇 → 22.5万円 → 7.5万円の利益 → 清算金額21万円(1.5万円納税)
※NISAで保有し続けた場合 → 清算金額22.5万円(非課税)
つまり、長期投資を継続しつつ、多少の課税と引き換えに、非課税期間終了時の「NISAのリスク」を回避できるのです。
特定口座内での取得コストは上昇しますが、元々NISA内で保有していた商品の取得コストを、実質的には引き継ぐことになります。
特定口座内の商品が値下がりしても長期投資には関係ありませんし、将来売却損がでたとしてもNISA内の買値を下回らなければ、実質的に損にはなりません。
NISAのリスクに関する記事:準備中
また、NISAのリスクは資産残高が増えれば増えるほど、それに比例して大きくなっていきます。
最初は些細で小さな悩みだったことが、後々大きくなるのは目に見えています。
その時の判断を、マーケットの神様にゆだねるのか、自分で行動時期を選ぶのか、それはあなた次第です。
長期積立による分散投資は「チーム戦」
NISAやつみたてNISAは、非課税期間が恒久化されていないために、本来の資産形成の目的を妨げる可能性のある、ちょとややこしい制度ではあります。
非課税期間終了が近づくにつれて、気にしなくても良いことを考えざるをえないケースが必ずでてきます。
「運が良ければ非課税、運が悪ければ売却時に損しても、特定口座のようには損益通算できない」ってまさにギャンブルですよね・・・。
出口でめんどくさいことになるくらいなら、課税されても損益通算のできる特定口座のほうがよっぽど楽なので、元手のいらない0円投資で活用しているとはいえ、ポケットマネーなら素直に活用したいとは思えない制度だと感じています。
とはいえ、非課税枠を使い切っていないかたなど、一般的には資産形成とは相性の良い制度なのは間違いないと思いますので、うまく活用していただくと良いでしょう。
そもそも、長期積立てによる分散投資はチーム戦のようなもので、自分が組入れている個々の投信の損益などは特に気にする必要もなく、たまにチェックするのは資産配分だけで大丈夫です。
当初の資金計画に基づいて、想定するリターンによる分散投資ができていれば、現在のように資産配分が崩れた時に、リスクの再調整を目的として、当初の計画通りの資産配分に戻すだけです。
繰り返しますが、個別投信の損益など全く関係ありませんし、継続していればいつの間にか増えちゃうイメージです。
私が商品選びにほとんど興味がないのは、「商品選び」より「商品の使い方」のほうがよっぽど大切だからです。
リスクを取りすぎたことによる資金計画からの大きなブレ
リスクをとらなすぎたことによる資金計画の大きな未達
を防ぐために、自分のペースでメンテナンスしていくことが重要になります。
将来や老後のための貯蓄をひとつチームのように見立てて、そのチーム全体でリスクコントロールしながら徐々に増やしていくイメージです。
たったこれだけの気持ちの持ちようでも、コロナショックでフタを開けてみれば、圧倒的なパフォーマンスを出すことも不可能ではないわけです。
そしてこのことは、何か特殊なテクニックを必要とするわけでもなく、日常のニュースを見て、自分の頭で考えて、本業のビジネスを継続していく過程から漏れ出した、おまけのようなものです。
あなたのビジネスと、あなたの日常生活、そしてあなたの資産形成が、うまくコラボしてつながっていく時代が、そのうちやってくると信じています。