こんにちは。FP相談ねっと認定FP、野原(のはら)です。
ありがたいことに最近、ラジオや勉強会などを通じて、経営者・士業・営業パーソン、さらには学生さんにまで、「投資やお金の本質」のような話をさせていただく機会が増えてきました。
以前よりなんとなく感じていたことで、最近実感しているのは、ライフプランや家計管理という個人の家計の枠内だけでお金の話を理解しようとすると、どうしても限界がすぐにきてしまいます。
根本的に、長期にわたる国際分散投資を理解するには、やはり我々がいま生きているこの世界、経済、お金の本質的な話に触れておくと、投資の話がより腑に落ちやすくなると感じてくれるかたが増えてきていたら嬉しいです。
なんか昔から、そんな感覚を漠然ともっていたのですが、最近どんどん研ぎ澄まされてきた感があるものの、わかりやすくお伝えする能力が僕にはまだ備わっていないため、ブログ発信したり、ラジオや勉強会など、リアルな本番で緊張感ある状況に身を置きリアクションをみてみながら、日々練習しているところです。
わかりやすいだけではダメで、的を得た抽象的なことこそ、ちゃんとお伝えできるようになりたいと願っています。
ブログや勉強会コンテンツ、書籍、ラジオ、facebook投稿などで、カタチとして残しておかないと、後でどれくらい自己成長できたかがわからなくなってしまいますので、今回も書かせていただいております。
最近では、カッコつけた言い方をすれば、経済やマーケットの将来見通しについて、意見を求められる機会も増えてきました。
たまたま私は、確定拠出年金以外としては、「経済・歴史・金融」というキーワードをメインテーマにしていますが、結局のところ「ちゃんとみてればわかる」というだけの話で、この「ちゃんと」という感覚は、個人差があまりに大きく、「おかれている立場による」「ものは言いよう」「その人のサジ加減」ということになりやすい点でもあります。
他分野の素晴らしい専門家の方々もきっとそうでしょう。
なぜ、投資の本質は理解されにくいのか?
ひとつの要因として私が考えているのが「合成の誤謬」(ごうせいのごびゅう)によるものです。
これは、個々のミクロなレベル感では好ましいと思われることをしたとしても、全体としてマクロなレベル感では好ましくない結果をもたらしてしまうこと。またはその逆もしかり。
つまり、個人の家計でみたら良いことをしたつもりでも、経済という観点からみると正しくないことがでてくる、などです。
例えば、ある個人が貯蓄や節約に励むと、その人の資産が増えるという効果があるが、国民全員が貯蓄や節約志向になると、国全体の消費が減退し、国民の総所得が減ってしまう。個々人が正しいと思ってとった行動が、みんなが同じ行動をとることで社会的な状況を悪化させてしまうこと。
※野村證券WEBサイト「証券用語解説集」より抜粋
といった話です。
なぜこういうミスマッチが起きてしまうかというと、我々はいまの自分の現状のレベル感を基準に、その延長としてより大きな視点のことを考えがちだし、いまの現状の存在感があまりに大きいため、過去からのつながりや未来への流れをイメージしにくい脳ミソになっているからです。
また、具体的な話や、わかりやすい身近な例え話は理解しやすいですが、より抽象的な話や、自分でイメージを膨らませる、想像力を働かせる必要のあることを考えるのは、脳ミソにもの凄く負荷がかかります。
あまりに負荷がかかりすぎると、我々は途中で考えるのをやめてしまい、思考停止状態となり、なんとなく流れや雰囲気で情報収集してしまい、その中途半端な情報を基に、判断を下してしまうことにつながりやすくなります。
そりゃそうだという話になりますが、あくまで「自分の現状」がどうしても大きな判断基準のベースになってしまうのです。
限界的な家計思考から永続的な経済思考へ
そもそもなぜ長期投資という投資方法が有効なのかを考えるのには、様々なアプローチが考えられますし、話が長くなりますのでここでは割愛しますが、せめてこれだけを知っておけば、本業のビジネスに集中しながら、長期にわたる資産形成をしやすくなるんじゃないか、というアプローチをご紹介しましょう。
私のお客さまはどちらかというと、ひとくくりにしてしまえばビジネスパーソンが多くなっていますので、もしかしたらちょっと違和感があるかもしれません。
ただ私としては、資産形成の勉強そのものに時間をかけるのは単純にもったいない、そんな時間があったら、本業のビジネスに集中したほうが良いんじゃないかと思っていますので、そのためのしくみとして、腑に落ちた状態までもっていって、資産形成し続けていただくと良いんじゃないかと常日頃思っています。
私は経営者じゃないし、働いてもないし、というかたでも、どんな立場であれ結果的には同じことだと考えています。
それ以上のことについては、どこまで掘り下げていくかは、その人次第です。
例えば、経営や資金繰りなどの観点であれば、原則としてはこんなイメージです。
国家運営・企業経営 ⇒ 条件を満たせば永続的
家計 ⇒ 収入や貯蓄により限界的
基本的には、国家運営は共同体として永続的な存在です。統一国家になったり、連邦制になったりなど様々な体制は考えられますが、人類が存在し続ける以上、長期的に成長しながら続いていくことが想定されます。
営利団体としての企業も同様で、営利企業は成長し続けることが使命になっています。
一方、家計は、基本的には限られた収入のなかでやりくりすることが目的です。もちろん、劇的に収入を増やせるものであればそれにこしたことはないですが、現実的にはそこそこの範囲内での活動に限定されます。
企業そして国家と、より大きな共同体になればなるほど、この限界性は薄まっていきます。企業の売上や国家の税収という意味では限界的ですが、資金繰りという面では、条件を満たせば永続的に借入れしつづけられる点が、我々の家計には不可能なことです。
この時間軸として、財源や資金調達に関して、家計と企業・国家との大きな差になってしまうのです。
だからこそ逆にいえば、有限な家計には、無限の世界の投資が必要でもある、家計の弱点を投資で補うということです。
もの凄く抽象的な話をあえてしましたが、このような話は時間をかけるとだんだん理解しやすくなっていきます。
投資の勉強とは、なにか具体的な方法論や金融商品について学ぶことも大切なのですが、同時進行で必ず抽象的・概念的なこともぜひ学んでみてください。
時間がたてば点と点がつなり、そのうち本当に理解できるようになってきます。
そしてこのようなことが理解できるようになると、長期投資についてほとんど考えることが不要になりますし、本業のビジネスと投資との相乗効果が大きく高まっていくでしょう。
また、本気で経済・金融などを学びたいかたは、「FPリベラルアーツ」へのご参加もご検討いただければ嬉しいです。