FP相談ねっと認定FPのプレ定年専門FP三原由紀です。
受験シーズンも終わり、4月から大学生になる子どもがいる親御さんはホッとひと息ついているところではないでしょうか?
学生バイトの稼ぎ方は多様化している
AO入試や推薦などで早くに進学先が決まったお子さんたちはバイトに励んでいるかもしれません。多くの大学生がアルバイトをしていますが、お子さんがどのように?いくら?稼いでいるか把握しているでしょうか?
ひと昔前であれば、バイトと言えば、飲食や販売、塾の講師など雇用されて働くことが一般的でした。しかし、インターネットやスマホの利用が広がり、収入を得る方法は多様化しています。
YouTubeで広告収入を得たり、スマホのアプリ制作を開発したり、eスポーツで賞金を稼ぐなど雇用されずに収入を得ることも可能です。
eスポーツとは?
「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称です。
ゲームばかりして、親に叱られた記憶がある大人は多いと思いますが、、賞金を稼げるとは隔世の感がありますね。
親世代のバイトからは想像できないような稼ぎ方があるのが現代のバイト事情です。
子どもが稼ぎすぎると、親に不都合なこともある
様々な稼ぎ方があると言ったものの、統計データによると多くの子どもがバイトで稼ぐ収入は月3万円程度が相場のようです。
しかし、中には飲食のバイトで月10万円稼ぐ子どももいます。稼いで嬉しい子どもと比べて、親にとっては嬉しくないことが起きる可能性があります。
それは、子どもが扶養を外れてしまうことです。
扶養には、それぞれ税金と社会保険の扶養があります。
税金には所得税と住民税、社会保険には健康保険があります。また、扶養とは関係ありませんが、子ども本人の収入が一定額を上回ることで国民年金保険の猶予を受けることができなくなる可能性もあります。
詳しくは、2020/3/15掲載の東洋経済オンラインの記事をお読みください。
「バイト稼ぎすぎ」の大学生が親にかける大迷惑
思わぬところでたっぷり税金をとられるかも
扶養超え?子どもの給与や所得を確認しておこう!
東洋経済オンラインのコラム内でお伝えした所得税と住民税の扶養控除について詳しくお話します。
まず、所得税についてです。
親が所得税の扶養を利用するには、子どもの所得が48万円以下(給与収入のみ103万円以下)でなければいけません。
ここで所得と収入について補足です。所得は、収入金額から会社員の必要経費とみなされる「給与所得控除額」を差し引いた金額となります。給与所得控除の計算式は以下の通りです。
収入金額×40%-100,000円
※550,000円に満たない場合には、550,000円(令和2年分以降)
例えば、給与収入103万円の場合、給与所得控除は55万円になります。所得は103万円から55万円をマイナスしては48万円(103万ー55万)となります。
コラム内では、子どものバイト代(給与収入)が年間120万円でした。所得は65万円(給与収入120万-給与所得控除55万)になり、扶養控除を利用することはできません。
なお、子ども自身の所得税については勤労学生控除(※)を利用できるか確認が必要です。
勤労学生控除(※)
納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます
(1) 給与所得などの勤労による所得があること
(2) 合計所得金額が65万円以下(令和2年分以降は75万円以下)で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除65万円(令和2年分以降は55万円以下)を差し引くと所得金額が65万円以下となります。
(3) 特定の学校の学生、生徒であること
上記3つの要件に該当する子どもについては勤労学生控除を受けることができます。
例えばアルバイトが給与で年間120万円の大学生の場合、所得65万円(令和2年分以降で計算)です。75万円以下になるので勤労学生控除を受けて所得税はゼロになります。令和2年については、給与収入のみで年間130万円以下であれば所得税はかかりません。
次に住民税についてです。
住民税は、「都道府県民税」と「市町村民税」を合わせた総称です。1月1日時点に住民票があった市区町村に、前年中に所得のあった人が納付を行う義務があります。所得税と異なり、住民税は翌年納めることになります。
少しややこしいのですが、住民税は、所得金額にかかわらず一律の「均等割」と所得金額によって決まる「所得割」の2種類で構成されています。
そして、どちらとも非課税になる場合と、「所得割」だけ非課税になる場合があります。
東京都令和2年度の場合は以下の通りです。
<「均等割」「所得割」のどちらとも非課税のケース>
未成年:前年所得が125万円以下(給与収入で年収204万4000円未満)
成人:前年所得35万円(給与収入100万円)以下
※未成年でも婚姻歴のある人は成人扱いとなります。
<「均等割」のみ課税のケース>
成人:所得35万超え59万円以下(給与収入で100万円超え124万円以下)
例:124万円(給与)ー65万円(給与所得控除※)ー26万円(勤労学生控除)ー33万円(基礎控除※)=0
※給与所得控除;令和3年からは65万円→55万円に変更
※基礎控除:令和3年からは33万円→43万円に変更
住民税についても所得税同様に勤労学生控除があります。控除額は所得税(27万円)と異なり、26万円です。
非常にわかりにくい住民税ですが、2022年4月1日からは、成年年齢引下げに伴う改正があり、18歳で成人扱いになります。
2020年時点では、年間給与が204万4,000円にならなければ20歳未満の大学生には住民税はかかりません。20歳以上になれば年間給与が100万円を超えると所得割5,000円は最低でもかかることになります。
詳しくは居住地の役所に確認することをおすすめします。
こんなこと役所に聞いていいのか?不安に思われる人もいるかと思いますが、とっても親切に答えてくれるはずですので遠慮なく確認しましょう。