小川 洋平

役員報酬はどうやって決めればいいの?

こんにちは(^^)

小規模事業者のお金のサポーター、ファイナンシャルプランナーの小川です。

法人の経営者さん、役員報酬ってどのように決めておられますか?

役員報酬の決め方、実は超重要です!

以前税理士さんが経営者さんに対するアドバイスで

「社長なんだからこれくらい取れ!」とか、

「会社がピンチのときは社長の個人のお金使うんだから社長が個人で貯めておかなきゃダメだ!」

というアドバイスを受けたことを聞いたことがあるのですが

木村拓哉さんのように「ちょまーてーよ!」とか某元議員さんのように「ちーがーうーだーろー!」と言いたいところです(笑)

役員報酬によって何が変わるのか、みていきましょう。

社会保険料負担

先回お伝えした通り、役員報酬を決めることで社会保険料が変わります。

※まだご覧になってないかたは是非こちらをご覧ください。

原則として、役員報酬を増やすほど社会保険料が上ります。

例えば、役員報酬が10万円高くなると、社会保険料は大体その会社と個人それぞれで14%程度が上がり、会社負担14,000円、個人負担14,000円アップということになります。

ですので、まだ会社の基盤を固めて安定させたいという状況では役員報酬はできるだけ低く抑えた方が良いということになります。

ただし、社会保険料が高くなる半面、将来受け取れる厚生年金やケガや病気で仕事を休まなければならない期間の傷病手当金、遺族年金や障害年金等、給付も拡充されるため、社会保険料が高くなることは必ずしもマイナスばかりではありません。

ある程度会社の利益が出ていて、税金が高くなるくらいでしたら厚生年金保険料が上がって将来の自分の厚生年金や万が一の公的保障を手厚くできた方が良いということもできます。

会社の利益と財務

役員報酬を決める上で重要な要素の一つが、会社にどの程度の利益を残すかということです。

以前のコラムをご参照ください。

「できるだけ税金を抑えたい」って思って利益を抑えようとすると、その代償は会社の財務指標が悪化してしまうこと、そして現預金を減らしてしまう結果を招きます。

すると、税金は安くなっても金融機関からの評価が悪化し資金調達がしにくくなったり、手元のお金が無くなってしまい経営を強くすることができません。

なので、会社の財務も視野に入れながら、適正な利益を会社に残す必要があります。

冒頭でお話した「社長だからこれくらい取れ!」や、「会社がピンチの時に社長が個人のお金を使う~」というくだりの話は会社の利益を減らし、会社に残すことができるお金を減らしてしまう結果を招きます。

会社のピンチに備えるお金を個人で積み立てれば個人の税金、社会保険料が差し引かれますので当然ピンチに備えることができるお金はそのまま会社に残すよりも少なくなりますし、利益を減らし、会社の財産を減らすことになるため会社のピンチをわざわざ起きやすくしてしまうことになってしまいます。

無理に低く抑えようとしない、必要以上に高くしない。

このスタンスが大切です。

役員報酬は個人で必要な生活費から決める

これは私が保険営業時代に、「保険は節税のために使ったって意味ないよ」って教えてくれた税理士さんから習った方法です。(このお話もまた後日)

役員報酬は社長が個人で必要なお金を基準に決める

役員報酬は低ければ低いほど個人の税金、社会保険料の節約にはなりますし、結果的に会社の財務の面でもプラスになります。

ですので、経営基盤を強化しようと考えている際にはできるだけ役員報酬は低く抑える方が良いと言えるでしょう。

ですが、会社の経営改善をしなければならない状況でなければ経営者の生活を犠牲にしてまでする必要もありません。

そこで考えるべきことが、「いくらあればあなたの人生で必要なお金を確保できるの?」という点です。

そこで考えていただきたいのがご自身の「ライフプラン」です。

ライフプランを考えるとそれを実現するためにいくらあれば良いのかを計算することができます。

このライフプランを実現するために必要なお金を基準に考え、会社の利益とのバランスで調整してみると適切な役員報酬を決定することができます。

高過ぎず低過ぎない、そんな最適なラインを狙っていけると良いですね。

ただし、60代の経営者さんで既に老齢厚生年金の受給資格がある方は「在職老齢年金」という仕組みによって、役員報酬の金額によっては老齢厚生年金が減額される可能性もありますので要注意です。

できるだけ会社と個人に多くお金を残すためには・・・?

役員報酬は低過ぎず高過ぎず、最適なラインを狙うことがが原則ですが、それでもできるだけ低く抑えた方が会社にも個人にもお金を残すことができます。

そのための方法をご紹介します。

・選択制確定拠出年金、iDeCoプラスの活用

→老後の資産形成を行う場合、個人で受け取った役員報酬からiDeCoなどに加入するのも一つの方法ですが、それらの掛け金を会社から拠出することも可能です。会社の経費として拠出することも可能ならばその分報酬を抑え、社会保険料と税金の節約に繋げることが可能です。

・生命保険を会社契約に(死亡退職金の活用)

→生命保険も一部会社契約にした方が有利な場合もあります。

経営者に万が一のことがあったとき、会社から死亡退職金として全額損金で経営者の家族に渡すことも可能です。

この仕組みを利用し、会社で生命保険料を支払えば個人で保険料を支払う必要が無くなるため役員報酬を抑えることが可能です。

ただし、保険の種類によっては個人契約で加入した方が良い場合もありますのでまた改めてご紹介したいと思います。

・旅費規程の活用

→出張が多い経営者さんにはこの旅費規程は大変有効です。旅費規程により支払われる日当は非課税、社会保険料の算定対象外となります。旅費規程をしっかり作成し、仕組みを作ることで会社からは全額損金で、払った金額がそのまま個人の手取りの収入にすることができます。

・倒産防止共済の活用

→役員報酬とは直接関係ありませんが、倒産防止共済は取引先の倒産により売掛金が回収不能となった場合に連鎖倒産を防止するための制度ですが、使い方次第では税金が掛からずに会社に利益を残すための方法として大変有効です。

掛金は全額損金になり、1年以上加入することで解約した場合の返戻金が発生し、40カ月以上でなんと掛金は100%返ってきて、節税しながら会社のピンチに備えることができる資産を作ることができるということです。

そして、なんと掛金は税制上は税金の計算対象から外すことができるのに、損益計算書の利益を減らすことなく、貸借対照表上でも資産として扱うことができ、税金の負担を抑えながらも会社の財務体質強化に多いに役立ってくれる優れものです。

会社のピンチに備える方法は役員報酬をムダに多くして経営者の個人資産を使う前に、まずこういった有利な制度を上手に使った方がはるかに会社のピンチに備えられるお金を残すことができますし、金融機関の評価も良くなりますのでそもそも経営のピンチが起きにくくなります。

それぞれの詳細についてはまたの機会にご説明しますが、このような方法で税金、社会保険料を抑えることも可能です。

役員報酬は「ライフプラン」を基準に考え、有利な方法を使いながら上手く抑えていきましょう。

尚、ライフプランは日本FP協会のこちらのページでとっても簡易的になのですが診断可能ですので是非やってみてくださいね。

www.jafp.or.jp/know/lifeplan/simulation/

かなりざっくりですので参考程度にしていただき、もっと詳細に考えたい方は我々プロのFPと一緒に考えていただくことでより現実的な試算が可能で、その他税金や社会保険の有利なアドバイスを受けたり、経営でも家計でも上手なコスト削減の方法のアドバイスなども受けることができます。

そんな経営者のためのライフプランを上手に考えるためのセミナーをリアルとオンラインの両方で5月に企画しておりますので詳細決定しましたらアップ致しますのでお楽しみに!