小川 洋平

日本株は買わない方が良いの??

こんにちは(^^)

お金と経済の真実を10年近く追究し続けてます、ファイナンシャルプランナーの小川です。

我々FPやIFA、変額保険を扱う保険募集人の方でも多いお考えなのですが・・・

「日本の株はダメ」「世界の株が良い」

と、こんなお考えをお持ちの方が多くいらっしゃいます。

中には「日本の株は買わなくていいんじゃないの?」という考えの方も多いでしょう。

そんな日本の株式について、今回は解説していきます。

なぜ「日本の株はダメ」と言われるのか?

というのも、日本の代表的な株価指数である日経平均株価はバブル期に4万円台を突破していましたが、その後低迷を続け、最近になってようやく3万円台を上回った程度で伸び悩んでいました。

しかし、世界はその間に大きく経済成長を遂げ、30年の間に先進国の株価の指標である「MSCIコクサイインデックス」は10倍程度に成長し、特にS&P500やNASDAQといった米国株が大きな成長を遂げてきていたのでした。

仮に1989年に100万円を外国株式のインデックス(MSCIコクサイ)、日本株のインデックス(TOPIX)に分散投資した場合、下記のような結果になります。

このように、大きな差になっているのがわかります。

この実績を見ると、「日本株より外国株の方が・・・」と思ってしまうのは仕方のないことかもしれませんね。

なぜ日本株と世界でこのような差がついたのか?

バブル崩壊以後、日本は「失われた時代」に突入しました。

バブル崩壊後は1997年までは経済成長は僅かながら続いてはいましたが、アジア通貨危機で再び大不況に見舞われ、その後一時的な景気回復はありながらも1997年時の経済の規模を上回ることなく、経済は停滞を始め、アベノミクスで若干上向いたものの低い水準が続いていたのでした。

出典:世界経済のネタ帳より

株式相場は長期的にはその国の経済の規模、GDP(国内総生産)に連動しやすいものです。

なので、日本のGDPが停滞していたことがこの30年の日本の株式相場の低迷に繋がっていました。

一方でアメリカや世界の経済の規模は成長を続けてきました。

かつては貧しかった発展途上国が少しずつ豊かになり始め、またインターネットの普及等により市場が活性化したことが理由と言われています。

なので、世界経済の成長を取り込み、成長することができたとされています。

そして、それをけん引してきたのが世界一の経済大国のアメリカでした。

このように経済成長に大きな差があったため、「日本はダメ」「世界に投資」といったような考えのプロも多くなっています。

日本に蔓延する「自虐経済観」は正しいのか?

ここまで失われた時代が続くと「もう日本に投資してても成長が期待できない」「人口減少、少子高齢化の日本ではこれからは成長は期待できない」など、こういったように将来を悲観視し、自分の経済に対し自虐的な印象をお持ちの方も少なくはないでしょう。

これを私は「自虐経済観」と勝手に呼んでます。

でも、本当にそうなのでしょうか?

まず、人口が減少すると経済は成長しないという点について考えてみましょう。

GDP(経済の規模)はどれだけ活発にモノやサービス(付加価値)の取引があったかという数値ですので、人の数が多ければその分大きくなります。

中国がアメリカに次いで世界第二位の経済大国になっている理由も日本の10倍以上の人口の多さにあります。

ですので、確かに人口が多い方が有利というのは正しいでしょう。

しかし、日本がこれまで失われた時代に突入してしまったのには少なくとも「潜在的な成長率に対し需要が圧倒的に足りていなかった」という事実があります。

こちらは日本銀行の資料を抜粋したものですが、0を下回っているところが潜在的なGDPの成長率に対してどの程度下回っていたかという数値です。

GDPというのはモノやサービスを供給する能力(人員、設備等)があり、それが潜在的なGDPの成長率ということになります。

そして、需要がそれ以上になったときに潜在的なGDPの成長率を実現することができます。

ご覧いただいてわかる通り、これまでずっとそれをほとんど下回ってしまっていたのです。つまり、モノやサービスの供給が需要に対し過大であったということ。

(ただし、実際には計算方法は現在の最大供給能力を表しているものではなく、潜在成長率自体が過小になっている。話すと長くなるのでまたの機会に・・・)

つまり、圧倒的な需要不足だったということです。

もしも原因が少子高齢化であるならば、本来はこの供給能力の方が失われていきます。

しかし、実際にはご覧いただいている通りこの供給能力に対して需要が不足していたためにGDPは成長してこなかったのです。

需要不足は政府が国債を発行し、公共投資を拡大することで対処可能です。

ところが、日本では財政問題を理由に残念ながらあまり積極的に行われておらず、その結果が需要不足による経済成長の停滞を招きました。

日本の株式市場のこれから

ここまでお伝えしたように、そもそも供給に対し需要が足りていないのが原因です。

少子高齢化が原因でしたら、高齢者が増えても需要自体は住宅や車といった大型の消費は減るでしょうが、生活に必要な食料品や衣類などは現役世代と変わらずに消費し、生産年齢人口の減少により供給力側が減少するためむしろ需要が供給を上回ることになるため需要が不足するなどという事態にはなりません。

これが常識なのですが、なぜか誤って伝わってしまっていますね。

なので、人口減少が原因で経済が成長しなかったというのは否定することができます。

例え人口が減少し、供給力が落ち込む可能性はあってもAI、ITの技術革新でそれを補うこともできますし、これまでパート、アルバイトだった育児中のママさん達が保育の環境の整備や企業の体制の整備を整えることで人口が減っても労働力を確保することは可能なのです。

そして、日本には世界に誇る技術がまだまだたくさんあります。

現在よりももっと複雑な情報を処理し判断できるディープラーニングと呼ばれるAIの技術や、電気自動車よりもはるかにエコな水素エンジンを搭載した自動車など、アメリカのIT、ハイテク系の企業に対抗できる企業があります。

アメリカでは政府がそういった企業の成長を後押ししていますが、日本でも同様にそういった分野への公共投資を増やすことでこれまで世界をけん引してきたアメリカ企業のように急成長してくれることも可能でしょう。

分散投資の基本に立ち返る

ここまで日本株がなぜ低迷していたのかという理由と、日本株も十分に成長できる余地はあるためあまり悲観的に考えないでいただきたいということをお伝えしてきました。

そして、やはり重要なことは「分散投資」の観点です。

これまでアメリカが良かったから、アメリカ一国に投資をする・・・

それでは仮にこれから先アメリカ経済が衰退した場合にはかつての日本と同じ道を辿ってしまう可能性もあり、もしそうなったらアメリカに一極集中で投資をしていたらあまり資産の成長は期待できませんね。

日本がバブル期まで大きな成長を遂げ、その後停滞したようにアメリカも過去は良くても将来はイマイチという結果になる可能性も考えられないわけではありません。

なので、日本も含め、世界各国に分散投資することが重要なのです。

結果的にアメリカ一国の方が良かった、日本株を入れない方がパフォーマンスが良かったということになる可能性も確かにあります。

ただ、それは結果を見るまでは誰にもわからないのです。

その国の経済政策や政治によっても大きく変わることもあり、良かった悪かったは結果論でしかありません。

「将来はどうなるかわからない・・・」

だからこそどうなっても良いように複数の国に分散投資ということが大事になるのです。

そして、これは私個人的な想いとして、やはり日本経済が失われた30年、長期に渡り続いたデフレから脱却し、子供達が希望を持てるような日本経済になって欲しいと願っているため日本株も是非見直して欲しいのです。

そんな期待の意味も込めて、私は投資している資産の40%を日本株に投資しています。

そして、そんな子供達が希望を持てるような日本経済にしていくのは、政策を決定していく国会議員であり、その国会議員を選挙で選ぶ我々ですので、日本の将来は我々の判断次第と言えるわけです。

投資先もそういった視点からも考えてみると、単にお金を増やすだけでなく、投資本来の「応援するものに投資する」という感覚で投資することもできるのではないでしょうか。