こんにちは(^^)
経営者の理想を実現する資産形成のプロ、ファイナンシャルプランナーの小川です。
本日、ついに財務省が為替介入を行い、進行する円安に歯止めを掛けるために動き出しましたね。
為替介入とは、今回のような円安が過度に進行した場合に、政府がそれを是正するために外国の通貨を売り、円を買うことを言います。
詳細な解説はまた別の機会に行います。
さて、そんな円安の最中、外貨預金口座の開設数が増えており、円安の進行に対策するためにドル資産を持つ人が多いようです。
現在外貨預金を行うことはどうなのか、対話形式でお伝えします。
今って歴史的な円安な状況なんですよね・・・?
これからも円安が続くかもしれないっていうじゃないですか。
外貨預金とかって今した方が良いのですか?
今日はついに為替介入が行われましたけど、ひょっとしたらまだまだ円安は続くかもしれませんね。
ただし、その反対の予想もあって、結論言えば「わからない」が正解です。
これから円安が続けばドルで持っておくのも良いのですが、反対に円高になった場合には損失になってしまう可能性が高いので注意ですね。
外貨預金って金利が高いっていうじゃないですか?
それでも円高になったら損をするものなのでしょうか・・・
そうですね、ちょっと計算してみましょうか。
今アメリカのドル預金が、とあるネット銀行の1年もので3.5%でした。
これは、1年間1万ドルを預けたら、350ドル利息がついてくる計算になります。
3.5%って、日本円の金利と比べると随分高いですね・・・
利息を見ると魅力的に感じてしまいますね。
でも、これだけ高い金利ですが、どの程度円高になると損をしてしまうものなのでしょうか?
ではまず、1ドル140円のときに100万円を米ドル預金に預け入れて、1年後に3.5%返ってくる場合で計算してみましょう。
①100万円をドルに換える時
100万円÷140円=7142.85714・・・ ≒ 7,142.86(少数第三位を四捨五入)
②7,142.86ドルを1年間3.5%で運用すると・・・
7,143×(1+0.035)=7,393.005≒7,393.01ドル
と、1年後にはドル建てで7,393.01ドル持つことになります。
これを日本円に戻すときにはこのように計算します。
③日本円に戻す時
7,393.01ドル × ○○円/1ドル = ○○○円
では、100万円を預け入れたわけですから、1ドルいくらまでなら損をしないかを計算するには・・・
100万円 ÷ 7,393.01ドル = 135.262904・・・ ≒135.26円
というように、1ドルあたり135.26円までならば損をしないということがわかります。
仮に少し前までの水準で1ドル125円まで戻った場合には、924,125円ですし、ここ30年くらいの平均値が大体110円程度ですのでそこまで戻った場合で計算すると813,231円となり、19万円近くの損失ということになりますね。
なるほど・・・
ちょっと前の水準まで戻っただけでも損をするわけですね。
そうですね。
それに、外貨預金を行う場合、為替手数料が発生するのです。
その為替手数料は下記のように為替レートに含まれています。
為替手数料6銭とする
円をドルに換える場合 TTS 141.39 S=sell (売るという意味)
ドルを円に換える場合 TTB 141.27 B=buy(買うという意味)
これは本来の為替レートが1ドル=141.33円の場合で、円をドルに換えるときにはドルが6銭高い状態で141.39円になり、反対にドルを円に換える場合には円が6銭高い状態で141・27円となります。
つまり、行きと帰りで手数料がこれだけ発生しているということです。
この手数料は金融機関によって違いがありまして、ネット銀行、地銀、メガバンクで比較してみると下記のようになっています。
メガバンクA | 地銀B | ネット銀行C | |
TTS | 145.51 | 145.51 | 141.39 |
TTB | 143.51 | 143.51 | 141.27 |
為替手数料 | 1ドルあたり1円 | 1ドルあたり1円 | 1ドルあたり6銭 |
同じ日の同じ時間のレートで比較してもこのように違うのですが、注目していただきたいのはTTSとTTBの差が、このように金融機関によって大きく違うことです。
TTSとTTBのちょうど中間から、それぞれいくらの差があるかが為替手数料ということです。
メガバンクA、地銀Bは同じレートですので、仮に100万円を預けて、そのまま円に戻すと・・・
①円をドルに換える
100万円 ÷ 145.51(TTS) = 6,872.37991・・・≒6,872.38ドル
②ドルを円に戻す
6,872ドル × 143.51円(TTB)=986,255.254・・・ ≒ 986,255円
と、為替レートが変わらなくても100万円預けるだけで1万4000円の損失になるんです。
仮に3.5%で運用できた場合だと・・・
1年後
6872.38ドル × (1+0.035)=7112.9133・・・ ≒ 7112.91ドル
為替がいくら以上でプラスになるか・・・?
100万円 ÷ 7112.91= 140.607424・・・ ≒ 140.61円
と、このように1年後に3円くらい円高になっていたら損失ということになります。
仮にこれがネット銀行のように6銭であれば、100万円を1ドル141.39円(TTS)で預け、てすぐに141.27円(TTB)で円に戻し場合でも約999,152円となり、ほとんど手数料は掛かりません。
こういった手数料も注意しなければならない点ですね。
なるほど・・・
金利や為替の動きだけじゃなくて、手数料にも注意しなきゃですね。
じゃあ、ネット銀行で口座開設すればいいんですか?
と、これを比較してみるとそう考えてしまいがちなんですけど、話を元に戻して円高になった場合を考えてみます。
下記の表が過去の為替の推移です。
これまでの為替の水準がこのくらいですので、十分に円高に戻る可能性は考えられますよね。
ちなみに、10年前は反対に1ドル80円を下回る超円高で、「このまま円高が進んで日本の製造業が壊滅状態に・・・」なんて悲観的な見出しが多かったのですが、10年後はその真逆です(笑)
だから、今円安が進行しているからってそれがそのまま続くかどうかはわからないんですよ。
これまでの水準で考えるのであれば、元の数値に戻っていくと考えるのが普通です。
なるほど・・・
どうなるかはわからないけど、円安になる可能性はあるってことですね。
そうですね。
アメリカ国債の長期、短期の金利が逆転していたり、アメリカの金利が今後下がる予想されるような指標も実際にあります。
なので、安易に円安がこのまま進むと考えて、上記のように円高になったら損をしてしまう運用ではなく、円高に転んでも円安に転んでも、どちらに転んでも大丈夫な運用を心掛けることが大事ですね。
ちなみに、もしもドル預金するならば、アメリカ国債買った方が良いと思いますよ。
今アメリカ国債の1年満期の金利って、4%を超えてるんですよ。
それに対して、先ほどのネット銀行の金利は3.5%でしたよね?
それに、万が一金融機関が破綻した場合には、ドル預金は残念ながら預金保護制度の対象外です。
それに対して、アメリカ国債はアメリカが潰れなければ100%返してくれますから、ずっと安心だし金利が高いです。
ドル預金で持っておくのは、海外にいるご家族の生活費の仕送りとか、海外旅行にしょっちゅう行くからドルで持っておきたいとか、米国株や米国債に投資したいとか、そんな場合に使えば良く、それで資産を増やそうとか守ろうというのは難しいでしょうね。
でしたらローリスク・ローリターンな配分で投資信託を買った方がよほど安心です。
そして、何より定期預金って満期が来たら金利が変わるんです。
だから、今は金利が高くても満期後には金利が下がっていることも考えられますよね。
せっかく年利4%で預けたのに、1年やそこらで終わって、そのときに今より円高になってたら4%の利息なんて軽く吹き飛んでしまいますから。
対して、アメリカ国債は金利も決まった金利で10年とか、それ以上の期間の預け入れもできますから、ずっと預けておけば今の高い金利が固定されますので満期時に円高になっていても大丈夫ですよね。
そっか・・・
知らないって怖いですね・・・
安易にドル預金をすればいいのかなって思ってました。
色んな方法があって、その時々に、その人の状況に合った手段があります。
これから円安が進行するって信じて疑わない方はドル預金やっても良いと思いますが、さっきもお伝えした通りそれなら米国債買った方が良いでしょう。
そして、一番はどちらに転んでも大丈夫な方法を選ぶこと。
つまり、投資のセオリー通り「長期分散投資」です。
ドル預金をするにしても、まずこの考え方をしっかり理解すれば少なくともドルに偏った運用はしないはずです。
安易に流行に乗って「こんなはずじゃなかった・・・」となる前に、しっかり知識を身に着けておきましょう。
と、今回はドル預金について解説してきました。
円安に転ぶ可能性もあれば円高に転ぶ可能性もあり、結論はどちらになるかわかりません。
だからこそ、どちらに転んでも大丈夫な運用をする必要があります。
結果的に何の商品を選ぶにしろ、まずは大事な基本中の基本を学んでから商品を選ぶことが大事です。
何事も基本が大事です。