
こんにちは(^^)
経営者のキャッシュを増やし資産を増やす小さな会社の社外CFO、ファイナンシャルプランナーの小川です。
先日、4年ぶりくらいにマイホーム購入についてのお問合せをいただきました。
元々私は2016年に住宅購入に不安を抱える方向けのサービスを主軸にFPとして独立しましたので、この分野はちょっと思い入れがあります。
大きな借り入れをするタイミングですから、返済していけるかどうか不安になる方も多いものですし、しっかり返済していけるかどうかを慎重に考える必要があります。
そして、個人事業主の方や経営者さんの場合は事業のお金と個人のお金のことを両方考える必要がありますので、特に慎重になる必要がありますね。
今回は個人事業主の方や経営者さんがマイホームを買う際に気をつけねばならない点、重要な点をお伝えします。
買っても大丈夫な金額をはっきりさせる
マイホームを購入する際、会社員であろうが自営業者であろうがだれでも共通することが、
「買っても大丈夫な金額」をはっきりさせることです。
「買っても大丈夫な金額」とは、将来の収入と支出の見込みを見える化し、余裕を持てる範囲で返済するということです。
このように、収入がどの程度あり、支出がどの程度になるか、予測値の目安を一生のスパンで立ててみるのです。
このようにして見える化してみると、毎月幾らのローンを返済すると、家計の収支がどの程度になるか、そして貯蓄が底を尽いてしまわない(貯蓄残高がマイナスにならない)ようにすることです。
そして、このようにして自分の人生も見える化してみます。
自分や家族が何歳のときにどんなイベントがあるのか?そして、その時にいくら準備しておけば足りるのか?
など、人生で必要なお金が見える化されますので、将来予想されるイベントのためにどの程度お金を準備しておけば良いかなどがわかります。
そして、貯蓄残高を0にしないようにローンの返済額を抑えておく必要があります。
このときに注意が必要なことは、家を買ったときにはこのような支出が発生します。
外壁や屋根の塗装費用、エコキュートや給湯器、コンロの買い替えの費用などが発生します。
30年、40年経てばキッチンやお風呂、トイレの買い替えなども必要になってくるでしょうね。
こういった費用が必要になった際の資金準備も見込んで、一生のスパンで返済計画を考えていく必要があります。
例えば、こちらは実際にあった相談事例で修正しなかった場合のシミュレーションです。
収入と支出は少し厳しめの前提条件で考えていますが、グレーになっている部分は貯蓄が底をついてしまいマイナスしている、つまり借金しなければならないという状態です。
そして、老後には90歳くらいで預金が底を尽いてしまうため、長生きすると「老後破産」と呼ばれる状態になってしまうわけです。
このような状態ですとマイホームを購入することは危険ですので、マイホームの予算を削減したり、収入増やしたり、支出を削減したり、見直しが必要になります。
こういったシミュレーションを行い、「自分はどうなのか?」をシミュレーションすることが家を買うときには大事なのです。
個人事業主は不安定だから買わない方が良い?
さて、会社員とは違い収入が不安定な個人事業主の方の場合はどうでしょう?
会社員でも賞与などで変動はありますが、変動の幅は個人事業の方が大きいと言えるでしょうね。
しかし、問題なのは「利益≒所得」が余裕を持てる程度に得られるのかという点です。
年収500万円の会社員と、年間の所得が500万円の個人事業主を比較すれば個人事業主の方が不安定と言えるでしょう。
しかし、所得400万円~1,000万円と、不安定であっても平均的に高い所得を見込めるのであれば年収500万円の会社員以上に返済能力は高いと言えます。
ですので、不安定だからといって住宅ローンを組まない方が良いというわけではありません。
事業の収入と支出の見える化を確実に
ただし、ここで多くの個人事業主や小規模法人の社長さん達が該当していそうなことなのですが、下記に該当している人は非常に危険です。
✔売上と経費、収入と支出がどの程度あったのか、毎月チェックしていない
✔5年~10年先を見越した経営計画を立てていない
✔事業と家計のお金がごちゃ混ぜになっている
✔税金を抑えようと利益を低く抑えている
いかがでしょう?
もしひとつでも該当するようでしたら、まずはマイホームを買う前に、一度事業のお金の見える化と、家計と事業のお金をしっかり分離して見える化が必要不可欠です。
会社員であれば毎月お給料が口座に振り込まれ、税金や社会保険料が差し引かれた後の「可処分所得≒手取りの収入」として入ってきます。
それに対し、自営業者は売上が収入となり、そこから経費や返済を差し引き、税金と社会保険料を支払い、また事業資金として残しておきたいお金を差し引き、それら全てを差し引いた金額が「可処分所得≒手取りの収入」となります。
つまり、毎月の実績を見える化できていないということは、いくら手元にお金が入ってきて、いくらまでならば使っていいのかわからない状態になってしまっているのです。
なので、下記のように売上と経費のシミュレーションを作成し、毎月毎月必ず数字を見得る化し、いくら手元にお金を残せているのかをチェックしていきましょう。
これはマイホームを購入するかしないかは関係なく、事業されている方であれば必須です。過去に資金繰りの悩みを抱える経営者さんの相談を数多く受けており、倒産寸前の会社もありましたが、全員に共通するのがこのお金の見える化ができていないことでした。
これを見ていないということは事業の「現在地」がわからないまま行き当たりばったりの経営をしてしまっているということですから、それでは「経営」とは呼べないのです。
これがわからないということは会社員が「自分の給料がいくらなのかわからない」と言ってるようなものです。
また、「節税」と思って必要以上に経費計上しているような場合ですと税金を減らす以上に手元に残るお金を減らしてしまうことになりますし、住宅ローンの審査の際には「所得」を基準に審査を受けることになりますので、必要以上に経費を使っているようですと融資を受けられる金額も制限されてしまいます。
税金を抑えたいのであれば所得を減らさずとも抑える方法はあります。
税金を抑えるのであればそういった方法を学び、ムダな支出はしっかり削減しながら所得を増やすことが必要です。
個人事業主の将来設計はどう考える?
個人事業主の方で「売上がいくらになるかわからない・・・」と仰る方もいらっしゃいますが、もしあなたがこのような状態ですとマイホームを購入するのは待った方が良いですし、経営計画をしっかり立てた方が良いです。
確かに、売上高はやってみなければわからないものです。なので「わからない」というのは正解なのですが、
「どんな行動をしたら○○人くらい集客でき、客単価が○○円だから売上高は○○円くらいを狙える」
ということは創業前に考えておくべきことで、実際に開業した後であれば実績値が見えるのである程度予測の精度も創業前よりも高くなってくることでしょうし、「悪いときでこのくらいか・・・」という予測もそこそこできるようになってきます。
もしそれがまだ見えていないという状況でしたら経営が運任せになってしまってる可能性が高いので、ある程度その感覚がつかめるようになるまで待つか、返済は現状で相当に余裕を持てるようにして、予算はかなり抑えめにしておいた方がよいでしょう。
間違っても返済でギリギリになってしまうような金額を借りないようにしましょう。
また、プライベート用のサイフと事業のサイフを明確に分けておくことも重要です。
現金、預金口座、クレジットカード、全てをできるだけ分離し混同しないようにしましょう。
事業用の資金としてどの程度お金を残しておけるか、プライベートでいくらまで使ってもいいかがわかりますし、事業用の運転資金がどの程度余裕を持てているかもわかります。
個人事業主であっても、できれば毎月のお給料と同じように決められた金額を会社のお金から引き出すことが望ましいですね。
現状を知り、変動に柔軟に対応できる財務と家計の体質を創る
ここまでお伝えしてきたように、個人事業主にとっては家計の見える化も事業のお金の見える化もどちらも必須のことです。
これをしないままですと無理な買い物をしてしまうだけでなく、優先順位の低い支出をそのまま放置してしまいながら優先順位の高い買い物にお金を掛けられない、状況の変化に弱い財務と家計の体質ができてしまいます。
経費や家計の支出はできるだけスリム化し、もし売り上げが大きく下がってしまったときには何を支出削減して収支をコントロールするかを事前に考えておきましょう。
個人事業主の場合は特にそういった場合に対策するための柔軟さが特に求められることになります。
「敵を知り、己をしれば百戦危うからず」
の言葉の通りです。まずは自分の状況を知り、考え得るリスクを知り対策しておく。これである程度想定されるリスクには対応することもできます。
会社員でも会社が倒産したり業績不振により整理されたり、何かがきっかけで収入が大きく下がってしまうような自体も想定されますので同じことが言えますが、個人事業主の場合は会社員以上にシビアに事業のお金も家計も管理し、いざという時に対応できる、強靭な財務と家計の体質を創り購入予算を考えていきましょう。