最近、NISAの普及で「早く始めれば将来大きく増えている」と考えて、NISAを始める人が増えてきました。
そこで感じるのが、「なんとなくオルカン(オールカントリー)」「なんとなくS&P500」といったように、「なんとなくインデックスに投資」という人が増えているように思います。
たしかに、過去は基本に忠実にインデックス投資をしていれば漏れなく資産を増やすことができました。
しかし、ちょっと以前とは構造が変わりつつあります。今回は、NISAブームの裏側にある重要な視点について解説します。
1.過去に遡って積立投資をしていたら?
まず、こちらの図をご覧ください。

これは、2003年から20年間、毎月1万円ずつ、日本株と全世界株で積立投資をしていた場合に想定される結果です。
毎月1万円ずつ積立すると240万円ですから、日本株も全世界株も大きく増えてくれているのがわかりますよね?
これ、どちらもインデックスファンドで積立投資していれば、これに近い結果を得ることができたということです。
なので、少なくとも過去は「大きく増える」は正解だったでしょう。
2.時代の変化と相場のこれから
ご紹介したような日経平均株価やMSCIなどの「株価指数」は、原則として「経済規模」に連動し成長すると言われています。
もちろん、キレイにピタリ一致するわけではありませんが、経済が成長すれば株価も平均的にそれに沿って成長しやすいという特徴があります。
しかし、その理論からすると、実は今世界の株価はバブル状態になっているのではないかと、専門家の間で言われています。

これは全世界株のうち、大部分を占めるアメリカの経済規模を表すGDPの推移です。
過去30年では約4倍に成長していますが、それに対して米国株は約26倍にも成長しています。

経済成長に連動するというのえあれば、本来4倍前後で上下しているのですが、それがもう26倍にもなっているのです。
3.株価が大きく上昇した理由は?
ここ20年、株価指数が大きく上昇してきた要因として・・・
・リーマンショック以後の世界の経済政策
・インデックス投資の普及
これらが重なり、株式市場は実体経済以上に上昇してきたということです。
この背景には、リーマンショック以降の大規模な積極財政と金融緩和や、インデックス投資による資金流入があります。
本来であれば成長が期待できない企業にも資金が流れ、全体的に株価が押し上げられてきた側面も否定できません。
リーマンショックでは世界中が大不況に襲われ、失業者が溢れ、日本でも派遣切りなどで大混乱に陥っていましたが、そのときにアメリカを始め世界各国で行ってきたのが、大量のお金、国債を発行して景気対策を行うことで景気を下支えしてきたのです。
その結果、世界中でカネ余りという状態になりましたが、更にコロナ禍でも同様のことを行ってきました。
そういった経済危機と景気対策により、余ったお金が株式市場に流れ、株価を押し上げる効果となりました。
また、米国でもインデックスファンドを主流に運用され、S&P500の銘柄に過度に投資資金が集中し、株価を押し上げているという事情があります。
日本でも私の公的年金を運用するGPIFは、国内外の株式の保有比率を高め、数十兆円のお金が株式市場に流れるなど、こういったことも株価を押し上げることに影響しているのです。
4.世界経済の成長は鈍化する・・・?
そして、実はアメリカ政府が公表する、「グローバルトレンド2040」において、今後世界の経済成長率は今後鈍化する可能性が示されています。

Office of the Director of National Intelligence – Global Trends
現在は約3%前後で世界経済は成長を続けていますが、今後それが2%前後、もしくはそれ以下になるとも言われてます。
AIの普及やハイテク化によって鈍化の影響を遅らせることはできるかもしれませんが、世界的に進行している高齢化による労働人口の減少や、米中関係を中心とした地政学的な影響により、生産活動を効率重視からリスク低減へと切り替えることが予想されています。
もし経済成長が鈍化すれば、経済規模に連動しやすいとされている株価指数もそれに応じて鈍化する可能性が高いと考えられます。
つまり、これまでのように「とりあえずオルカン」「とりあえずS&P500」という選び方で、大きなリターンを得られる時代から大きく構造が転換してきているのです。
5.インデックス投資に偏らない
とはいえ、世界経済は成長を続けるとされていますし、やはり成長のドライバーになるのは株式であると言えます。
しかし、あまり高いリターンを期待したり、米国株一択、オルカン一択といった買い方ではなく、基本に倣って国内の株式を買ったり、また昨今では日本国債を始め債券の金利も上昇してきていますし、債券も組み合わせた運用を検討すると良いでしょう。
個人向けの国債も、満期まで保有していれば元本は確保されるものですが、近年では毎年受け取れる金利は1%を超え安定的なリターンをもたらします。

同時に、日本の生命保険商品の金利も上がってきていますので、安定資産として国債や保険商品等も視野に考えたり、アメリカ国債や米ドル建の保険商品等も4%を超えているなど、安定的にリターンを得ることが期待できます。
これらの特徴は、株式と違って大きく価格が変動しないという点があります。
昨今の物価上昇のペースに対しての利率としては低くはなっていますが、これらの資産も安定資産として組み合わせを考えることも重要です。
6.長期的に成長が期待できる会社の株を選ぶ
そして、もう一点改めて考えるべきことが
「長期的に成長が期待できる会社の株を選ぶ」
ということです。
昨今主流になっているインデックスファンドは株価指数を構成する銘柄に投資する商品ですが、インデックスファンドに投資が集まることで起きる問題は、本来さほど成長が期待できない企業にも投資されてしまうという点です。
一方で、アクティブファンドはそれぞれのファンドの考え方で選んだ企業に投資をしています。
そのため、玉石混合のインデックスよりも、しっかり目的に合ったファンドを選ぶことができれば長期的に成長してくれる企業に投資することができます。

アクティブファンドの難点と言えば、インデックスファンドに比べコストが高い点にあり、加えて多くのアクティブファンドはインデックスファンドの成績を下回っているという事実があります。
インデックスファンドに過剰とも言えるほどに投資が集中しているのもそういった理由があるためです。
しかし、長期的に成長が期待できる企業に投資しているファンドもあります。
また、一般的にはアクティブファンドはインデックスファンドに比べハイリスク・ハイリターンと言われていますが、実際には違います。
景気の変動に強い、下がったときに強い株を多く組み入れることで、インデックスファンドよりもむしろリスクを抑え、かつ安定的にリターンを積み上げていくために長期的にインデックスファンドを大きく上回っている商品も存在しています。
株式投資の本質は、「長期的に成長が期待できる企業に投資し、長期的なリターンを狙うこと」です。
そういった本質的な考え方に立ち返り、改めてアクティブファンドにも目を向けてみることもこれからの低成長が予想され、インデックスが過剰に値上がりしているのではないかと言われている時代の中で重要です。
まとめ
今回は現在のインデックス全盛の時代に疑問を投げかける内容としてお伝えしました。
インデックスファンドは手数料も安く、市場平均でリターンを狙うことができ、またどの商品も指標となるインデックスに近い値動きとなるために商品を選びやすいため、資産形成の一歩として考えてみることは良いでしょう。
しかし、今回解説してきたように、これまでのような市場環境から世の中は大きく転換し、またインデックスファンドへの投資が過剰になることによりバブル状態になっているとも考えられ、「とりあえずオルカン」「とりあえずS&P500」と偏った投資では将来資産を増やすことができないばかりでなく、思わぬ暴落に見舞われてしまうこともあります。
特に、資産形成を始めある程度まとまった資産ができてくると、暴落時の下落幅も大きくなってしまいます。
国内外の債券等を活用し分散投資を行うこと、投資の本来の考え方に合ったアクティブファンドにも目を向けてみることなど、自分に合った資産形成、資産運用プランを考えてみることが大事です。