DC法改正は100人以下の会社にプレッシャーをかける

まだほとんど報道されていませんが、今回のDC法改正に盛り込まれた内容で「小規模事業主掛金納付制度」というものがあります

これは100人以下の事業所が対象で、従業員にとっては大きなメリットとなりそうですが、事業主にとっては相当のプレッシャーになる可能性があります

 

その概要はこうです

これまで、今回対象となる100人以下の会社にお勤めで企業年金がない(厚生年金基金、確定拠出年金給付年金、確定拠出年金がない、つまり厚生年金だけに加入している会社)場合、その社員は任意で「個人型確定拠出年金」に加入することが出来ました

希望により月5,000円以上23,000円まで掛金を拠出し、年末調整の際に「小規模企業共済等の掛金控除」のハガキを会社に持って行って税の還付を受けることが出来ました

 

これがこう変わるかも!なのです

個人型確定拠出年金加入者あるいは新規加入が、会社にその旨を申し出すると、会社がその社員に確定拠出年金の掛金を「上乗せ拠出」してくれる

のです

 

これ、すごくないですか?

例えばこれまで個人型確定拠出年金に月1万円拠出していた方が、会社に申し出をすると会社が老後資金作りの支援金としてプラスアルファお金を出してくれるんですから

 

でも、経営者側としてはどうですか?

10人の社員が申し出をしてくれば、たとえひとり5,000円の支援金であったとしても年間60万円の資金が必要です

当然こんないい制度があれば、もっとたくさんの社員がやりたいと言い出すかもしれません

どんどんお金が必要になります

申しでのたびに手続きが必要ですから、手間もかかりますよ

でも、適当に「うちはやらないよ」なんて言ったらだめですよ

特に意識の高い社員は会社に対して不信感を抱く原因になります

 

 

このお金は損金ですし、支援金を受ける社員にとっても給与ではないお金となるので、社会保険料がその分増えたり、税金がかかったりすることもありません

確かに従業員にとってはメリットですが、社内の福利厚生として特定の社員だけに拠出することはできませんから、周知徹底もしなければなりませんし、一度掛金拠出を決めるとそう簡単にやめることはできません

 

 

まだ政省令もないので詳しくは分かりませんが、遅くとも2018年5月にはスタートする制度です

もちろん従業員から申し出があれば必ず支援金を出さなければならないというものではなく、労使合意のもと公平なルールとして社内ルールを定めなければなりません

 

もしこういう会社にお勤めの方であれば、少なくとも会社に「小規模事業主掛金納付制度」導入を検討してみていただくよう要請すべきだと思うし、事業主さんも前向きに検討してほしいと思います

 

っが、正直経営者であれば、まして社員に老後の資産形成の支援をしてあげようと思うだけの気持ちがある経営者さんであれば、

社員からの求めに応じてこのような制度を検討するのではなく、「企業型」確定拠出年金の導入をいますぐに考えてほしいところです

実は厚労省はなかなか企業型確定拠出年金の導入が進まない小規模事業所をかなり意識していて、企業型導入ができないのであればせめて個人型への掛金上乗せを!とキャンペーンしてきているのです

小規模事業所に企業型確定拠出年金の導入がすすまない一つの理由に、大手金融機関が積極的に情報提供もしない、また制度導入の受け入れもしないという点もあるのですが、そこに対しての指導等はなく、折衷案というかより簡便な仕組みとして個人型への上乗せ拠出を促しているのです

しかしながら、100人以下の会社であっても、たとえ社長1人だけの会社であっても、厚生年金に加入している事業所であれば企業型確定拠出年金を導入できます

しかも!!

今回創設された「小規模事業主の掛金納付制度」より、企業にとっても、従業員にとってもはるかにメリットのある仕組みをつくってあげられるのです

 

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