個人型確定拠出年金は、掛金が全額所得控除になるので、とてもお得な制度です
最近はマイナス金利でお得な商品がないため、特に関心も高まっているようです
なにしろ日本人が負担する所得税は、最低でも5%、住民税はどこに住んでいても10%もとられるわけですから、掛金x15%の節税ができる確定拠出年金は、お得なのです
でも私がちょっと心配しているのは、法律改正もあいまって確定拠出年金の口座開設合戦を金融機関がやってしまわないかな?ということ
2017年1月からは専業主婦、公務員もできるようになると日本に住む20歳以上60歳はほぼすべての人が加入対象となり、金融機関は当然ながら「口座獲得」を狙ってくるからです
例えばNISAが始まった時のように、口座開設してくれたら2,000円のギフト券進呈!とか、定期預金に金利を0.1%上乗せ!みたいな感じです
また、口座を取りたいがために、始めるだけ得ですよ~みたいな感じで、とりあえず5,000円でも!(確定拠出年金の最低掛金は5000円です)といって、勧誘するとか・・・
これ結構怖いな~と思っています
なぜなら確定拠出年金を始めるにあたり、ものすごく重要なのが金融機関選びだからです
確定拠出年金では、運営管理機関と呼びますが、要は窓口ですね
この窓口が提示するサービス、手数料、商品ラインナップがそれぞれ違うので、悩ましいのです
手数料でいうと、入り口で2,700円程度とるところもあるし6,000円以上とるところもあります
また毎月の手数料も167円から642円のところまで!?
確定拠出年金って60歳まで継続しますから、月の手数料の負担額の差って大きいですよね
この手数料は掛金から差し引かれますので、35歳でスタートすれば、毎月の手数料だけで142,500円の老後資金に差がつくのですから!
仮にうっかりと誘われるまま月642円の手数料を引かれる金融機関で口座を開いたとします
そして、とりあえず毎月5,000円でもお得ですよ~とか言われて、なんとなく始めちゃったとしますね
あなたの所得が300万円くらいなら所得税率は10%です
月5,000円の掛金、年間6万円での節税効果は60,000x(所得税10%+住民税10%)=12,000円です
60,000円貯金して12,000円の利息がつくようなものですから、これはうれしいですね
でも実際手数料月642円もとられると年間7,704円引かれるので実質のメリットは12,000円との差額4,296円となってしまいます
ちょっと残念ですね
もしあなたの所得が195万円以下だとすると、所得税率5%ですから節税メリットは60,000円x(5%+10%)となり9,000円となります
ここから手数料を引くと1,296円が実質のメリットです
さらに最も大きな問題は、「とりあえず」月5,000円の積立で本当に必要な老後資金準備になるのかという本質的な議論がなされない点です
確定拠出年金は老後資金作りに特化したスーパーお得な制度です
これは国が公的年金だけだと老後の生活を十分支えられないからしっかり自助努力して!という強いメッセージでもあります
そこをちゃんと理解したうえで確定拠出年金に取り組まないと、本来ダメなんですよね
もし、どこかで「とりあえず」確定拠出年金5,000円でもお得!だから、口座開設しませんか?なんて誘われたら、それはあなたのことを考えてのアドバイスではなく金融機関のメリットのためのキャンペーンだと思った方が無難です
自分の将来は自分でしっかり考えよう!