こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 代表の山中伸枝です。
SBIベネフィットシステムズがiDeCoの手数料の誤徴収をしたそうです。(ファイナンシャルジャーナリスト竹川美奈子さんのブログ)
竹川さんの指摘によると、事務委託先金融機関手数料の取り分(=64円)を二重に加入者から徴収したそうです。またその徴収の1回分は掛金からではなく、金融資産の売却によって手数料を充当したとのこと。さらに、この事態におけるお客様対応もログインをしてお知らせを見ないと気が付かない状態だそうです。
私自身はiDeCo加入者ではなく企業型確定拠出年金加入者なので、このお知らせを見る事はできないのですが、竹川さんのご指摘通り、これはあってはならないことですね。SBIのお客様と向き合う姿勢が試されるきっかけとなりそうです。
システムのトラブルとかは最善をつくしても結果として起こってしまう可能性はどこの運営管理機関においてもありうることだとは思うのですが、それでも「ログインしてお知らせを見て!」という対応は不親切すぎるし、モラルにも欠けます。ネット証券だからという訳ではないでしょうが、お客様の顔を無視した自分本位の対応に思います。
SBIベネフィットシステムズにおいては、iDeCo受取時に一時金と年金との併用払いをしないとか「法令上はそうだけどうちはやらないよ」といった判断をする傾向があるように感じます。独自の視点は良い事だと思いますが、あまりにもお客様不在で自社の理論で事を進めてしまう傾向が本質としてあるのであれば改善して欲しいですね。
しかし、竹川さんのリサーチ力、発信力はさすがですね。いつもながら素晴らしいです。竹川さんのご著書とかいつも読ませていただいていますが、ご本人が掲げていらっしゃる「普通のビジネスパーソンの資産形成をサポートする」ミッションを全うしていらっしゃるしオピニオンリーダーとして私も尊敬しています。
今回のSBIの一件、確定拠出年金の加入者って自分の資産状況をログインしてしょっちゅう確認している人がそもそも少ないと思うので、竹川さんの指摘がなければひょっとしたらだれも気付かなかったんじゃないかなと、そんな風にも思ってしまうのです。
竹川さんのご指摘、SBIには良い刺激になったのではないでしょうか?襟を正して改善に当たって欲しいです。
ただし、確定拠出年金はまだまだ不完全だから、信用できないと三下り半を下してしまうのは早計です。少なくとも、だからネット証券は・・・とか、だから確定拠出年金は・・・とステレオタイプで固めてしまうのは良くないと思います。
正直確定拠出年金の仕組みは不完全がところがたくさんあります。私自身もっともダメだと思っているのはポータビリティといいつつ、移換する際にすべての資産を売却しなければならないという点と第2号被保険者の掛金上限額の設定と手続きの複雑さの2点ですが、他の方々のご意見も総合するともっとだくさんのダメな点もあるでしょう。
先日もとある取材で、「iDeCoが本当に自分にとってベストな選択肢か判断できないので、スタートできない」という方がいらっしゃいました。
私が思うに、そもそもベストなものってないのだと!だからベストなものを探して時間を無駄にするよりも、ベターだと思ったものをスタートして、問題点に対して対策を練る、問題が起こったらリカバリーするという行動の方が合理的なのではないかなと。
確かに前述のSBI証券のiDeCo
今回の一件でもその管理、対応方法に大きな×がつきました。でも口座管理手数料が安い、運用商品も豊富というメリットは間違いなくあるわけで、これを機にSBIのiDeCoをやめて野村證券にしようとか、SBIでiDeCoをやろうと思っていたけどりそな銀行にしようと端的に行動をする類のものではないと思うのです。
例えば私が指摘した一時金と年金の併用ができない点においても、そもそもiDeCoでの資金と退職所得控除のバランスから併用を選ぶ必要がない人とかもいるはずで「だからSBIがダメ」とはなりません。
62本もある投資信託の中には、インデックスといいつつ相当高い信託報酬をとる「古い」投資信託も数本存在します。しかし「だからSBIはダメ」ではないし、「だからネット証券がダメ」でもありません。
反対に、口座管理手数料は安くはないけど、その他の付加価値に魅力を感じるからとネット証券以外の運営管理機関を選んでももちろん良い訳です。
ポイントは「主体性」自分自身の判断が一番大事ということ。
結局iDeCoとNISAどっちをするべきですか?
iDeCoの運営管理機関はどこが一番いいですか?
iDeCoの運用商品何がお勧めですか?
これらの質問に対し、正しい答えは永遠にないと思った方がいいです。もし自信満々で答えられる人がいたら、その方は嘘つきか自意識過剰な方です。
例えば運用商品の今後の運用成果をだれが「正しく」予測できますか?
あなたのこれからのライフプランをだれが「すべて」把握できますか?
アドバイザーが伝えられることは、投資という概念であったり過去の実績であったりです。
アドバイザーができることは、フェアな情報を提供すること、過去の情報を分析してお伝えすること、同種の情報を比較することぐらいでしょう。
ベストかどうかなど、だれも分からない。
唯一分かるとすれば、それは「あなた自身」です。
あなたが自分で悩み、考え、出した答えが唯一の「正解」。
またその正解も決してベストなものではなく、より良い選択肢を選んだという結果でしょう。
世の中すべてトレードオフ。
良いこともあり、悪いこともある。でもそれを比較しやはり良い事の方が大きければ、それを受け入れ前に進んで方がよっぽどよいように思います。