こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 代表の山中伸枝です。
私のところには、確定拠出年金に関するお問い合わせ、ご相談が多いのですが、もっとも多いのは「脱退一時金はどうやったら受け取れますか?」という質問です。
これは企業型確定拠出年金に加入していた人がその会社を辞めた時に起こりうる話なので、そもそもiDeCo(個人型確定拠出年金)から始めた人は、自分の意思で始めていますから60歳まで引き出しができないことは十分理解した上で始めているしょうから、少なくともこんな疑問はまずわかないでしょう。
しかし、企業型の場合会社の福利厚生として確定拠出年金があり、会社のルールにのっとって確定拠出年金に加入するので、「自ら望んで」加入していないという方もいます。
そんな方が会社を辞めると、「そういえば給与の上乗せでもらっていた確定拠出年金というお金があるぞ、これ使えないのかな~」となることが往々にしてあります。
そもそも会社の確定拠出年金であっても、iDeCoであっても60歳までは引き出しできないというルールは共通なのですが、最初が積極的な理由ではじめていない企業型の人に限って会社の説明会をちゃんと聞いていなかったり、正確に制度を理解していなかったりで結構トラブルになるのです。
つい先日もありました、こういうメール
会社を辞めました。会社でやっていた確定拠出年金のお金を引き出そうと思ったらダメだと言われました。個人型に移換して、60歳までずっと手数料だけを取られて使えないお金なんて、これって詐欺ですよね!!
そう思っちゃうんだな~ってとても残念でしたが、実際多いですね、こんな風に思われる方。
脱退一時金として受け取るには、加入資格がないことが大前提です。
でも2017年より改正で、加入資格がないのは国民年金保険料未納者、あるいは免除者というケースに限るので普通であれば加入資格を失うこと自身ないのです。
加入資格がある以上、脱退一時金はもらえません。唯一あるとすれば残高が15,000円未満、その方は会社を辞める際に受取になります。
脱退できないのであればどうするのか?
個人型に移換して資産形成を継続します。
掛金が出せない時は運用のみで継続します。もちろん手数料はひかれますが、これも老後資産作りは継続しなければ意味がないので、「今」お金の工面が厳しければ、できるだけ早くに資産形成できる体制に立て直さなければならないわけです。
確かに生活が厳しい局面はあるのでしょうけれど、そもそも確定拠出年金の掛金は生活給として会社が支給している「給与」とは性格が異なるものだから、ちゃんと理解して上手に活用して欲しいと思うんですよね。
もっと言えば、ご自身のお金に対しもう少し積極的な理解を示す必要があると思うんです。給与明細をしっかり見れば、確定拠出年金の掛金について、どういう意味合いのものなのか少なくとも退職してから「60歳まで引き出しができないなんて詐欺だ!」なんて言葉は出ないはずだと思うんです。
確定拠出年金は国の制度で、公的年金を補完するものです。
だから厚生年金や国民年金と同様掛金には税金が免除され、60歳以降の高齢期の生活保障として確保されるお金なのです。
こういうお話を聞くと、なんか「おこづかいくれるっていうから喜んだけど、お手伝いをしなくちゃいけないなんて聞いていない!それって詐欺だ!だまされた!」なんて言い出す子どもみたいです。
もっとお金に対する知識を持ちましょう!
一方で加入者自らに運用責任を課す確定拠出年金は、企業が導入する際は「加入者への説明会」をさらに徹底すべきだろうなと思います。それをしなかったために、退職の際トラブルが起きるのであれば人事も浮かばれません。
同時に会社が企業型確定拠出年金の制度導入する際、やはり「選択制」をベースに制度設計すべきではないかとも思います。選択制であれば、加入するかしないかは本人次第。自らが望んで始めたのであれば、脱退一時金云々という話は出ないはずです。
※会社が導入できる確定拠出年金の制度設計については、こちらの書籍で詳しく書いております。良かったらご覧ください 100人以下の会社のためのiDeCo&企業型DC楽々活用法
会社として社員さんのためにせっかく導入した制度が、社員に理解されないのでは悲しすぎます。
会社はぜひ継続的に制度の理解を深める研修会などを行い、周知徹底の努力をするべきです。その際、身内が説明するよりファイナンシャルプランナーなどの第三者がした方が効果的です。