これまでの年金記録を確認するにはどうしたらいいのでしょうか?

ご相談者様 DATA

【年齢】55歳

【職業】グラフィック・デザイナー

【性別】男

【家族構成】妻

相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)

先日、年金記録問題はまだ解決しきれていないという記事を雑誌で目にしました。単純な名前の入力ミスなどで将来の年金が失われるなんて許せません。そろそろ自分自身の老後が気になる年齢にもなりました。若いころから、グラフィックデザイナーとして仕事をしてきましたので、会社員のような厚生年金への加入もありませんし、お恥ずかしながらこれまでちゃんと年金に加入してきたかというと、記憶もあいまいです。

老後の資産形成についても真剣に考えたいと思いいろんなサイトなども見ましたが、青山先生がiDeCoや年金についての記事を確定拠出年金相談ねっとに投稿されているのを見、年金についてもお詳しそうなので相談させていただくことにしました。

ご相談内容

自分の年金記録が正しいのかは、具体的に何をどのようにすればよいのかお聞きしたいと思い、ご相談させていただきました。

すると、なんと名前の読み仮名が間違っていることが判明したのです。
ご相談させていただき本当によかったです。

ご相談でお話しした内容

履歴を確認する必要性

平成19年から「消えた年金」や「宙に浮いた年金記録」などのキャッチコピーで世間を騒がせた年金記録問題に対応するために、国により「紙台帳とコンピュータ記録との突合せ」等々様々な対応が図られてきました。

しかし、いまだに未解明のものもあり、また、今後の記録についても誤りがないとは言い切れません。

年金記録は、長い年月を経てからでは困難な面が多く、できるだけ直近の時点で確認していく必要があります。

そのために、大きく2つの方法が用意されています。

ねんきん定期便とねんきんネットの2つです。

ねんきん定期便

ねんきん定期便については、平成 21 年度から、恒常的に年金加入者に対し、保険料納付の実績(加入期間、保険料納付額)や将来の給付に関する情報を毎年誕生月に提供してきています。

これにより本人が、加入期間や保険料納付状況に誤りがあると気づけば、年金事務所などへご相談に行くこととなります。

また国民年金については、未納などの情報や将来の年金見込額も掲載されています。

さらに厚生年金保険については、保険料算定や年金額計算のベースとなる標準報酬月額(給与、残業代や交通費などの手当てを区切りのよい幅で区分したもの)や標準賞与額も掲載されています。仮に事業主が過誤(又は悪意)で、標準報酬月額や標準賞与額を低く年金機構へ提出(これにより事業主の納める保険料も低くなる)していても、自分でこれらの数字がいいかどうかをがチェックできることになります。

※注意!!!ねんきん定期便が送られてきたら保険料の支払い状況の確認を必ず行ってください。

納め忘れた保険料があると、将来、受け取る年金が少なくなったり、年金そのものを受け取れなくなったりする場合があります。国民年金の保険料は毎月納めるのが基本ですが、もし、納め忘れがあった場合でも、通常、2年前まで遡って納めることができます。もし、それ以前にも未納の保険料がある場合は「後納制度」を利用できます。過去10年まで遡って納付できる「10年の後納制度」は平成27年9月30日で終了しましたが、平成27年10月から平成30年9月30日までは、5年前まで遡って保険料を納付できる「5年の後納制度」を利用できます。(後納制度は終了しました。過去未払いがある方は60歳以降「任意加入」という方法がありますので、早めに年金事務所や役所に相談しましょう。)

「年金」というと、高齢になってから受け取る老齢年金のことだけを思い浮かべる方が多いと思います。しかし、いつ起きるか分からない病気やけがなどで障害が残ったときに受け取る障害年金や、一家の稼ぎ頭が亡くなったときにそのご家族が受け取ることのできる遺族年金も含まれています。これらも保険料が適切に支払われていないと、給付の権利を失いますので、くれぐれも未納をしないように注意しましょう。年金は、若い年代の人たちにとっても、生活を支える大切な制度です。

「ねんきんネット」

「ねんきんネット」では、年金機構のホームページを通じて簡単に最新の自分自身の年金の加入状況、保険料納付状況などを確認できます。いわば国からの年金記録の個人宛て報告書ですね。

なお、「ねんきんネット」では、厚生年金保険に加入していた月のうち、同一事業所内での標準報酬月額に前月と比較して大きな変動(5等級以上)があった場合、赤字で表示するなど注意喚起を図れるようになっています。

履歴の確認方法

ねんきん定期便での確認方法

「ねんきん定期便」には、いくつかの種類があります。

基本的には、はがきで送られてきます。

但し、35歳、45歳、59歳など節目の年齢の方には、封書で送られてきます。

50歳未満の方に送られてくるものは、現時点で納付済みの保険料では年金額がいくらになるのか表示されています。50歳以上の方に送られてくるものは、このまま納付すると将来いくらの年金が受け取れるかが表示されています。

「ねんきん定期便」は、誕生月の2か月前に作成し、誕生月に届くようになっています。ただし、1日生まれの方は、誕生月の3か月前に作成し、誕生月の前月にお手元に届くようになっています 。

ご相談者様は55歳ですので、以下のようなねんきん定期便が送られてきます。(以下ねんきん定期便サンプルは平成30年度のものです。)

65歳の受給開始の時点で①の期間が120カ月以上でなければ老齢年金は受給することが出来ません。

②の欄の金額は、ご夫婦が現在の働き方で60歳まで保険料を払い続けた場合の65歳から支給される見込みの老齢基礎年金の金額(年額)です。

重要なのは、裏側です。

「最近の月別状況です」と書かれた③の欄のデータに漏れや誤りが無いか確認する必要があります。

もし漏れや誤り、不明な点があれば、近くの年金事務所に問い合わせましょう。

「国民年金(第1号、第3号)納付状況」欄が「納付済」となっていればOKです。

「未納」となっている場合は、保険料を納めていないということですので、本当に納めていないのかを確認する必要があります。万一納めていなかったとしても、2年前まで遡って納めることが出来たり、平成30年9月30日までは5年の後納制度が適用される場合もあります。

「3号」は、3号被保険者の期間で、保険料納付済期間に算入されます。

「未加入」は、20歳以上60歳未満の期間の内、どの年金制度にも加入していなかった期間、または共済組合等に加入していた期間です。

この他にも、「免除」(全額、3/4、1/4)、「学生特例等」「付加」等の表示があります。不明の場合は、日本年金機構のホームページで確認したり、「ねんきん定期便、ねんきんネット等専用ダイヤル」0570-058-555で必ず確認しましょう。

ねんきんネットでの確認方法

ねんきん定期便は年に1回しか送られてきません。どこに行ってしまったのかわからないという方は、ねんきんネットで確認する方法があります。また、郵送されてくるねんきん定期便の内容に加えて将来のシミュレーションの機能などもあるので、ねんきん定期便が手元にある人もねんきんネットに登録すると便利です。

例えば、現在は自営業者だが今後会社員となってこれくらいの給料をもらうようになったら将来いくらくらいの年金が支給されるのかといったシミュレーションなどもできます。

ねんきんネットに登録するのには、年金手帳や年金証書に記載された基礎年金番号メールアドレスが必要です。

また、アクセスキーがある場合と無い場合とで手続きが異なります。

アクセスキーというのは、上記写真の④に記載された17桁の番号です。

ねんきん定期便到着後3カ月間有効です。

このアクセスキーを使う場合は、下記写真⑤の「アクセスキーをお持ちの場合」から登録します。

この場合は、その場でユーザーIDが交付されねんきんネットをすぐに利用することが出来ます。

アクセスキーがわからなかったり3カ月を経過してしまっている場合は、下記写真⑥の「アクセスキーをお持ちでない場合」から登録します。

この場合は、「ユーザID」を記載した、「ユーザIDのお知らせ」が郵送されてきて、それからの利用となります。

https://www.nenkin.go.jp/n_net/registration.html

まとめ

後日、ご相談者様からこんなお手紙をいただきました。

拝啓 青山先生 【一部省略】 先日はねんきん定期便についてのご相談、大変ありがとうございました。 その時にもお話しさせていただきましたが、大変恥ずかしながらちゃんと年金に加入してきたか全く気に掛けたことがありませんでした。ねんきん定期便も手元になく、どうやって自分の年金の記録を調べてよいのか手のつけようがありませんでした。 ねんきんネットという便利な仕組みがあることを教えていただき、さっそく登録しました。一部記録漏れがあることがわかりました。私の名前の読み仮名は「くまがい」が正しいのですが、「くまがや」となってしまっていたためとのことです。基礎年金番号の導入時に記録の統合がうまくされなかったとの説明でした。幸いなことに、修正してもらうことが出来ました。 知らないままでいたらどうなっていたかと思うと恐ろしくなります。青山先生との出会いが私の人生を変えてくれるきっかけとなりました。 iDeCoという信じられないほどお得な積み立て制度があるということも知ることが出来ました。さっそく申し込みをしました。資産運用に本気で取り組んでみたいと思います。5回シリーズの1日の速習コースに申し込ませていただきました。 残る50年間の長い人生に大きな光がさしてきました。 本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。 敬具

(ご本人様の許可を得て、一部編集して掲載させていただいています)

国の年金は、老齢年金としてだけではなく遺族年金や障害年金としての機能もあります。また、死ぬまでもらえる終身年金です。そして、自分の払っている保険料だけではなく国の税金も投入されていて、とてもお得な制度です。

老後の生活を支える貴重な収入源となるものです。

支払った保険料に見合った給付を将来しっかり受けられるように、今から記録を確認しておくことはとても重要です。

まずは基本中の基本の国の年金をしっかり確保できることを確認したうえで、さらにその上乗せであるiDeCoやつみたてNISAなどを使ってお金の不安を取り除いて、今の自分の仕事や夢の実現に力いっぱい取り組んでいただきたいと思っています。

この記事を書いた人
青山 創星

会社と個人ダブル節税効果の国の制度確定拠出年金導入を銀行での運用経験をもとにフルサポート!!!

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