ご相談者様 DATA
【年齢】40歳
【職業】自動車部品メーカー勤務
【性別】男
【家族構成】妻
相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)
Facebookで人生100年時代では国の年金も重要だという青山先生の記事を見ました。国の年金はあてにならないなどという記事も多い中、具体的かつ現実的な記事で、非常に参考になりました。私自身、まだ老後を具体的にイメージできずにおりますが、やはり年金は気になります。自分が一体いくらくらい年金をもらえるのか知りたくなりました。
ご相談内容
国の年金だけで本当に大丈夫なのか不安になってきました。最近届いた「ねんきん定期便」で分かるのかと思ってみましたが、どうやら老後の年金額は記載されていないように思いました。
将来自分のもらえる年金の金額を知るにはどうしたらいいのか教えて下さい。
ご相談でお話しした内容
ねんきん定期便を使う方法
将来自分のもらえる年金の見込額を知るには、ねんきん定期便を使うのが一番簡単です。
ただし、50歳未満の方と50歳以上の方とでは形式が異なるため、読み解き方の方法が異なります。以下詳しくご説明します。
ねんきん定期便は50歳未満の方用と50歳以上の方用に分かれています。
50歳未満の方
50歳未満の方用のものは以下の通りです。
「加入実績に応じた」金額と書かれている通り、現在の40歳の時点までに払い込んだ保険料に対応する65歳からの支給額がいくらの見込かが①欄には老齢基礎年金、②欄には老齢厚生年金に分けて表示されています。
ですから、60歳まで保険料を払い込んだ場合に65歳の時点でいくら支給されるかという数字は、ここに表示されている金額に今後払い込む予定の保険料に応じて支給される見込みの金額をプラスしなければ出てきません。
では、どのようにすればその数字は出てくるのでしょうか?
おおよその見込み額を簡単に出す方法をお教えします。
まず、老齢基礎年金です。老齢基礎年金とは、国民年金に加入した年数によって受給できる終身年金です。国民年金は全国民に加入義務がありますから、全員が受給できる年金です。
こちらは、保険料を払った年数に比例して受給額が増えます。簡易的な計算式は以下です。
現在の①に表示されている数字が40万円だとすると、40万円+40万円=80万円が、65歳から支給される見込みの金額ということになります。(平成30年度の老齢基礎年金満額:年金保険料を40年支払った方が受け取れる老齢基礎年金は、779,300円ですから、これ以上大きな数字にはなりません。)
次に、老齢厚生年金です。
こちらは、厚生年金加入者、つまり会社員と公務員に対し、老齢基礎年金の上乗せとして支給される年金です。保険料は毎月の給与額に比例していますので、こちらは「年収」をベースに計算されます。簡易型の計算式は以下です。
60歳までの平均年収見込み額が600万円だとすると、
600万円×5.481÷1000×20≒66万円
となります。
現在の②の数字が44万円だとすると、44万円+66万円=110万円が、65歳から支給される見込みの金額ということになります。
今後60歳までの平均年収見込み額を言われると、戸惑う方も多いですが、まずは今の年収が継続したらどうなるのかで計算されると良いでしょう。
50歳以上の方
50歳以上の方用のものは以下の通りです。
こちらには、現在の働き方で現在の収入が続き保険料を60歳まで納めた場合、65歳になって支給される金額が③の欄にそのまま表示されていますから目安とすると良いでしょう。ただし、ねんきん定期便発行時点での年金加入条件が60歳まで継続することを前提としていますので、今後の転職、出向などで年収が減ると実際の受給額が減額されることも覚えておいてください。
年金の受給額を知る方法はもう一つあります。
ねんきんネットを使う方法
ねんきんネットを使う方法です。
ここに登録すると、さきほど手作業で計算していた試算をもっと細かい条件設定にすることもできます。
そして、計算は機械が行ってくれます。
どのようなことが出来るかは、こちらをご参照ください。
ねんきんネットに登録するのには、年金手帳や年金証書に記載された基礎年金番号とメールアドレスが必要です。
また、アクセスキーがある場合と無い場合とで手続きが異なります。
アクセスキーというのは、上記写真の④に記載された17桁の番号です。
ねんきん定期便到着後3カ月間有効です。
このアクセスキーを使う場合は、「アクセスキーをお持ちの場合」から登録します。
この場合は、その場でユーザーIDが交付されねんきんネットをすぐに利用することが出来ます。
アクセスキーがわからなかったり3カ月を経過してしまっている場合は、「アクセスキーをお持ちでない場合」から登録します。
この場合は、「ユーザID」を記載した、「ユーザIDのお知らせ」が郵送されてきて、それからの利用となります。
LINEで試算する方法
もっとお手軽に、ざっくりとした将来の年金額を調べるのであれば、LINEで試算する方法もおススメです。
お手元ににあるねんきん定期便を写真で撮り、年齢やお誕生月等を入力するだけで、将来の老齢年金のおおよその額が試算でき、さらにこれから準備すべきお金の概算も知ることができます。
まとめ
老齢基礎年金は、上記の計算式からわかるように収入の金額にかかわらず保険料を払い込んだ年数に応じた年金額しかもらえません。
それに対して老齢厚生年金は、これからの収入が増えればそれに応じて年金額も増えていくこととなります。
国の年金は将来どうなるかわからないからあてにしてないという意見も巷では聞きます。
しかし、国の年金制度は、65歳になったらもらえる老齢年金だけではなく障害年金や遺族年金の制度も含まれた制度となっています。そして、死ぬまでもらえる終身年金です。民間の保険会社が同等のサービスを同じ保険料で提供することは不可能です。国の年金制度は、税金も投入されているから成り立っているとてもお得な制度なのです。
厚生年金の受給額は収入を増やせば増やすことができます。
年金は単に与えられるものではなく、自分で作っていくものです。
収入を増やして国の年金により最低限の保障をしっかり固めるご提案をさせていただきました。
その上で、更に国の年金の上乗せの制度で税金のとてもお得なiDeCoやつみたてNISAなども使って将来に備えていくご提案をさらにさせていただくこととなりました。
ご相談者様は、奥様と二人で暮らしていらっしゃるので、今後は奥様も含めお二人でしっかり働き、将来の自分たちへの向けて何をすべきか考えていきたいと、とても前向きな感想をいただきました。40代の方にとって老後のための資産形成はマラソンのようなものです。私もサポーターとして、その道のりをしっかりと支えていく所存です。