ご相談者様 DATA
【年齢】 40歳 オカダさん(仮名)
【職業】 会社事務
【性別】 女性
【家族構成】兄弟姉妹なし、夫、子供1人
相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)
田中さんに資産運用の相談で伺った際に、両親の話題になりましたので父の病気の事もお話しました。
2か月ほど前に父は脳梗塞で突然倒れ、麻痺が残りほぼ寝たきり状態になってしまいました。
偶然にも田中さんのお父様も同じような状態で、行政の手続きも田中さんが全部されたということでいろいろ教えていただくことになりました。
ご相談内容
私は一人っ子で母も私に頼りきりですので父の手続き関係は私がやらなければいけない状況です。
病院で言われたので、現在、身体障害者手帳の申請中ですが、
正直これから何をすればいいのかよく分かっていません。
長期入院になると費用の不安もあります。
障害年金もおりるのであれば申請したいと考えています。
田中さんの経験を踏まえて今後の手続きなど教えていただきたいです。
ご相談でお話しした内容
私の父も脳梗塞で倒れ、発症が2回目だったことが状態を悪くしたようで残念ながら右半身は全く機能しなくなりました。
左半身もほとんど動かすことができず寝たきりの状態になり、倒れて以来ずっと入院をしています。
提出した医師の「身体障害者診断書・意見書」には右上肢の麻痺が2級、右下肢の麻痺が3級で総合的に1級の診断でした。
(参考)身体障害者障害程度等級表
私の父は体はほとんど動きませんが、話す内容は分かっているようで冗談を言うと少し笑ってくれます。
その表情を見るたびにとても辛く切ない気持ちになります。
頭がしっかりしているから、なおさらつらい思いをしているだろうなと考えてしまうのです。
オカダさんのお父様は67歳という年齢で動けないお体になって、さぞ悔しい思いをされているかと思います。
家族としてもお気持ちはよく分かります。お母様のサポートも必要ですよね。
私の父の病気の経験からオカダさんに少しでも役に立つアドバイスができればと思います。
まず障害年金の質問ですが、誤解があるように感じましたのでご説明しますね。
お父様は67歳ですでに老齢年金を受給されておられますので障害年金を受け取ることはできません。
老齢年金と障害年金をダブルでもらうことはできないのです。
ちなみに私の父も老齢年金をすでに受給しておりましたので、障害年金は受け取れず老齢年金のみを引き続き受給しております。
障害年金の1級であれば、老齢年金の金額より多い約100万円の年金受給になるのですが、高齢になると体が不自由になる方も多いので、老齢年金を受給しているような高齢者は障害年金が受け取れないというルールになっているのです。
仮に障害年金をもらえる年齢であっても、障害者手帳をもらったら障害年金も自動的にもらえるというように連動しているわけではありません。
その場合、お近くの年金事務所やお住まいの市区役所・町村役場等でそれぞれの手続きが必要になります。
身体障害者手帳とはなに?
身体障害者福祉法に定める身体上の障害がある方に対して、都道府県知事、指定都市市長又は中核市市長が交付するものです。
障害者手帳でさまざまな福祉サービスをうけることができます。
手帳はそれらのサービスを受けるためのもので、障害年金をもらうためのものではありません。
オカダさんは申請中ですが
【身体障害者手帳の取得する流れ】は以下の通りです。
- 市区町村の福祉課で「身体障害者診断書・意見書」の用紙をもらう。
- 指定医に記入してもらう。
- 市区町村の福祉課に「身体障害者診断書・意見書」「交付申請書」と「マイナンバー」と「写真」を提出し申請する。
- 審査のうえ障害等級が決定する。
- 1ヶ月~4ヶ月で手帳を受け取れる。(私の父は1ヵ月で受取れました)
私が手続きをした熊本市では以下のようなサービスがあります。
- 交通機関の割引(市電・民間バス、JR鉄道、飛行機、タクシー)
- 利用券の交付(福祉タクシー券、障がい者さくらカード)
- 医療費の助成(1級は一部負担金の全額)
- 福祉用具の支給
- NHK受信料の免除
- 税法上の措置(所得税および住民税の障害者控除、自動車税・取得税の減免
- 有料道路の割引
- 駐車禁止適用除外の申請
- 公営住宅の身体障がい者向け住宅について
- 障がい者住宅改造費助成
- 手当等について(特別障害者手当など)
- 各施設の割引
※「熊本市身体障害者手帳所持者のしおり」より抜粋
状態によって申請をしますので本人が行動できるなら該当する項目は多いのですが、私の父のように寝たきりで長期入院となると受けられるサービスは限られてきます。
私が申請したのは
- 医療費助成
障害等級1・2級は一部負担金の全額を助成してくれます。
「重度心身障がい者医療費 受給資格者証」を発行してもらいます。
病院の窓口では、いったん医療費を支払います。
助成手続きには、受給資格者証、健康保険証、印鑑、領収証が必要です。
長期入院で医療費を負担していただけるのは本当に助かります。
- NHK受信料の半額免除
身体障がい者が世帯主の場合のみ免除できるようです。
衛星契約であれば口座払の年払だと12,385円安くなりました。
- 所得税および住民税の障害者控除
1級は「特別障害者」にあたるので
所得税40万円、住民税30万円の所得控除があります。
確定申告して手続きしましょう。
(参考)障害者と税:国税庁HPより
※熊本市の福祉サービスを掲載しています。詳しくはそれぞれの地域で確認されることをお勧めします。
その後
オカダさんより連絡をいただきました。(本人の承諾を得て一部省略して掲載しています)
先日は父の件で相談にのっていただき、また丁寧にアドバイスいただき本当にありがとうございました。 あの時はとても不安でしたので、同じ境遇の田中さんのお話しが聞けてとても心強かったです。 私の気持ちにとても親身に寄り添っていただけたのがなによりも励みになりました。 資産運用のお話とは全く違う方向に行ってしまいましたが(*^_^*) 無事1級の障害者手帳を受け取り、医療費の助成もうけれるようになりました。 医療費の助成のおかげで医療費用の不安はなくなりましたし本当にありがたいです。 また長期療養型の病院に転院することができ母共々ほっとしています。 今できることは病院に行くことしかないので子供と母とちょくちょく顔を見せに行こうと思っています。 確定申告はしたことが無いのでまたご指導ください。 それと、先日お話をお伺いすることができなかった資産運用の話も(笑) 今後とも宜しくお願いします。 |
嬉しいですね。
これからもしっかりサポートしていきますよ。
本業で(^_^)/
監修:山中伸枝(FP相談ねっと代表) 2021/3/1追記
家族が、または自分自身が病気やけがが原因でこれまでどおりの暮らしが立ち行かなくなったらとても不安です。少しでも経済的な支えがあればということで障害年金があったり、生活のサポートとして障害者手帳があったりします。しかしどんな時にどの程度の保障が得られるのかをご存知の方が少なく、また障害年金と障害者手帳が同じもののように思われている方も多くいらっしゃいます。
ご自身の暮らしを守るためにも事前に情報を仕入れておくことは重要です。また障害年金のお手続きでお困りごとがありましたら、FP相談ねっとの登録FPの中には、社労士とのダブルライセンスで頑張っている方もいらっしゃいますので、お役に立てるかと思います。