確定拠出年金損談ねっと認定FP林です。
「ちょっと、見てくれる?」
と、友人のA子さんから投資信託の運用報告書を渡されました。
A子さんは、NISA口座で毎月分配型の投資信託を1度にドカッと買っています。
そして、分配金を銀行の定期預金で積み立てています。
お付き合いのある「銀行」から勧められて始めました。
昨年はそこそこ利益が出た(らしい)ので、そのまま続けているそうです。
拝見したら・・・
分配金 0
毎月受け取っていたのは特別分配金でした。
「特別」と聞くと聞こえが良いですが、何のことは無い、元々の自分のお金を戻しているだけです。元本を削っているのです。
「毎月分配型」の投資信託は、毎月決まった額の分配金を出さなければなりません。分配金を出す利益が無ければ元本から出すしかありません。
一口分の価格は下がっていて、当初の7割程度になっていました。
「え・・。でも、分配金を定期積み金下分も合わせると、そんなに減ってない・・よね・・。」
と、A子さん。
定期積み金の分は、減りはしませんが殖えません。
価格の変動が無くても、保有している間は信託報酬の分はしっかり減って行きます。いちいち払わないので気がつかないかもしれませんが、信託財産からちゃんと差し引かれています。
信託報酬を支払った後、その日の投資信託の価格が決まります。
信託報酬以上の利益がでないと、投資をした人にの利益にはなりません。
少しでも分配金が出ていればいいのですが、全て特別分配金、つまり、元本を戻しただけなので、信託報酬分は確実に損をしています。
「受け取る金額は変動するね。利益が無い時は「分配金」が出ないね。 って聞いたら、銀行は「そうですね。」って言っていたのに。」
確かに分配金は出ません。でも、その分は特別分配金(元本を削って出す)を受け取ることになるとの説明は受けなかったのでしょうか。
早速、A子さんは銀行の担当者に連絡を取りました。
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投資信託を選ぶのに迷うなら、つみたてNISAの商品で。買い付け手数料無料、信託報酬も安い。
毎月分配型では資産形成の効率が悪くなります。
そして、資金があっても一気に買わず、時間分散をして積み立てるといいとお話ししました。
A子さんは、今年は既にNISA口座で投資信託の買い付けをしています。
NISAとつみたてNISAは同じ年にはできません。
NISA口座は同じ年には1つの金融機関しか出来ません。
どちらも商品の買い付けがしてなければその年の変更が可能ですが、買い付けをしてしまったら翌年からの変更になります。
A子さんのNISA口座変更、つみたてNISAに変更するして買い付け出来るのは来年からになります。
つみたてNISAはiDeCoのように、掛金全額所得控除という大きな税制優遇はありませんが、2018年1月1日から2037年12月31日までの20年間、年間最大40万円まで非課税で運用が出来ます。
(2021年8月追記:令和2年度税制改正により2042年まで5年間延長)
また、金融機関によって買えるつみたてNISAの商品は違います。
(iDeCoナビの姉妹サイト、「つみたてNISAナビ」で商品選びが出来ます。)
つみたてNISAの商品は、「国民が資産形成出来るように」と金融庁が定めた基準に合格した商品です。
ただし、NISAと同様、買い入れ時点でその分の非課税枠を使います。利益が無かったことにされますが、損失も無かったことにされます。譲渡損失と配当との相殺、損失の繰り越しも出来ません。
A子さんの場合も損失が出ています。元金の減りと価格回復の両方に注意し、解約のタイミングを計ります。
リバランスをすることで、運用の効率が良くなりますが、NISA口座やつみたてNISAでは非課税枠が決まっているので、頻繁な売り買いは非課税枠を減らしてしまいます。
しかし、例えば松井証券のリバランス積立を利用すると、目標ポートフォリオを目指して買い付けができます。
また、どうせ使ってしまうお金なので、毎月分配型で受け取れるものが面倒でなくていいという方もいらっしゃいます。
そのような場合でも、マネックス・セゾン・バンガード投資顧問の「MSV LIFE」という投資一任契約は、1000円から始められ、積み立ててきたお金を運用しながら取り崩していくことも出来ます。一任契約も含めて保有財産の0.991%未満(※市場により超えることもある)の手数料で済みます。
(※2021年8月追記 現在は「ON CONPASS」 一任契約も含めた手数料1.0075%程度 )
ただ、ちゃんと資産が積み上がっている投資信託かどうかは必ずチェックしておきましょう。
後日、もう一度資産形成の相談を承ることとなりました。
(※追記 後日談あり)