こんにちは。
FP相談ねっと認定FP 寺田紀代子です。
保険販売系FPとして、青森県弘前市で保険も含めたご相談を承ってます。
暖冬かと思ったら、突然の豪雪!春になるまで何が起こるかわかりませんね。
春間近、人事異動が春に行われる企業が多いです。
日本国内にとどまらず、海外展開をしている企業では、海外へ出向ということも考えられます。
首都圏以外では、車社会の日本。地方で共働きであれば、1人1台の自動車を持つのはごく普通のご家庭です。
海外出向中の何年か、保有したままの自動車保険はかけ続けなければならないのでしょうか?
中断制度
自動車保険には等級制度があります。
保険請求を行わなかった場合、1年ごとに等級が上がり、割引率が上がっていく制度です。
自動車保険は切れ間なく継続していくことで等級制度も引き継がれていきますので、途中で解約してしまうと、せっかく積み重ねた等級は保険に加入した最初に戻ってしまうことになります。
「海外出向が決まりました。夫婦で2台車を持っていますが、自分が出向中は1台不要です。ただ、出向期間もはっきりしていませんので、売るつもりはありません。解約してしまうと等級がなくなってしまいますが、乗らないものに保険をかけ続けるのは無駄だなと思います。何かいい方法はないでしょうか?」
こんなお問合せを、年に数件いただきます。
あります!
中断制度です。
要件を満たせば、保険を解約し、解約した時点の等級(割引)をとっておくことができる制度です。
中断制度は3種類あります。
国内特則
海外特則
妊娠特則
です。今回は海外特則について詳しくお伝えします。
中断証明書を発行する
等級をとっておくためには、いくつか条件があります。
1 自動車保険契約を中断すること
解約または保険の満期で継続しない。の2通りです。出国までは自動車を使用するのでしたら、出国後の日付で解約を申し出るといいですね。
2 現在の保険の等級が7等級以上であること
満期を迎えて満期日に中断する場合は、満期を迎える等級が6等級でも大丈夫です。現在の保険期間に事故がなければ次の等級が7等級になるからです。
3 中断日が出国日前6ヶ月以降であること
出国日より前に保険を解約することはあまりない事と思いますが、海外へ出国する時に使える特別な制度なので、出国日との関連づけをするため、期限が定められているようです。
この条件がすべて満たされていれば、出国日から10年間、等級をとっておくことができます。
自動車保険担当者に、中断したいことをお話すれば、簡単な書類で手続ができます。
手続き後は「中断証明書」が郵送されますので、大切に保管しておきましょう。
保険料を払わないで済みますし、今まで積み上げた割引を捨てなくていい制度です。
該当する方はぜひ活用してください。
中断証明書を利用する時
無事出向を終えて、帰国された時、中断を利用して保険に加入する条件はどうなるでしょう。
1 中断証明書の提出
保管しておいた中断証明書を提出しましょう。万一なくしてしまった場合でも再発行が可能です。
2 中断時の出国日から10年以内か確認
出国日の翌日から10年以内、かつ、帰国日から1年以内に新たに保険を始める日があるか確認してください。
3 自動車の種類の確認
中断した時と同じ車でしたら、問題ありません。出国後、売却してしまい、帰国と同時に購入した時は同じ車種(軽乗用車⇒軽乗用車)か入替可能な車種(軽自乗用車⇒小型乗用車のような)か確認が必要です。保険会社により規定が違います。加入する保険会社に確認しましょう。保険会社は中断した時の保険会社でなくても適用可能です。
4 記名被保険者(主に車を運転する人)と保険をかける自動車の所有者の確認
中断証明書に書かれている記名被保険者、所有者と同じ。が条件です。
ただし、違う場合でも新しい記名被保険者が配偶者、同居の親族などであれば同じとみなす決まりがあります。この規定も保険会社により若干違う場合がありますので、確認しておきましょう。
5 提出する書類
出国日、帰国日がわかるパスポートのページコピーなどが必要です。
新たに自動車保険を加入する際、以上の条件を満たしていれば、前の割引を使って契約ができるわけです。
制度使用でどの位の効果?
中断の手続きをした場合としなかった場合で保険料はどの位違うか試算してみました。
27歳 男性 中断時等級15等級(51%割引)免許ブルー 通勤使用 軽乗用車
運転者本人限定 年齢条件26歳以上補償 対人対物 無制限 人身傷害 5,000万円 車両付帯
ざっくりこんな内容です
中断を使った場合 | 中断を使わなかった場合 | ||
等級 | 年間保険料 | 等級 | 年間保険料 |
15等級(51%割引) | 76,000円 | 6等級(4%割増) | 127,000円 |
16等級(52%割引) | 73,000円 | 7等級(30%割引) | 105,000円 |
17等級(53%割引) | 71,000円 | 8等級(40%割引) | 90,000円 |
18等級(54%割引) | 69,000円 | 9等級(43%割引) | 84,000円 |
19等級(55%割引) | 67,000円 | 10等級(45%割引) | 81,000円 |
20等級(63%割引) | 56,000円 | 11等級(47%割引) | 77,000円 |
6年合計 | 412,000円 | 6年合計 | 564,000円 |
※あくまで参考値で、事故がなく保険金請求もなかったと仮定した試算です。保険料計算は各保険会社により異なりますので、詳細は加入中の保険会社で試算してもらいましょう。
いかがですか。ひと手間で15万円も支払う保険料が違ってきます。使わないともったいないですね。使える制度はどんどん使いましょう。