個人型確定拠出年金の愛称がiDeCoに決まり、
また世間の確定拠出年金への注目度もあがってきているいま、
確定拠出年金に対する批判的意見も増えてきました。
世の中に完璧な制度がない以上、批判もやむをえないと思っていますが、
各種制度についての基本的スタンスとして、
あくまで僕個人の意見を述べさせていただきます。
結論としては「 使える制度は使ったほうが良い 」です。
確定拠出年金やNISAなどの制度に限らず、
学資保険、終身保険、年金保険など、各種金融商品には批判がつきものです。
しかしながら、その制度・商品単体では不完全であっても、
ある人にはとても有効な手段なのに、
別のある人にはとても活用できない手段ということは良くあります。
ここらへんのサジ加減は、その人の価値観などにもよりますが、
判断基準のようなものはネット上ではほとんど探すことができません。
まさにこの微妙な世界で、お客さまに情報提供しつつ、
お客さまの望む方向へご案内し、背中をおしてあげるのが、
僕ら特定の商品を売らないファイナンシャル・プランナーの最も得意とするところであり、
そのアドバイスによって対価をいただいているのです。
ですから、そもそも一般的に有効であるということだけをもって、
全ての人に有効であると考えるのは間違っています。
「 使える制度は使ったほうが良い 」というのも、
全てのひとに当てはまるわけではないので、
お客さま自身で取捨選択していただく判断材料を提供しつつ、
納得していただいたうえで選んでいただく必要があります。
ただ、そうはいってもいっぺんにすべてのことをお伝えすることは不可能です。
だからこそ可能なかぎり、複雑なものはシンプルに、
よりわかりやすくするには面白く、というアプローチが必要になってきます。
誤ったことをお伝えするのはもちろんダメですが、
まったく知らないものに興味をもってもらうにはやむをえないのです。
しかし、だからといって「 さすがにこれは・・・ 」という表現があるのも事実ですので、
そのあたりをちょっと見てみましょう。
リスクゼロで年率30%で運用できる
発信者側としては、より注目を浴びたい、
よりわかりやすく受信者へ伝えたい、
もっと個人型確定拠出年金を活用してほしい、
などいろんな想いがあるのでしょう。
ところが、
「 リスクゼロ 」と「 年率30% 」があわさった瞬間、怪しさ抜群です。
そもそも節税と利回りを混同して表現していることが問題であり、
「 年率30% 」は正しい表現とはいえません。
が、条件付きで本文に記載があれば間違っているというのも言い過ぎかもしれませんし、
このようなタイトルの書籍も出版されていることから、ここは大目にみるとしましょう。
ただ気になるのは「 リスクゼロ 」です。
軽々しくもこのような表現は使ってはいけない。
確定拠出年金という魅力的な制度を、まるでどこぞの情報商材の
アフィリエイトくらいにおとしめてしまう危険性があります。
確定拠出年金の資産に対する特別法人税(1.173%)が復活する可能性を無視
現在、この法人税は課税されていませんが、そのリスクは常に不確定要素です。
しかし、このようなことはどんな制度にもいえることで、
直近ですとNISAの非課税期間の短さや、住宅ローン減税廃止のリスク、
不動産への課税強化などのうわさなど、
いまからコントロールできない将来のことを心配しすぎるのはちょっと行き過ぎでしょう。
また、確定拠出年金の元本確保型運用商品である定期預金は
加入者の60%程度が利用しているといわれていますが、
いまの金利は「 0.01% 」程度です。
特別法人税が復活したら、大半の人は元本割れとなってしまいます。
特別法人税復活への反対派が多かろうが少なかろうが、
確定拠出年金をこれから普及させていこうとする世の中で、
衰退させる動きがでてくるとはちょっと考えにくいです。
預金金利が急上昇するならともかく、しばらくは無視していいことだと思いますし、
復活したからといって、確定拠出年金そのものの魅力がなくなるわけではありません。
今回あげた2点は、ちょっとマニアックな制度批判の一部ですが、とても大切なことでもあります。
繰り返しになりますが、「 使える制度は使ったほうが良い 」です。
確定拠出年金は「 老後資金づくりに特化した制度 」であり、
最大限活用してもそれほど大金を準備できるわけでありませんが、
入口・真ん中・出口で優遇されている制度です。
どのように活用するのか、そもそも活用する必要があるのかないのか、
活用してはいけないのか、などは「 その人による 」としかいいようがないのです。
極端な煽りや批判に惑わされることなく、
正しい情報を知ったうえで、あなたが選べばいいことですから、
この確定拠出年金相談ねっとをぜひ活用してみてくださいね!