ご覧の皆さま、こんにちは。
年金というフィールドで、相談業務、教育研修、制作(執筆・編集等)、調査研究という4領域で活動中、年金のポリバレント・井内(いのうち)です(※ポリバレントとは、サッカーで複数のポジションをこなせる選手として使われている言葉です。)。
ファイナンシャル・フィールドの新規記事「年金記録に漏れが見つかったらどうなる?(2)本人死亡後に判明した場合」が掲載されました。
年金時効特例法に関する記事の第2回目で、先日掲載されました「年金記録に漏れが見つかったらどうなる?(1)年金を受け取り始めた後に判明した場合」の続編になります。
前回の記事は、受給している本人が存命中に年金記録が判明し、記録の訂正、年金の再計算が行われた場合ですが、今回の記事は本人が亡くなった後に記録が見つかった場合についてです。
本当は、本人が存命中に全ての記録が判明し、受けられるはずのすべての年金を本人が受けられれば一番です。
しかし、もし亡くなった後に初めて記録が判明した場合は、その新たな記録の分の年金は遺族に未支給年金として支給されることになります。つまり、遺族が本人に代わりに受け取ることになります。
もし、60歳で年金を受け始めた人が90歳で亡くなると、30年分ということになります(前回同様、記録訂正による場合、5年の時効にはかかりません)。記録の追加で増える額が1年あたり2万円だったとしても、30年分となると60万円に上ります。
これが遺族に一括で支払われることになるでしょう。
ただし、未支給年金の他に、遺族に遺族厚生年金が支給される場合は、今回の記事でも述べているとおり遺族厚生年金の計算に時間がかかります。
遺族厚生年金の元となる、亡くなった人の老齢厚生年金がまず再計算された上で、遺族厚生年金が計算されることになります。つまり2段階のプロセスとなります。
そのため遺族厚生年金の請求から初回の支給までは半年くらいかかることもあります。
記録訂正の上で遺族厚生年金を受ける場合は、この点留意が必要です。
以上、前回と今回、全2回で年金時効特例法と記録訂正について取り上げています。ご自身のためにも、ご家族のためにも、年金記録についてこれで間違いがないか、「ねんきん定期便」や年金事務所の窓口で確認し、年金記録をスッキリさせておきたいところですね。
【これまでの実績】——————-●年金相談は3500件以上経験、●教育研修は地方自治体職員向け、年金事務担当者向け、社会人1年生向けなど、●執筆は通算200本以上!『週刊社会保障』の「スキルアップ年金相談」(法研様)、「東洋経済オンライン」(東洋経済新報社様)、「ファイナンシャル・フィールド」(ブレイクメディア様)、月刊『企業年金』の「知って得!公的年金&マネープラン」(企業年金連合会様)。●調査研究活動は研究論文「老齢年金の繰下げ受給の在り方-遺族厚生年金の受給権がある場合-」(日本年金学会編『日本年金学会誌第39号』)など。
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