ご覧の皆さま、こんにちは。
公的年金、若年層の金銭教育を得意分野とする、横浜のCFP®・社労士・1級DCプランナーの井内(いのうち)です。
天候が不安定なゴールデンウィークが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、将来の備えとして関心の高い公的年金ではありますが、その理解はなかなか難しく感じることも多いでしょう。
そこで今後、私のこれまでの年金相談の経験から、年金保険料を払っている人、年金をこれから受給する人の年金に関する疑問について取り上げて、その答えを明らかにしていきたいと思います。
Q&A形式で取り上げます。まず今回はこちら。
Q. 繰り下げると年金が増えるらしいので特別支給の老齢厚生年金の手続きは65歳になってからがよい?
生年月日によって支給開始年齢が異なる特別支給の老齢厚生年金で、支給開始年齢の3ケ月前になると老齢年金請求書が届きます。
支給開始年齢となる誕生日の前日以降であれば手続きが可能ですが、手続きを遅らせると年金が増えると聞いているので、すぐ手続きをせず65歳を過ぎてから手続きをしたほうがよいのでしょうか?
A.特別支給の老齢厚生年金は繰下げ増額できない
特別支給の老齢厚生年金は65歳までの有期年金です。
一方、65歳からの老齢厚生年金や老齢基礎年金は65歳から終身で受給できる年金です。
65歳からの老齢厚生年金・老齢基礎年金は受給の開始を遅らせ増額させる繰下げ受給制度があります(最大75歳まで)。
これに対して、特別支給の老齢厚生年金には繰下げ受給制度はそもそもありません。
62歳支給開始の人が、65歳で手続きをしても、過去3年分について一括で受け取るのみで、繰下げによるの増額はありません(在職老齢年金制度によりカットされる場合は支給対象となる部分のみ一括支給されます)。
支給開始年齢から5年を過ぎて手続きをすると、5年の時効にかかってしまい、本来受け取れるはずの年金で受け取れない部分が発生します。62歳支給開始の人であれば67歳を過ぎて手続きをした場合に時効にかかる可能性があります。
年金を受け取りたい場合、その年金請求書はいつかは提出する時が来ます。したがって、支給開始年齢が来たら手続きは早めに済ませましょう。
場合によっては配偶者に加算されている加給年金が過払い・返納となる可能性もありますので、早いほうが良いでしょう。
【これまでの実績】——————-●個別相談、金融機関の相談会等含め年金相談は合計4500件以上経験、●教育研修は地方自治体職員向け、年金事務担当者向け、社会保険労務士向け、FP向け、社会人1年生向けなど。㈱服部年金企画講師。●執筆は通算300本以上!『週刊社会保障』の「スキルアップ年金相談」(法研様)、「東洋経済オンライン」(東洋経済新報社様)、「MONEY PLUS」(マネーフォワード様)、「finasee(フィナシー)」(想研様)、「ファイナンシャルフィールド」(ブレイクメディア様)、月刊『企業年金』の「知って得!公的年金&マネープラン」(企業年金連合会様)。その他、FUSOSHA MOOK「定年前後に得するお金の手続き」(扶桑社様)共同監修。●調査研究活動は研究論文「老齢年金の繰下げ受給の在り方-遺族厚生年金の受給権がある場合-」(日本年金学会編『日本年金学会誌第39号』)など。●取材協力先として扶桑社様、光文社様、日本経済新聞社様。●その他、動画「人生とお金の悩みを解決!たった5分のお金の学校」、Clubhouseルーム「【FP井内】いのっち公的年金語り部屋」に出演。
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