こんにちは(^^)
経営者の理想を実現する資産形成のプロ、ファイナンシャルプランナーの小川です。
よく「何が儲かる?」 「何に投資したら一番いいの?」
といった質問をいただくことがあります。
今回はそんな質問に対しお答えしていきます。
まず、先に結論です。
何が儲かるか、何が一番か、そんなことは誰にもわかりません
これ、投資を考えるにあたっては絶対です。
どんなに優秀な経営コンサルタントや経済学者でも、一番を当てることなどほぼ不可能に等しいことですし、どんなに素晴らしいビジネスモデルがあっても、世の中に受け入れられながら経営の資本であるヒト・モノ・カネを上手く回し続けることができるのかはわかりません。
成長が期待できるビジネスであっても、それを生み出す「ヒト」に対しての処遇や職場の人間関係が悪く、「ヒト」が不足することで思うように生産活動ができずに内部から崩壊してしまうことは組織ではよくある話です。
また、利益が出ているからといって株価が成長するかどうかはわかりません。
例えば、Twitterが上場する際、その成長が期待されて株価は高い水準からのスタートでした。
しかし、上場後にはあまり成長はせず、しばらく株価は低迷を続け、現時点においてはドル建てでの株価は上場時よりも下落した状態となっています。
また、郵政3社の株式が上場された際、「国の後ろ盾があるから」というような理由で安心感があったためか上場後はしばらく上昇していましたが、その後大きく下落することになりました。
その当時、メディアでは郵政株に期待するコメントを寄せる専門家もいましたが、結果は残念なものとなりました。
また、当時私のセミナーに参加いただいた方の中に「郵政株は間違いないよ」と信じて疑わなかった年配の方もいらっしゃいました。
当時は「ひょっとしたらそういう見方もあるかもしれないのですが、東電も震災で株価が暴落した例もあるので過信はしない方が良いですよ。投資するならゼロになってもいいお金の範囲にしておいた方が」とアドバイスさせていただきました。
「これに投資しないのは勿体ない!」
「やった方がいい!」
まず、勧める人のこういったワードで心を動かされているうちは「やらない方が良い」と強くお伝えしておきます。
大事なことなので繰り返します。
誰かの言葉でグラついてるうちは投資するな
です。
これ、とても大事な考え方なんですが、上手くいけば勧めてくれた人に「ありがとう」って思うことでしょうが、仮に失敗したらその人に対してどのような感情を抱きますか?
「お前が勧めたもの買ったら損したじゃないか!」
とか、勧めた人の責任にしてしまう方も多いのではないでしょうか。
誰かが言ったから投資した・・・
この問題点は投資を自己責任で考えられていないことです。
投資は自己責任で行うのが当然ですが、「あの人はああ言ったのに・・・・」と思うことは、ご自分でその投資先をしっかり自分の目的に合っていて、自分のお金を投じるのに相応しいと判断していないという証拠です。
この会社なら仮に投資したお金がゼロになっても文句は一切言いません
これが個別の株式に投資する際に持っておくべきスタンスで、上手くいったときの喜びも何倍にも増え、失敗しても「仕方が無いね」と誰かの責任にすることなく穏やかでいられることでしょう。
減らしたくないお金は減らさないための「長期・分散」の基本を守り投資することです。(※参考↓
そして、失っても自分の人生設計には何の問題もない、余剰資金の範囲で行うことが重要です。
損しても幸せでいられる株式投資の考え方
と、ここまでご覧になった方は「やっぱ株ってハードル高い・・・」って思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。
ただ、余剰資金の範囲、例えば数千円~数万円くらいの投資であれば、仮に損をしても今後の人生設計において必要なお金を失ってしまうということは無いでしょう。
ネット系の証券会社には1株から買うことができるサービスもありますので、これらのサービスを利用することで中には数百円から買える株式もあります。
株主優待を受けられるものも中にはありますし、配当は受け取れますので、ちょっとお試しで買ってみるのも良いですね。
そのときに、仮に損をしてしまっても幸せでいられる銘柄の選び方を解説していきます。
一言で言うと、「その会社のファンになり、応援したいと思えるか?」です。
1.どのような会社の将来像を描いているのか?
2.理想の将来像を実現するために、どのような使命感を持ち事業を行っていくか?
3.どのような価値基準で事業を行っていくのか?
4.これらに合った商品を提供し、社員にどれだけこれらを浸透できているのか?
など、このような点に注目してみます。
一般的に、株式の選びかたは「ファンダメンタルズ分析」と呼ばれる手法で、その企業の財務指標や商品が世の中にどれだけ受け入れられそうかという期待で投資の判断を行います。
しかし、財務指標の読み方はある程度財務諸表を読み解く専門知識が必要ですし、数字と財務諸表の用語を読み取り理解するには慣れが必要です。
また、商品がどれだけ市場のニーズを捉えられているかという点も、判断が難しい場合もあるでしょう。
勿論、こういった点にも注目して投資をすることは良いのですが、少額から始めてみる場合などは「好きな企業、応援したい企業に投資する」という考え方だと、仮に損をしても損失は大きくありませんし、AKBの総選挙で推しメンの投票権を得るためにCDを買うような感覚で投資して、僅かな金額かもしれませんがリターンを得ることができます。
仮に損をしてしまってもそもそも少額での投資なので負の感情が込み上げることは無いでしょう。
そんな企業を選ぶために、企業がどんな考え方で、どんな事業を行っているかを知ることが大事です。
これらはホームページにしっかり載せられていますし、難しい専門知識も不要ですので比較的簡単に理解することができるでしょう。
事例①任天堂の例
では、そんなファンになってしまうような企業の例として、どのような企業があるのかを見ていきましょう。
例えば、wiiやSwitchで御馴染み、私達アラフォー世代はファミコン、スーパーファミコン、ゲームボーイでお世話になった任天堂です。
任天堂は「娯楽を通じて人々を笑顔にする会社」というビジョンを掲げ、そのためにゲーム機やゲームソフト、数々のキャラクターを生み出しています。
任天堂HP 社長メッセージ↓
www.nintendo.co.jp/ir/management/message.html
「任天堂独自の娯楽を提供する」『「いつかは必ず飽きられてしまう」という考えのもと、世界中のすべての人々に向けて独創的な商品やサービスの提案を続けていきます』という使命を掲げています。
そして、任天堂には壊れたおもちゃを修理のために送った際の心温まるエピソードが多数あります。
・ゲームで遊んでいたお子さんが任天堂のキャラクターのシールをたくさん貼ったゲーム機を落として破損してしまい、ケースごと交換が必要だったが、修理して戻って来たゲーム機は同じシールが元のケースと同じ位置に貼って戻ってあった。
・ゲーム機を落として破損してしまい、壊してしまったお子さんが必死に修理しようとした痕跡と、修理担当に充てた手紙を添えて出したら「一生けん命に直そうとして送ってくれたことが伝わったので修理代は無償にします」というようなメッセージが添えられて戻って来た。
などのエピソードがあります。
さて、これらのことは、単に損益だけを考えると「社員の時間の損失」ですし「修理の売上の損失」です。
しかし、「人々を笑顔にする会社」というビジョンに対し、とても真摯にその実現のために行動していると言えることでしょう。
このようなエピソードから、その会社が単なる美辞麗句としてお飾りの企業理念を掲げているのではないことがわかりますよね。
事例②スノーピークの例
私の住む新潟県にある上場企業のスノーピーク株式会社はアウトドア用品の製造、販売を主に手掛けています。
そんなスノーピークは登山が大好きだった山井幸雄氏が創業し、現在は孫である山井梨沙氏が社長に就任しています。
そんなスノーピークでは、「地球上のすべての人の日常生活に豊かな自然指向の人生価値を提供できる唯一無二の企業として、100年、200年続く唯一のライフバリューブランドになる」とトップメッセージに記載されており、アウトドアが大好きだからこその着眼点から商品開発を行い、愛好家達に受け入れられています。
スノーピーク トップメッセージ
www.snowpeak.co.jp/about/message/
同じ新潟県の有名な日本酒の銘柄である「久保田」を生産する朝日酒造㈱とのコラボで、スノーピークを意味する「雪峰」という名の大自然の中で酌み交わす酒をコンセプトにした日本酒の開発も行っています。
製品に理念が反映され、アウトドア好きなユーザー目線の商品が開発されていることが楽天などの通販サイトの口コミを見るとわかりますね。
あなたのお金がどう使われているのか?
ここまでお伝えしてきた内容に対し「綺麗ごと」「株は儲けてナンボ」という考えの方も多いでしょう。
特にそのお考えを否定するつもりもありません。
しかし、仮にあなたが投資したお金が、従業員を劣悪な環境で酷使していたり、顧客に対し詐欺紛いの手法で営業しているような事業に使われていたらどうでしょうか?
汚染物質を垂れ流しして環境を破壊している事業のために使われていたらどうでしょうか?
それで仮に投資したお金が10倍になったとしても、私ならばそのような会社に自分のお金を投資するのは嫌です。
むしろ株式投資という形で社会の利益に反することにお金を出して加担し、それによって得られた利益の上澄みを自分の手を汚さずに受け取るということにもなってしまうわけです。
株式投資は「他人のビジネスにお金を出すこと」です。
そのお金を出す先が目指す姿、考え方、開発する商品はどういうものか、これらを知り共感し、応援したいと思えるからこそ自分のお金をそこに投じても惜しくないと思えるのではないでしょうか。
単に利益を得たい、儲けたいという理由で投資を始めると、自分の意図しない、嫌なことにお金が使われてしまう可能性があります。
金銭的な利益よりも投資によって得られる大きな成果物
株式投資は大当たりすれば大きな利益になる可能性もありますが、そう簡単にそんな銘柄を選ぶことができれば誰も苦労はしません(笑)
そして、投資による得られる利益の期待値は年間で僅か数%のリターンでしかありません。
それならば、ご自分のスキルアップのために投資して、更なるサービスを提供できるようになったり給与アップを狙った方が僅かな金額でずっと大きな利益を得ることができるでしょうし、経営者であれば自分のビジネスへの投資は株式投資による期待値とは比較にならないリターンも期待できます。
自分が応援したい企業に10年、20年、それ以上の期間で考え、余剰資金で投資してみると、長期的に成長したときの喜びは何倍にもなりますし、損をしても「仕方が無いか」と思えることでしょう。
そして、その会社の情報を調べることや、財務諸表を読み、大企業のトップの考え方を決算短信等から読んでいるうちに財務の知識や市場の動向や考え方を読む力もついてくるため、ご自分のビジネスにおいてもプラスに作用する二次的な効果も期待できます。
単に上がった下がったを狙うのではなく、このように捉えて株式投資を行ってみると金額的な利益のみではない満足感やスキル等の価値を手に入れることができるのではないでしょうか。
あなたの「推し株」を見つけてみては?
増える、増えないで株式を選ぶのもよいでしょうが、AKB総選挙でCDを買って推しメンに投票するような感覚で自分が応援したい企業を見つけることで投資してみると、成長したときの喜びも何倍も大きく、そして長期的に利益を得ることもできるでしょう。
今回お伝えしてきたように、増える、増えないを考えてもそれを当てるのは非常に難しいものです。
それで一喜一憂し、平均的には数%のリターンを得ることもできるでしょうが、専門知識を身に着けて時間を掛けて企業分析を行った対価としてはあまり魅力的とは思えないものです。
しかし、自分が応援したい企業に投票する感覚で、小さな金額を投資するならば僅かな金額で自分の資産が成長するだけでなく企業の成長を楽しむこともできるのではないでしょうか。
数百円~数千円、高くて数万円でも株式投資ができる時代、自分の「推し株」を見つけてみて応援する感覚で株式投資を楽しんでみてはいかがでしょうか。
また、繰り返しになりますが「将来のためのお金」と「余剰資金」は明確に区別し、個別株への投資はあくまで余剰資金の範囲の中で楽しんでいただければと思います。
そのために、まずはご自分が将来いくらお金を準備したいのか、これを考えておきましょう